2018年1月11日木曜日

6_148 重さの基準 1:水が基準

 体重を量るには体重計に乗り、重さを量るのはハカリを使います。当たり前のことですが、考えると疑問があります。例えば、ハカリの目盛りを、どのように決めているのでしょうか。目盛りの基準が正確になるかも知れないという報告がありました。

 重さを量る時の単位は、グラム(g)やキログラム(kg)です。重さには、物質が本来持っている属性としての「質量」という意味と、地球の引力(重力)のもとで量った「重さ」という意味もあります。
 同じ物を同じハカリを用いたとしても、違う天体で量ると、目盛りの指す値は違ってきます。これは、引力が違うからです。バネばかりを想像するとわかりやすいかもしれません。地球でも、場所によって引力が異なっているので、厳密に測定すると示す値が違ってきます。これが私たちがいつも量っている「重さ」というものです。
 もうひとつ、物理学で用いる「質量」というものがあります。「質量」は、物がもともと持っている属性です。動かそうとるするときの手応えとして感じるものです。宇宙のどこにいっても、この動きにくさは、その物がもっている本来の性質となります。
 では、質量の単位で1kgという値は、どう定義されているのでしょうか。これが今回の話題です。
 バネを利用したものだと、引力の影響を受けて、場所によって違ってきます。質量を量るときには、引力に影響されない方法を用いなければなりません。とはいっても、量る方法の仕組みは簡単です。質量の基準となるオモリがあれば、それと比べていけばいいのです。天秤とオモリを利用した量り方です。小学校でおこなった、上皿天秤を用いた量り方も、この方法です。
 では、オモリの質量は、どのようにして決めたのでしょうか。おおもとになったオモリのことです。ある時点で正確に量って決めなければなりません。
 かつての質量の基準は、水1リットルを1kgとしました。正確には、「最大密度における純水1リットルの質量」です。水の最大密度は、水温が4℃のときのものです。かつてはこの条件を満たしたものを重さの基準としていました。
 しかし、これにはいくつか問題がありました。
 質量を量る時には、4℃に設定した水1リットルを用意しなければなりません。これは大変な手間を要します。水を入れる容器も温度変化して体積が変わります。正確に量るには問題になります。
 さらに大きな問題がありました。大気圧下と温度を一定にした条件で量ることになるのですが、気圧や温度を正確に測定することが必要になります。ところが、気圧は質量が関与した単位となっています。質量の基準を決めるのに、質量を用いた条件が必要になります。ここに矛盾があります。
 この基準は問題があるので、1799年に変更され、現在の「キログラム原器」と呼ばれるものになりました。「キログラム原器」は次回としましょう。

・冬休み明け・
大学もスタートしました。
でも、すぐにセンター試験があるので、
講義は一時休講になります。
正月は終わって、急に慌ただしくなります。
これから3月までは、通常の授業に加えて
卒業研究の発表会や
いくつもの入試がはじまり、
慌ただしさが加わります。

・冬の雨・
北海道は冬になっても、
晴天率は少ないようです。
先日は、雪が降ったと思ったら、
雨が降りました。
この時期に雨は珍しいものです。