2017年4月27日木曜日

3_156 核の水晶 3:ケイ素と酸素

 核の条件で、鉄の中にケイ素と酸素が存在し、それらが二酸化ケイ素になるという実験結果が報告されました。その報告により、今までの疑問、謎とされていたものが解決できそうです。ではその内容はどのようなものだったのでしょうか。

 地球の核には、軽い元素があることは、地震波の調査からわかっています。ただしその正体については、不明でした。核は鉄(密度7.9 g/cm3)からできているといいましたが、厳密には鉄だけでなくニッケル(8.9 g/cm3)も5%ほど混じっていると考えられています。ニッケルの混在は、隕石(鉄隕石)との照合から推定されています。
 そして軽い成分として、核の密度を鉄(+ニッケル)より、10%ほど下げるほどの量が必要になります。軽い成分ですから、かなりの量が必要となります。いろいろな成分が、その候補になっているのですが、東京工業大学の廣瀬敬さんたちの報告から、ケイ素と酸素が、その有力候補として示されました。
 最近の報告では、固体の内核ができたのは、今から7億年前くらいの若い時代であることが、東京工業大の太田健二さんたちの研究からわかってきました。これは従来の考え(核が約42億年前から存在していた)とは矛盾するもので「新しい核のパラドクス」となっていました。つまり現状の核の磁場形成のメカニズムが働かない時代にも、地球の磁場を生み出すという仕組みが必要になったのです。
 廣瀬さんたちは、ケイ素と酸素が結びついて二酸化ケイ素として結晶化することで、核に対流が起こると考えました。その根拠は、高温高圧実験でした。ケイ素や酸素を含む液体の鉄を、核の高温高圧条件(133~145万気圧、3860~3990K)に置くと、二酸化ケイ素が形成されるという結果がでてきました。この結果をもとに、次のような仮説を提示されました。
 核の上部で、マントルからの冷却によって軽い成分として含まれていたケイ素と酸素が結晶化します。二酸化ケイ素は金属鉄より密度が小さので、結晶になると、液体の鉄の中を浮いていきます。一方、軽い成分が抜けた鉄は、液体のなのですが、密度が大きくなり沈んでいます。二酸化ケイ素の形成にともなって、金属鉄に対流を起こるというのです。固体の鉄が結晶化しなくても対流を起こる原因があるという仮説です。
 この報告が示した仮説は、これまで不明であった核の軽い成分と、鉄の固体の内核の形成が新しいという「新しい核のパラドクス」も、いっぺんに解決できる素晴らしいものです。
 これですべてが解決したかという、実は新たな課題もでてきました。それは次回としましょう。

・野外調査へ・
明日、私は調査に出かけます。
1日、2日と平日ですが、
1は講義がないので、2日を休校にして、
調査をすることにしました。
ゴールデンウィークなので何処も混んでいると思いますが、
あまり観光地にはいかないので、
大丈夫ではないかと思っています。
チケットも車も宿もすべて確保できました。
あとは天候だけが心配です。
こればかりは心配しても仕方がないことなのですが。
なるようになるです。

・一段落・
学校はゴールデンウィークは一段落でしょう。
特に、新入生たちのなかには、
気を張って頑張り過ぎの人もいることでしょう。
大学生には、帰省する人もいることでしょう。
少し息をついてください。
肩の力を抜いて、少しリラックしましょう。
ゴールデンウィーク明けには
元気な顔を見せていただければと思います。