2016年7月28日木曜日

5_142 最古の星 1:最古の意味

 今回のシリーズは、古い、最古、若い、新たらしい、最近とかいう、新古にかかわる言葉がいろいろできてきます。少々混乱してしまうかもしれませんが、最古の天体の発見にかかわるいくつかの話題を紹介してきます。

 最古の星についての情報を紹介していきます。情報自体は少々古いものになりますが、最古の星にかんして2つのニュースがあります。一つは、2013年の話題で、宇宙最古の星「HD 140283」の年齢を計算しなおしたら、もっとも古い年代になったというものです。ただし、これにもまだ問題がありそうです。もう一つは、最も古い天体「SMSS J032300.36-670929.3」が見つかったという2014年のニュースです。
 この2つの話題を紹介する前に、宇宙の年齢について考えいきます。宇宙の年齢とは、宇宙が誕生したときのことです。現在の宇宙創生のシナリオでは、宇宙がビックバンではじまります。ビックバンにより膨張を続けて、誕生から現在もその膨張は続いています。宇宙創世の超高温高圧の状態から膨張をすると、温度も圧力も低下していきます。3分ほどするといくつ種かの原子核や電子ができます。38万年後に電子が原子核につかまり原子が完成し、宇宙に満ちていたエネルギーの雲が晴れ上がります。そして4億年ほどすると最初の星ができる。というのが、現在の宇宙創生のシナリオです。
 このシナリオによれば、4億年以降、天体が宇宙には存在することになります。存在した天体がすべて観測できるかどうかはわかりませんが、宇宙の年齢より最初の天体は、4億年ほど若いことになるはずです。
 もし最古の星が、宇宙誕生より古い年代となれば、矛盾となります。実は一つ目のニュースが、それに関係しています。観測によって宇宙の誕生と矛盾する値がでてきたら、観測の方の間違いか、ビックバンのモデルの間違いかになります。モデルの間違いも、モデル自体が問題なのか、それともシナリオのどこかに問題があるのか、ということを検討していかなければなりません。
 観測が進めば、最古の天体の年齢は、限りなく宇宙の誕生に近づいていくはずです。でも、最初の天体の年代が、宇宙創生のシナリオに反するものなら、ビックバンのシナリオに対して修正をせまることになります。二つ目のニュースがこれに当たります。
 最古の天体の年齢を決め、それがどのような天体であったかを探っていくことは、宇宙の始まりや、天体の誕生を知る上でも意味で重要性があります。次回は、宇宙の年齢がどれくらいかをみていきましょう。

・夏休み・
北海道も札幌の小学校も夏休みになりました。
我が大学の前期の授業も終わり、
定期試験の期間となりました。
8月4日の定期試験終了後、
学生たちはいよいよ夏休みです。
私は、そうもいきません。
私はお盆明けまで、校務が次々よあり
自分の時間がなかなかとれそうにありません。
8月から9月にかけては、1週間ほど野外調査にでます。
それがリフレッシュできる
数少ないチャンスとなりそうです。

・夜空の星・
夏になると、山や海などにでかける機会も
増えるのではないでしょうか。
そんなとき、夜空を見上げれば、
星いっぱい見えます。
その時の感動はいいものです。
特に街の明かりが少ないことろでは
より一層、星が沢山見えるはずです。
ぜひ味わっていただければと思います。
私はそんな経験が最近すごく減りました。
完全な朝型で過ごしているため、
夜はすぐ寝てしまいます。
さらに、調査に出ても同じよう生活パターンで過ごします。
夜空を見上げる機会はあまりありません。

2016年7月21日木曜日

1_145 第二の月 2:準衛星

 今回報告された第二の月は、衛星ではありません。準衛星と呼ばれています。そもそも衛星とは、あるいは準衛星となんなんでしょうか。今回は第二の月は、どんな天体なのでしょうか。

