2014年7月10日木曜日

4_113 室戸岬2014 1:先端の地層

 四国の南東の先端に室戸岬があります。ここは、海と陸が接するところです。そして、その陸は、昔の海のものでした。室戸岬は、海と陸、現在と過去が複雑に交わるところなのかもしれません。

 室戸岬は、四国の南東で太平洋に突き出た岬で、高知県室戸市になります。国道55号線脇にあります。国道55号は、四国のお遍路の道でもあり、室戸岬に背後の山には、24番札所の最御崎寺もあります。お遍路さんも観光客も、一本道国道を、海岸線にそって長々と進むことになります。
 室戸岬には何度かいっていますが、地質学の見どころがいくつもあり、なかなか見飽きないところです。室戸は、2011年には「世界ジオパーク」に加盟が認められています。そのため、地質の見学するためのサインや資料が充実しています。岬の海岸沿いの遊歩道には、いくつもの地質サイトがあるのですが、今回は岬の先端にある「互層」をみれるサイトを紹介しましょう。
 互層とは、砂岩と泥岩が繰り返している地層のことです。砂岩は白っぽく、泥岩は黒っぽい岩石で、それらが繰り返して重なっている、モノトーンの岩石です。砂岩は風化侵食に強いので出っぱり、泥岩は弱いので窪みます。この侵食への強弱が岩石の凹凸を生みます。
 さらに、大地の営みが互層に意匠に満ちた褶曲構造を与えます。
 室戸岬の最先端には曲がりくねった互層が見どころです。乱れた地層は、モダンアートのような天に突き出た形、座布団を重ねたような面白い形、硬い石なのに地層の中で砂岩がちぎれたり、変形したりし、様々な互層の形態を見ることができます。自然の不思議な造形の展示場のようになっています。
 このような地層の乱れは、地層が地下から地上に上がるときにできたものではなく、地下で醸造されたものです。
 もともと互層は、陸から運ばれた土砂が、タービダイトという海底の土石流のような流れで海底でたまってできたものです。タービダイトは、きれいな砂岩と泥岩の互層となります。しかし、そこで形成される互層は整然と平らに堆積した地層となります。それが室戸岬でみられるように乱れるには、それなりの理由があります。地層が列島に押し付けられたためです。
 四国沖には、フィリピン海プレートが沈み込んでいる南海トラフがあります。このトラフはゆるい傾斜の海溝のことで、海洋プレートと列島のプレートが衝突しているところです。海洋プレートはトラフに沈み込み、列島側のプレートは押され引きらずれるような場となります。
 陸からトラフまででたまった互層となっている地層も、もちろん、その影響を受けます。浅いところではそのまま陸に持ち上げられる地層もあるのですが、引きずれ込まれる地層もあります。
 引きずり込まれる度合いにより、地層は少し乱れたものから、グチャグチャになっていものもあります。グチャグチャになったものはメランジュとよばれています。メランジュでは、起源の違うさまざまな石が混在し、もともとの地層や岩石の構造も残っていないほど乱れます。
 室戸の別のところでは、整然と重なった地層が見られるとこもあります。ただし、室戸岬の地層は、少々、乱れた互層です。それが自然の妙を醸し出しているのです。

・暑い夏に・
北海道は夏がきました。
暑い日もありますが、清々しい日もあります。
私は、校務と原稿締め切りが忙しく
ばたばたして落ち着きません。
締め切りがあるのものが優先ですが、
校務もつぎつぎと来るので、
なかなか頭をじっくりと使っている時間がありません。
それでも、すべきことはあります。
やりたいことがあります。
それが、自分の存在証明にもなるのです。

・大変さの数・
いよいよ大学の前期の講義も
終盤になってきました。
この頃になると講義に関しては
だいぶ精神的に負担が軽くなります。
テスト作成、レポートやテスト採点、評価などが
夏休み直前、直後につぎつぎと訪れます。
学生たちも、テストや採用試験の結果なども
気にはなって落ち着かないでしょう。
いずこも大変さを数えあげれば、
キリがない、センがないことなのでしょうね。