2015年4月16日木曜日

5_125 APT 1:術語の意味

 地球初期のできごとを知ることは、なかなか難しいものです。試料も少なく、情報も「かすか」なので、微小な試料から得られたデータの信頼性や再現性などが、なかなか検証できないためです。以前求められた地球最古の年代を、新たに検証する報告が出ました。

 1年以上前の2014年2月に、次のようなタイトルの論文が「Nature Geoscience誌」に掲載されました。
  Hadean age for a post-magma-ocean zircon
  confirmed by atom-probe tomography
 (アトムプローブ・トモグラフィによって確認された
  ポスト・マグマ・オーシャンのジルコンの冥王代の年代)
という論文でした。
 ウィスコンシン大学のヴァレリー(John W. Valley)らの11名による共同研究にです。聞きなれない用語がいくつも出てくる論文ですが、内容もさることながら、私はアトムプローブ・トモグラフィという言葉に興味が惹かれました。アトムプローブ・トモグラフィは、少々長ったらい名称なので、多くの専門書ではAPTと略されているので、ここでもそれを用いることにしましょう。
 本題に入る前に、まずは論文のタイトルを解読していきましょう。
 APTのアトムとは原子のことで、プローブとは束(たば)で、トモグラフィとは断層撮影のことです。APTは、微小部分の原子一粒一粒の分布状況を3次元的に分析をし表示できる装置で、詳細は後で説明します。
 ポスト・マグマ・オーシャンのポストは、接頭語で「それ以後」とか「その次」という意味になります。また、マグマ・オーシャンとは、地球初期にあったと考えられているマグマの海(マグマ・オーシャン)のことです。ですから、ポスト・マグマ・オーシャンとは、マグマの海が終わった時代という意味です。
 太陽が形成されているときは、周辺は高温状態であったと考えられています。太陽が安定して輝き出す頃には、ガスが吹き飛ばされて、冷めてきます。すると惑星空間あたるところでは、温度に応じて、気体から小さい固体ができていきます。
 回転する物質には物理的な効果によって、土星の輪のよう位置(黄道面)に物質が集まりました。太陽系の黄道面に固体物質が集まってくると、そこでは物質密度が大きくなり、衝突、合体が起こり、固体物質は成長し微小天体(微惑星と呼ばれます)にまでなっていきます。同じ軌道上の微惑星も、衝突、合体を繰り返し、やがてひとつの軌道上にはひとつの天体(惑星)ができます。つまり、地球軌道では、地球が選択的に成長していきます。
 地球が成長する間、表面では激しい衝突が起こります。地球には素材に含まれていた気体があったため、大気がありました。大気によって温室効果が働き、衝突で開放されたエネルギーは表層にとどまり、非常に高温状態になったと考えられます。その温度は、岩石も溶けるほどでした。マグマの海が地球を覆っていた状態を、マグマ・オーシャンと呼びます。
 ポスト・マグマ・オーシャンとは、マグマ・オーシャンが終わった時代のことです。地球誕生から、マグマ・オーシャンができ、やがて地球表層が固まって地質現象が起こるまでの時代を、冥王代(45.6億から40億年前まで)と呼んでいます。冥王代の終わりの40億年前という値は、必ずしも定まっていませんが、その時代にできたジルコンという鉱物の年代が、確定されたという報告です。
 タイトルの解説は終わったのですが、まだスッキリしないと思います。ですから次回は、この論文における地質学的な意味を紹介しましょう。

・移行時期・
大学の新学期の講義もスタートして2週目になり、
一年生も少しは慣れてきたようです。
しかし、疲れもたまっているようですので、
ゴールデンウィーク空けまで、目を離せません。
教職員も情報関係が新しいシステムになったのですが、
少しずつ使えるようになってきたましたが、
混乱やバクが、あちこちにあるようです。
本格運用には、まだまだ時間が必要なようです。
年々よくなるのですが、
移行時には、それなりの苦労が伴います。

・春を告げる・
今年は雪解けが早かったため
北海道で春をいち早く告げる
フキノトウ、ヒバリの囀り
などはもう始まりました。
しかし、一番驚いたのは、
ツツジがもう花を咲かせています。
私がいつも見ているツツジは
花の時期が長く、夏が過ぎても咲いています。
しかし、ピンクの目立つ花なので
今年の春は一段と早く感じることができました。