 今回報告された地球の第二の月は、NASAが発表したものですが、実は「衛星」ではありません。月は衛星のことですから、第二の月であり、衛星ではないというのは、少々矛盾しています。ですから今回の発表では、「準衛星」と呼ばれています。
 準衛星というものには、いくつかの天体があります。準がついているというには、何らかの理由で、真の衛星ではない点があるということになります。
 まず、地球から見て、地球の周りを回っているように見えても、本当は地球の周りを回っていないものもあります。少々複雑なのですが、地球の近くを公転している(地球近傍軌道)天体で、円ではなくつぶれた楕円(離心率が大きいといいます)の軌道をもっているもので、太陽に近いところ(近日点)で地球を追い越し、遠いところ(遠日点)で地球に追い越されるような軌道をとると、地球を回っているようにみえます。このような天体を準衛星と呼ぶことがあります。本当は地球と似た軌道をもった小惑星のことですから、真の衛星とは違います。
 あるいは、一時的に地球の近くを通っているため準衛星となっているものもあります。遠くから飛び込んできた小天体が太陽の引力にとらわれて、やがては太陽から離れていく軌道をとるのですが、一時的に太陽の周りを軌道をずらしながら、周回する天体があります。太陽のこのような準衛星は、2011年現在、15個の準衛星が知られています。これらの準衛星は、数10年から数100年間は、準衛星として振舞う軌道もっていますが、将来は軌道がはずれていくものです。
 もうひとつタイプの準衛星としては、地球の周りを回っているのですが、小さすぎるもの、あるいは離れすぎているため衛星とはいいがたいとものもあります。
 今回見つかったのは、「2016 HO3」という分類名が付けられています。2016 HO3は、直径が約37~91mで、地球にもっとも近づいたときにでも1400万km(月は38万kmほど)にしかならないので、かなり離れています。ただし、地球を回っています。その軌道は、半年は太陽に近づき地球よりも先行して、あと半年太陽から遠ざかり地球より遅れて公転します。また、地球の軌道より傾いているため、1年間に地球の軌道より上がったり下がったりを繰り返すことになります。
 この天体は、ハワイの小惑星探査望遠鏡の「Pan-STARRS 1」で最近見つかったのですが、100年ほど前からこの軌道をまわっていたようです。小さいのでやと見つかったのです。そして、今後も数100年にわたって地球のそばの軌道を回ると考えられています。安定した軌道を持っているようです。
 このような特徴から、真の衛星ではなく準衛星と呼ばれることになります。蛇足ですが、地球にぶつかるような軌道にはないということです。ご安心ください。

・蒸し暑さ・
北海道も7月になって暑くなりました。
ただし、天気が悪い日は、蒸し暑く、
まるで梅雨のような不快さがあります。
でも、本州の梅雨と比べれば、涼しい、
過ごしやすいといわれそうですが、
北海道の人間にとっては、
ぐったりとしてしまう天候なのです。
ただし、天気がよくなり
湿度が下がってくれば最高なのですが。

・夏休み・
小・中・高校は、いよいよ夏休みに入るのでしょう。
大学も今週から来週の講義で前期が終わります。
ただし、そのあと定期試験の期間となります。
8月の上旬まで定期試験が続きます。
いつも思うのですが、
なぜ一番暑い時に定期試験をするのか、
暑いから夏休みではないのか。
北海道では、7月下旬から8月上旬が一番暑い時期です。
お盆以降は涼しくなります。
ですから、7月の一月を夏休みにするのが、
一番本来の夏休みの意義を満たすと思うのですが。
まあ、現状と慣習の不一致は
どこにでも転がっているのでしょうが。

2016年7月14日木曜日

1_144 第二の月 1:月もいろいろ

 前回の「地球の歴史」のシリーズは月の新しい起源の説を紹介しました。今回も続いて、月について話題です。「第二の月」が発見されたという話題です。しかし、第二の月は少々注意が必要なようです。

 地球には異常に大きな月がありました。実は、他にもうひとつ「月」が見つかった、という報告が今年の4月27日にありました。「2016HO3」という名称で呼ばれる「月」が公表されました。
 新たに見つかった2016HO3は、地球の周りを回る軌道を持っているのですが、いくつか注意が必要なようです。軌道とサイズが、衛星というには少々問題がありそうなのです。
 一気に新しい月の話題に入る前に、まずは月について、概要を紹介しておきましょう。
 「月」というと、地球の衛星のことを指します。地球には衛星は1つですが、同じように岩石からできている水星と金星にはなく、火星には小さいものが2つあります。一方、大きなガス惑星の木星には67個、土星には少なくとも62個、そのうち53個には正式名称があります。氷惑星である天王星には27個、海王星には14個あります。さらに準惑星になった冥王星にも1つ衛星があります。
 月や火星の惑星は岩石できていますが、ガス惑星や氷惑星の衛星は氷を主成分としているようです。
 1610年、ガリレオが望遠鏡で木星の4つ衛星を発見してから、望遠鏡で観測することで、衛星が多数発見されてきました。現在では探査機が惑星に近づいた時に、新たな惑星がいくつもみつかってきました。観測が進むと、衛星にもいろいろな個性があることがわかってきました。今後も新たな探査があると、衛星が見つかっていくことでしょう。
 このように多数の、そして多様な衛星があるのですが、惑星の特徴によって衛星のタイプも違ってくるようです。
 一般的には、比較的小さな(岩石)惑星には衛星がないか小さいものが1、2個あり、大きな(ガス、氷)惑星には多数の衛星がある、といえます。この一般論からいうと、地球はあるいは月は例外になります。それは、母星となる惑星に対して、衛星の月のサイズが異常に大きい点です。月の起源については前回のシリーズ「月の新起源説」で紹介しました。地球の月の起源が、他の衛星の起源と同じものかどうかは不明です。
 そもそも衛星とは、なにか、からはじめましょう。なぜなら今回報告された新衛星は、その定義から外れるからです。
 衛星は、惑星の周りを公転する天体のことをいいます。もちろん、惑星は太陽の周りを公転していますので、衛星も太陽の周りも惑星に伴ってまわっています。これは前提条件になりますが、他にもいろいろ区別すべき条件があります。
 まず、人間のつくったものは人工衛星といい、自然の衛星とは区別しています。サイズも問題です。人工衛星は小さいものも衛星と呼んでいますが、自然の衛星は、小さいものは衛星にしていません。なぜなら、ガス惑星には無数のさまざまなサイズの氷や岩石の母惑星をめぐる「衛星」があるからです。一定の大きさ以上のものを衛星と呼ぶことになります。ただし、衛星の大きさにかんする定義はないようです。
 次回は、いよいよ新しい月の概要を紹介していきましょう。

