2017年7月6日木曜日

6_145 LIGO 3:3つの観測

 重力波と捉えるためのLIGOという装置は、最初の発見以来、その後も観測を継続しています。そして成果上げています。それは研究者の予測を裏切るものでした。悦ばしき誤算だったのです。

 LIGOは、感度の上げるための改造をなされた後、2015年9月12日に観測を開始したわずか2日後、2015年9月14日、重力波をキャッチしました。この重力波は、「GW150914」と命名されています。GWは、重力波の「Gravitational Wave」の頭文字で、150914は、2015年9月14日ことのです。以降、重力波は、GW+
日付でよばれることになります。
 この観測は非常に幸運でした。幸運は、観測再開直後に発見したことだけでなく、LIGOの感度でとらえられるような現象は、数百年に一度のものだったのです。ですから、これ以降の観測では、見つかりそうもなさそうだ、とされていました。
 2015年の発見以降にも、LIGOは観測を続けています。第1期の観測は、2015年9月から2016年1月でした。この時に、もうひとつ重力波シグナル「GW151226」を発見されていました。GW150914の3ヶ月後のことです。GW151226は、14億光年のところにある太陽質量の14.2倍と7.5倍のブラックホールが合体し、20.8倍のブラックホールになったと推定されています。GW150914と比べると3分の1くらい合体事件でした。
 実は、第1期の観測では、他にも重力波らしきものが捉えられています。ただし、このときのシグナルは弱くて、正式な重力波にはカウントできないものだと判定されました。信号自体は、はっきりしたものだったのですが、統計的には質がよくなく、誤差やノイズとの区別ができないとされて、重力波とはみなされませんでした。「LVT151012」と命名されています。LVT151012とは、LVT(LIGO-VIRGO transient)とは、「LIGOの乙女座でのちょっとした反応」のことで、151012とは2015年10月12日の観測のことです。もし、このLVT151012が重力波が本当だとしたら、太陽質量の23倍の星と13倍の星の連星の合体の事件だと見積もられます。科学的にはこれを用いて議論をしてはいけません。
 その後、第2期の観測が2016年11月30日に開始され、現在も継続されています。3例目の重力波シグナル「GW170104」が発見されました。この発表は2017年6月1日になされました。あまり話題になりませんでしが、今までの経緯からすれば、一部の研究者には、予想されたものだったかもしれません。
 GW170104は、22億光年のところにある太陽質量の31.2倍と19.4倍の連星のブラックホールが合体して、48.7倍のブラックホールになったときの重力波でした。
 この発表で3例目の重力波が発見されたことになります。LIGOが捉えられる重力波を発生する現象は、どう頻繁に起こっていることになりそうです。その意義は、次回としましょう。

・悦ばしき想定外・
科学では予想をもとに作業仮説として立てられます。
その予測をもとに実験などの準備が進められます。
しかし、予想は往々にしてはずれます。
これが科学の常です。
どこからの政府では、
こんな当たり前の科学の常を理解しないで
想定外といっています。
科学では想定外が当たり前です。
想定外があれば、そこから新しい科学を
切り拓ていけることもあります。
今回の発見も同じようなものでした。

・梅雨・
北海道も7月になり
少々蒸し暑くなってきました。
まあ、本州の梅雨と比べれは、ましなものでしょう。
でも、北海道に暮らす人間にとっては、
少々の蒸し暑さがこたえるのです。
本来なら本州の梅雨の時期が
北海道の一番いい時期でもあるのです。
それが蒸し暑さで過ごさなければならないのが
少々残念でもあります。