2017年10月12日木曜日

4_144 残念 3:古座川の火成作用

 古座川は、南紀の観光コースから外れています。でも古座川には、地質学的な見どころがいくつかあります。穏やかな川面にそそり立っている崖ですが、かつては激しいマグマの活動があったことを示すものです。

 9月の野外調査の時、和歌山県東牟婁(ひがしむろぐん)郡古座(こざ)川町を流れる古座川にいきました。海岸沿いの国道42号線から、古座川の河口(串本町古座)から、古座の町並みの中の狭い道を通り抜けて、川沿いの道を進みました。今回は古座川の名勝を再訪して、県道39号線を通って海岸沿いの和深(わぶか)に通り抜けていく予定でした。
 古座川には、以前も一度訪れたことがありました。その時は、古座川町相瀬にある一枚岩や天柱岩(てんちゅうがん)、池野山の虫喰岩などを見て回りました。今回も天柱岩を再度見たいと思って訪れました。
 古座川の一枚岩は、巨大な岩石の平坦な面をもつ崖なので、このような名前で呼ばれています。その崖は、高さ150mで800mもあります。きれいな川の水の向こうにそびえ立つ姿は、なかなか見応えがあります。1941(昭和16)年12月13日に国の天然記念物に指定されました。
 この一枚岩の岩石は、「古座川弧状岩脈」と呼ばれている火成作用でできたものです。その岩脈が地表に出たものが、一枚岩となりました。流紋岩質凝灰岩で、均質で硬い岩石でできているため、川の侵食に耐えて残ったようです。
 古座川流域には、一枚岩の他に、天柱岩や虫喰岩などもあります。これらは大昔にあった巨大なカルデラ火山のなごりの古座川弧状岩脈の一部です。この岩脈は、延長22km以上にわたるものです。約1500万年前~1400万年前に活動したものです。
 古座川弧状岩脈は、火山の巨大なカルデラ(南北径40km、東西径20km)の一部でした。カルデラの火山活動をもたらしたマグマの通り道になったのが、この古座川弧状岩脈です。巨大に見える一枚岩が古座川弧状岩脈の一部で、その岩脈が、カルデラの一部だったのです。そのような巨大なマグマの活動という地質学的背景をもった岩脈沿いに、古座川を遡っていきました。
 壮大な地質学的な歴史をもった一枚岩を見たあと、次なる目的地に向かうために、県道39号線に入ろうとしましたが、進めませんでした。道路が昼間は工事中で、時間による通行止めになっていました。しかたなく、引き返えさなければなりませんでした。一雨までもどり、国道371号線から海岸沿いを進みました。同じ道をなかり戻ってきたため、時間がかなり経過して、次の予定が変わってしまいました。

・巨大カルデラ・
このカルデラは、非常の大きなものです。
現在大きなカルデラとして、
阿蘇のカルデラがあります。
しかし、熊野のカルデラは、阿蘇のものを
遙かにしのぐ大きさと考えられます。
それを考えると表層で起こっていた
火山活動は想像を絶するものだったのでしょうね。
かなり古い火山活動ですが、
地球の歴史の激しさの一面を感じさせるものです。

・残念なのは・
石を見ることにおいては、
別に残念でもないようなのですが、
朝日に当たった一枚岩の写真を撮りたいと思っていました。
ところが、天気がよくなく、曇っていたので
あまりいい写真がとれませんでした。
実は前回紹介した天鳥の褶曲に
できるだけ早目に向かうため
宿を早く発って、古座川を経由して撮影をして
向かうつもりでした。
でも、この遠回りで少々予定がずれましたが、
天鳥も海の荒波で予定が変わったのですが。