2016年9月15日木曜日

1_149 隕石と大気 4:矛盾

 27億年前に大気上層部で反応した隕石の溶融物が見つかりました。そこから推定された大気組成と、今までの知見とは矛盾しているものでした。その矛盾を解くには、特別なモデルを考える必要がありそうです。そのモデルは納得できるものでしょうか。

 地球の大気は、地表付近が一番濃く、上空に行くにしたがって、大気の密度は小さくなります。対流圏(10数kmまで)はなかり大気がありますが、成層圏(10から50km)はかなり少なく、中間圏(50から80km)より上空では大気は千分の1以下になっていきます。
 そんな薄い大気でも、隕石が大気圏に突入すると、大気との摩擦により高温になっていきます。その時、熱によって隕石が融けます。隕石のサイズにより、溶融部分が表面だけの場合と、全体が融けることもあります。いずれにしても、いったん溶けた隕石の部分は、大気と反応しながら再度固まっていきます。
 今回の報告では、現状の大気の状態だと、砂粒ほどの「微小」な鉄隕石は、75から90kmの上空で溶けたと考えています。かなり薄い大気ですが、摩擦で溶けたようです。これは、現在の隕石の観察から推定されています。
 溶けた部分が固まるとき、周りの大気との反応が起こり、反応物に大気の組成を記録しているというのです。溶融物では急激な冷却があったようで、隕石には急冷によってできた樹枝状や羽毛状の組織があります。このような組織は、マグマが海水などで急冷した時によくみられるものであります。急冷は間違いないものです。
 急冷してできた鉱物は、ウスタイト(FeO)と金属を伴った磁鉄鉱(Fe3O4)でした。もともと隕石は、金属鉄からできていたので、このような酸化状態の鉄は、大気との反応でできたことになります。鉱物の酸化状態から考えると、大気の酸素濃度は、現在ものに近かったと推定されます。酸素と一酸化炭素の比率は、一酸化炭素による酸化よりずっと高い状態であったと考えられます。
 一方、海底の堆積物のイオウの化学組成からは、無酸素状態の環境であるデータが出ています。また一般に地表付近の大気も、まだ酸素が少なかったと考えられるので、今回の報告されたデータは、今までの知見と矛盾することになります。
 現在の考えでは、酸素はストロマトライトを形成したシアノバクテリアのような光合成生物が酸素を一気に形成した(24億年前)とされています。その証拠は多数あります。それ以前(27億年前)には、地表付近には酸素はほとんどなかったとはずですが、大気の上層部だけ大量の酸素があったということになります。
 このような矛盾を解決するひとつのモデルとして、太古代には大気の上層と下層の混合が少なかった、と考えれば解決できそうです。このモデルをどう考えるかは、今後の課題です。謎はすぐには解けそうにありません。

・いよいよ講義が・
今年は、北海道には、何度も台風が上陸し
例年とは違った天候でした。
しかし、この1週間ほどで、秋は着実に進んできました。
朝夕は涼しくなってきました。
朝大学に来る時は上着が必要になります。
そろそろ大学の夏休みも終わります。
来週からは授業がはじまります。
また慌ただしい日々がはじまります。

・外壁の塗装・
現在、自宅の周りに足場が組まれています。
外壁の塗装のためです。
10数年に一度の外装工事です。
先日の日曜日に、屋上を見るチャンスなので
その足場をつたって屋上に上がろうと思いました。
今まで自宅の屋上を見たことがありません。
ところが、3階の足場で足がすくみ、上がれませんでした。
屋根までは階段はなく足場をよじ乗る必要があります。
同じ日に2度チャレンジしましたが、だめでした。
でも、足場のあるうちのなんとか
再チャレンジして、屋根の上に出たいのですが、
どうなるでしょうかね。