2016年2月4日木曜日

2_136 最古のヒト化石 1:ヒトの源流

 ヒトの化石が稀ではありますが、時々発見されます。新しい化石が見つかり、時に今までない情報が加えられると、ヒトの進化のシナリオに変化が加わることがあります。今回の発見はどのような影響を与えるでしょうか。

 報告は少し前なのですが、人類の最古の化石が発見されたという話題を紹介します。なおこのエッセイでは、生物学的な種として人類を扱うので、「ヒト」という用語を用いることにします。
 過去の生物を調べるとき、化石が非常に重要な素材になります。化石の年代が決まれば、その時代にその生物種が存在していた確かな証拠になります。ただし、生物がいつ出現し、いつ絶滅したかを正確に決めるには、生存を期間を通じで化石が残っている必要があります。
 大量に出る種(例えば、海棲のプランクトンの仲間、貝、葉など)の化石を含む地層もあるので、その生物種がどれくらいの期間継続していたのは、かなり正確に示すことができます。しかし、化石があまりでない種(陸棲の大型動物など)だと、存続期間を決めるのは、なかなか難しい問題となります。
 ヒトの化石は、一部の例外の除いて、産出が非常に少ないので、種の存続期間を決めることは困難です。古いものになるほど、数少ない化石、それも不完全な化石から、その実態や進化の道筋を解き明かすことになります。時間の流れの中で、一つの化石を点として考えると、数少ない不確かで、まばらな点の情報から、ヒトの進化という連続性を考えていかなくてはなりません。
 化石が発見することは、昔ながらの発掘調査になります。現地にいってときには過酷な環境で、長時間の労力をかけて見つけなければなりません。貴重な化石からいろいろな情報を読み取られます。年代を測定する技術、化石の内部を破壊することなく透視したり、3次元的に詳細に計測したりできます。非常に小さな化石の破片からでも、定量的なデータを読みっていくことができます。
 報告されたのは2015年3月ですが、化石は2013年に発見されていました。ですから、報告まで、2年近く時間をかけて調べられてきました。また、発見にどれくらいの労力が払われたのかはわかりませんが、苦労して発掘されたとそうぞうできます。
 産出の少ないヒトの化石では、新しい種の化石がみつかると、ヒトの進化の流れを知る重要な情報になります。その化石が、流れの源流に近いものであれば、その重要性が増していきます。
 今回紹介するヒトの化石は、生物の分類でいうと「属」という体系で見た時、もっとも古いところに位置するというものでした。ヒトの「属」で最古の化石となります。ただし、私たち現世人類の源流に近いのですが、直系の祖先ではないようですが。

・大発見・
外から見た時、ひつとひとつの変化の度合いが小さくて
ほとんと変わっていないようにみえるものが、
積み重なっていくうちに、ある時気づいたら、
かなり変わっていたということあります。
まあ、これはどの研究分野でも同じことがいえるのでしょう。
一方、ひとつの大きな発見によって、
誰もが大きな変化が起こるだろうと思えることもあります。
いわゆる大発見です。
ただし、研究者は、自分の業績を重要だというために
大発見として伝えがちです。
外の人は、そのあたりを冷静に見る必要があります。
ヒトの進化については、化石が少ない割に、
非常に複雑で、いろいろな考えもあります。
ですから、新しい発見があると
進化も大きく道筋も変わることもあります。
今回の発見は、どうでしょうかね。

・気分転換・
このエッセイの発行時には、
大学の入試で出張しています。
少々寒いところへいくことになるので、
天候なので交通機関が遅れることが心配です。
ところで、校務いくのですが、
別の場所に出かけると、それは大いに気分転換になります。
帰ってからまた元気に、仕事に戻れることを願っています。