2017年4月12日水曜日

3_154 核の水晶 1:地震波

 地球のもっとも深部に位置する「核(コア)」は、概要は以前からわかっているのですが、詳細になるとわからないことも多いところです。最近、新しい研究成果によって、実態が少しわかってきました。

 地球深部を知ることが難しいです。なぜならそんなに深くを潜っていくことも、掘る技術もないからです。地殻を彫り抜くのも大変で、マントルすら、実際に見たことがありません。マントルの直接に試料を採って来ることも大変で、間接的にしか試料も入手できません。マントルよりもっとも深部には、鉄からできた核(コア)があるとされています。核は、間接的に試料を手にすることすらできません。ところが、地球深部に核が存在することは、研究者のだれもが疑っていません。
 核の存在は、地震波がその重要な根拠となっています。地震による振動(地震波)には、いくつもの種類があることが知られているのですが、私たちが体感しているのは、P波とS波です。Pはprimary(最初という意味)の頭文字で、Sはsecondary(2番目という意味)の頭文字です。
 直下型地震波ではP波とS波は、時差がなく同時に届くので体感で区別はしづらいですが、遠くからの地震では、文字通りの違いを感じることができます。P波は、地震があったときに、真っ先に届く波です。突き上げれられたり、急に落ちていくような、上下に振動するような揺れとなることが多いようです。P波は進行方向に対して平行に前後に揺れます。次にくる、大きくぐらぐらするような揺れがS波です。S波は、進行方向に直角に揺れます。主振動とも呼ばれており、強い揺れとなり被害を与えるものとなります。
 2つの波には、他にも違いがあります。P波は、物質であれば、状態が固体であろうが、液体、気体のいずれであっても伝わります。一方、S波は、固体の状態の物質だけを伝わります。また伝わる物質の物性(密度や温度など)の違いにより、地震波の速度が変わってきます。地震波の違いを詳しく観測することで、見えない物質内部の状態を探ることができるのです。
 このような地震波の伝わり方の特徴や違いから、マントル内部の状態だけでなく、核の状態も知ることができるのです。核の一番の特徴は、密度が地球ではもっとも大きな物質(鉄)からできていること、同じ高密度の物質でも核の外側(外核と呼ばれています)に溶けた状態で、内側(内核)には固体の状態であることもわかっています。
 核の概要はこのようにわかっているのですが、詳細は必ずしもよくはわかっていません。例えば、核が鉄のみからできているとするには、密度がやや小さいので、なにか軽い成分が混じっているはずです。ところがその成分は不明なままです。地球の磁場の原因は、外核の溶けた鉄が流動しているためだとされているのですが、その実態や真偽はよくわかっていません。
 こんな疑問に対して、最近、新しい報告がありました。軽い物質の候補と外核の流動の原因を、両方を一度に解明できるかもしれないという報告です。詳しくは、次回以降に。

・初春・
本州から桜前線が北上してきているのですが、
いまどのあたりでしょうか。
北海道のわが町は、例年ゴールデンウィークころが
桜の見頃となります。
今年の冬で、
ドカ雪や季節外れに降ったり、
真冬に積雪が少なかったり天候不順でした。
それでも、4月にもなると、街の雪もほとんど溶け、
日陰や山並みに残るだけとなります。
雨も何度か降りました。
まだ春は浅いですが。
いよいよ北海道でもっともいい季節になります。

・兵庫へ・
ゴールデンウィークの予定を
いろいろ考えている人も多いことでしょう。
私もゴールデンウィークに出かけます。
学内の研究費が採択されたので、
急いで旅行日程を組みました。
昨年はこの時期に熊本へ行く予定を組んでいましたが、
地震で急遽中止となりました。
今年は、鳥取に行く予定です。
鳥取も地震の影響がまだ残っていると聞きます。
私は、鳥取県三朝町に5年間住んでいました。
調査のおりに少し寄ってみようかと思っています。
でも、調査は兵庫が中心になるので、
あまり時間がないのですが。