・涼しい日々・
先日京都に住んでいる母から、
37℃もあって暑いという連絡がありました。
本州は暑い日が続いているようですが、
北海道は比較的涼しい日が続いています。
昼間は窓を開けますが、
朝夕は窓を閉めなければ風邪をひきそうです。
また今年の夏は、日照時間も少ないようで、
農家は大変になりそうです。
しかし、暑さに弱い私には、こんな北海道は快適です。

・参議院選・
前日、参議院選挙がありました。
我が家では長男が初めての投票になりました。
あまり興味はなさそうでしたが、
親がいくので、一緒に行くことにしていました。
投票に行くとなって、選挙公報をみて、
いろいろ考えていました。
どこにだれに投票したかは知りませんが
国政に関して、政治家を選ぶということ、
自分の一票の軽さと重さについてなど
いろいろ考えたことだと思います。
次男はまだ投票権はないのですが、興味がありそうです。
高校生全員に投票権を与えて欲しいといっていましたが、
どこまで深く考えているかはわかりませんが。

2016年7月7日木曜日

6_139 STAP細胞 3:特許申請

 STAP細胞のシリーズの最後となります。春にもうひとつ、興味深いニュースが流れていました。日本のSTAP騒動の裏で、STAP細胞の存在を前提とした、あるいは期待して、進められていたものでした。

 STAP細胞の存在の可能性が、ドイツで新たに示されたことを、このシリーズでは紹介してきました。もうひとつのニュースが、似た時期にありました。STAP細胞の日本での事件をあったとき、ひとつのグループがSTAP細胞の存在、存在した可能性を前提にして、ある手続きが進んでいました。
 アメリカのハーバード大学の附属病院が作成方法に対して、特許を出願していました。ハーバード大学は、特許出願を、アメリカはもとより、カナダ、EPO(欧州特許庁)、オーストラリアなど世界各地でおこなっているようです。特許の更新料や維持料も、支払われているとのことです。
 ハーバード大学は、小保方氏がアメリカで研究をおこなっていた大学です。一番STAP細胞の可能性を知っている組織でもあるはずです。小保方さんのSTAP細胞の論文では、小保方さんが担当した実験の方法には「オレンジジュース程の酸性の液に細胞を浸すと細胞が初期化する」というニュースになったものだけでなく、他にもいろいろな手法が示されていました。特許には、それらの多様な方法を広く申請しているといいます。STAP化の可能性があるすべてを方法に対して、広く特許としておさえているということです。多くの手間や費用をかけて特許を、申請し維持するということは、STAP細胞の存在を前提としているように思えます。
 前回まで紹介したSTAP細胞成功の論文は、2016年3月10日に報告されました。その約一月後の2016年4月22日に、日本でも出願審査の請求がハーバード大学から提出されています。一説によると出願に必要な費用は、1000万円ほどもかけているともいわれています。そこに「本気」さを感じます。
 もし特許が認定されると、出願後20年間は、その国での工業的な独占権を、ハーバード大学が持つことなります。そしてSTAP細胞の実用化がすすめば、巨万の利益を生み出すことも確かです。STAP現象が本当に起こるかどうかは、今後の科学が検証していくことでしょう。科学も人が行うものなので、そこには何やらドロドロしたものがあるようです。
 私たち当事者ではないものにとっては、iPS細胞やSTAP細胞のような技術がすすむと、再生医療などの医学の新天地を拓くことには理解できます。そこには大きな利権が生じることも。
 医学の中身についてはよくわかりませんが、このような事件にはついつい興味が惹かれますね。

・快晴と寒空・
今年も半年が過ぎ、暑いはずの7月になっていますが。
北海道は、なかなか暑い日差しが戻ってきません。
曇りの日は肌寒いくらいです。
天候不順が続いています。
日照時間も少ないようです。
快晴の日、北国特有の快晴の青空は
ものすごく快適でありがたいものと感じます。
そんな繰り返しが続く天候です。

・ドロドロ・
理研や早稲田大学は、小保方さんに
ハーバード大学時代におこなった実験にかんする
実験のノートやデータを提出を要求しましたが、
それらは提出されませんでした。
実は、本当にSTAP現象があったとすると、
そのノートに重要なノーハウがあったのかもしれません。
少なくとも特許をおさえる時の根拠となっているはずです。
特許の審査には、この実験ノートが
信憑性を示すデータになっているのかもしれません。
重要な根拠資料なとなれば、公開はできないはずです。
偽造に対する隠蔽ではなく、
特許がらみの秘密だったのかもしれません。
ひとつ出来事も裏からみると全く違った見え方がします。