2014年8月7日木曜日

1_129 宇宙の年齢 2:膨張を探る

 宇宙の年齢を探るためには、ビックバン理論に基づき、観測から膨張の様子を正確に知ることが重要になります。しかし、そこには、まだ見つかっていない物質やエネルギーがあることがわかってきました。

 宇宙の年齢を観測から探る方法として、古い天体を観測して年齢の下限を求める方法がありました。この方法も観測技術が進んで、かなりいいところまではいっていますが、原則的には宇宙の年齢は求めることはできません。限定することと決定することは違います。
 一方、理論では、ビックバンのモデルに基づいて推定するものがありました。理論なので、概数しか求めることができません。正確に求めるには、観測との融合が必要です。理論と観測が融合したハッブルが行なった観測手法をより高精度におこなわれています。
 その原理は、ビックバン理論にもとづき、膨張の様子を観測でとらえ、計算により年齢を求めるというものです。宇宙は、ビックバンの時の勢いのまま、現在も膨張しているはずだと考えられていました。宇宙の膨張の様子を正確に観測すれば、その勢いから大きさゼロの状態に遡れば、宇宙の年齢が計算できるというものです。現在の膨張の観測から、理論に基づき、始まりの時を求めることになります。このとき、宇宙の年齢の決め手になるのが、ハップル定数です。
 宇宙が一様に膨張しているとすれると、ハッブル定数から、宇宙の年齢が簡単にもとめられると考えられていました。ところが、宇宙の膨張がビックバンの時に比べて減速しているのか、加速しているのかによって、宇宙の年齢の見積もりにおおきなズレが生じます。
 その決め手になるのが、宇宙の物質密度と膨張に関するエネルギーです。宇宙の物質密度とは、宇宙に存在する物質の量によって決まり、宇宙が縮もうとする力、膨張を減速させる力になります。宇宙に物質が多ければ、万有引力によって、宇宙は縮もうとする力が働きます。ですから、宇宙にどの程度の物質があるかによって、現在の膨張からいつ収縮に転換するかが変わってきます。もし、物質量が少なければ、膨張を止めることができないかもしれません。物質量を知ることが重要になります。
 これが、なかなかやっかいで、まだ不明な部分があります。
 私たちが知っている、あるいは見ている物質は、バリオンとよばれる素粒子で構成されています。バリオンが占めている比率は、宇宙全体の物質とエネルギーの全量のうち、約5%程度に過ぎないことがわかってきました。
 見える物質以外にも、見えない物質(ダークマター、暗黒物質などと呼ばれています)が、27%ほどあることがわかってきました。なんと宇宙は、見えている物質より、見えない物質の方が、5倍以上もあることになります。この両者が宇宙の膨張を減速させる働きがあります。このダークマターの量を決定することが宇宙の年齢を決める決め手だと考えられていました。ダークマターの実体はまだよくわかっていません。
 すでに気づかれていると思いますが、バリオンとダークマターを合わせて32%にしかなりません。他の70%ほどは何かというと、見えないエネルギー(ダークエネルギーと呼ばれています)だとされています。かつては、このような存在は知られていませんでした。ですから、宇宙の年齢を決めるには、バリオン以外のダークマター探しが重要だと考えらていました。ところが、このダークエネルギーは、宇宙の膨張を加速する働きがあります。ダークエネルギーを考慮しなければ、宇宙の年齢が求められないことになりました。
 宇宙の膨張を減速させるバリオンとダークマター、そして加速させるダークエネルギーから、宇宙は構成されていることになります。非常にやっかいな存在です。宇宙の膨張の様子だけでなく、宇宙の物質とエネルギーの比率、そしてそれらが膨張に与える効果がわからなければ、宇宙の年齢が正確に決めることができません。また、比率が分かったとして、それぞれの膨張に与える効果が、どれほどかを知らなければ、宇宙の年齢を決定するパラメーターが得られないということになります。
 それを決定するために、いくつかの重要な観測がなされました。それは次回としましょう。

・高湿度・
北海道は8月になり、
遅い台風のせいで蒸し暑い天気が続いています。
台風の影響で北海道では前線がずっとかかり、
湿度の高い、梅雨のような天気となっています。
本州などの梅雨と比べると
気温はそれほど高くはないのでしょうが、
北海道人にはこの蒸し暑さが堪えます。
エアコンのない生活なので、
暑さにはじっと耐えるしかありません。
まあ、夜は比較的気温も下がるので
なんとか寝れるので、暑いのですが
体力的は持っているのですが、
校務が次々とあるのでなかなか大変です。

・コツコツと・
大学は定期試験も終わり、
学生たちは夏休みに入ります。
教員は、採点、集計、入力があります。
また4年生の卒業研究へと対応など
なかなか気の休まる時が来ません。
お盆があければ、少しだけ休めそうですが、
その後は、また校務が目白押しです。
忙しいことに愚痴をいっても楽にはなりません。
自分に与えられた空き時間の中で、
すべきことをコツコツとこなすしかありませんね。