2018年5月3日木曜日

2_159 恐竜の卵 3:化石と現生

 恐竜の卵の孵し方、温め方を、化石から、たどっていく研究について紹介しています。化石は限られた数、情報なので、現生の生物種からの類似性を利用しています。そこに、多様性の中の共通性がありました。

 現生の恐竜に類似した生物の生態から、恐竜の生態を探る方法を考えています。恒温性をもった鳥類は卵を抱いて育てます。ある種の鳥類やワニ類には、草の盛り上げて、その発酵熱で卵を温める方法を取るものもいます。また、地中の砂に埋め、太陽熱で温める方法もあります。このような多様な卵の孵し方は、恐竜も利用していたのではないかと、田中さんたちは推察しました。
 恐竜の巣の化石から、生態を調べてきました。ハドロサウルスの仲間には巣の卵と共に化石になっているものがありました。これは恒温性をもった恐竜が、卵を抱いて温めていた可能性があります。また、ある種の恐竜の巣の化石では、砂岩の中から見つかる種類があります。これは、砂の中に卵を埋めて、太陽熱や地熱を利用して温めていた可能性があります。その他にも、土の発酵熱を使うタイプの巣の化石も見つかっています。
 巣の化石からみると、恐竜の生態としても、現生の生物と同じほどの多様な卵の孵し方をしていたことがわかってきました。
 田中さんらは、さらに考察を進めて、現生の生態から、卵を温めている温度は、砂に埋め太陽熱を利用する巣では平均で3.9度気温より高くなっていて、発酵熱を使う巣では平均7.3度でした。これは、その地の平均気温に対応している可能性があります。太陽熱から発酵熱、抱卵の順に高緯度になっていることになります。ただし、抱卵はどの地域でも可能でしょう。
 化石の巣は数が限られ、引き出せる情報も限られています。しかし、そのような化石でも、似た分布が見つかっています。北極圏では、抱卵していた巣が見つかっていますが、発酵熱の利用しているものも見つかっています。これは、白亜紀後期には温暖化が起こっている時代なので、可能だったようです。
 このような研究で、昔の生物の恐竜にも多様な生態があることが明らかになってくると、私は、生物の多様性とその範囲に思いが至ります。生物の形態や生態の多様性は大きなものです。多くの生物種がいれば、目一杯の多様性を追求ていきます。それはどの時代においても、生物は同じような多様性を追求していきます。結果として、どの時代でも、生物の多様性は、環境や生態が許す限り追求していくことになります。それは時代を越えた普遍性、共通性へとなっていきます。不思議なものですね。

・道南調査・
ゴールデンウィーク前半は、道南に調査にでかけました。
天気には恵まれました。
内陸の調査はうまくいかなかったのですが
海岸沿いの調査はそれなりの成果がありました。
ただ、風が強くて、波が高く
近づけないこともあったので少々残念でした。
今年は、道南で調査を続けていく予定に変更しました。

・好きなこと・
ゴールデンウィークの後半は天気が悪そうです。
北海道は桜の満開の時期なのですが、
どうなるでしょうか。
でも今年はゴールデンウィークも半分は仕事です。
まあ、好きなことですから、いいのですが。