2014年3月20日木曜日

5_117 だいち 1:陸域を観測

 陸域観測衛星「だいち」は役割を終えて、3年近くがたちました。観測された膨大なデータは、今も分析、解析されています。先日、そのデータが公開されるというアナウンスがありました。「だいち」の役割やデータ、近況を紹介していきます。

 2006年1月24日、H-IIA 8号で打ち上げられた衛星「だいち」(Advanced Land Observing Satellite、ALOSと略されています)は、予定通りの軌道に達しました。
 「だいち」は、陸域を観測するための衛星でした。国内の2万5000分の1の地形図を作成することが、重要な目的でした。高精度の地形図をつくための情報を集めていました。地形変更があれば、すぐに対応できました。ただし、「だいち」は地球を縦にめぐる軌道なので、日本だけに調査を限定することはなく、世界各地で同様に地形データを集めることも可能で、実際に集めていました。そのデータは、アフリカ諸国の地図作成にも利用されていました。
 ほかにも、「だいち」のデータは、災害状況把握、地域観測や資源探査にも利用されていました。環境と調和した開発や地球環境のモニターをしたり、災害状況の把握各国からの要請を受けて、年間100件ほどの大規模災害を観測してきました。新潟県中越沖地震や四川大地震などの災害によるを被害状況も観測してきました。活火山のモニターやハザードマップの作成、不法投棄監視、気候変動の影響監視などさまざまな目的で利用されてきました。ブラジルの熱帯雨林における違法な伐採状況の把握してきました。
 2011年3月11日の東日本大震災には、緊急観測として400シーンの撮影をおこないました。しかし、2011年4月22日午前7時30分頃に、電力が急に低下して、セーフホールドモードに移行し、実質的な観測はできなくなりました。「だいち」は国際貢献として、多くの情報を各国に提供してきました。その貢献のお返しとして、各国から東日本大震災に関する5000シーンの情報が提供されました。
 「だいち」の設計上の寿命は3年以上で、5年を目標としていました。約5年3ヶ月の運用となり、目標は達成できました。東日本大震災の観測を最後として、活動を停止しました。いろいろ修復が試みられたのですが、その甲斐なく全機能が停止しました。2011年5月12日午前10時50分、バッテリーの停止命令を送信して、運用が終了となりました。やがては、大気圏突入して燃え尽きるものと推定されています。
 「だいち」は膨大な陸域の観測をしてきました。650万シーンの撮影をしています。その情報は、今も解析されて、利用できるように加工中です。大量のデータが使用できるアナウンスが先日なされました。それは、次回としましょう。

・数値地図・
私は、数値地図や数値標高などのGISを利用して
データの整理や作図などをおこなっています。
その一環で数値地図などの利用方法に関することも興味をもっています。
以前は高いデータを購入していましたが、
今では、国土地理院やERSDACなどが無料で公開しています。
もともとは国民の税金で収集したデータですから、
無料で公開することは理解できます。
かつては国土情報は非常に重要な軍事秘密でもありました。
しかし、Google Erathのように実際には人工衛星で
地表の様子は軌道上から見ることができます。
秘密は地下に隠すしかありませんが
平和のためには隠しごとはない方がいいでしょうね。

・制度変更・
いよいよ我が大学の卒業式です。
今回は初の試みで、大学のホールを使っての開催となります。
同様に4月1日の入学式もホールに変更になります。
今までの制度を変えると、
賛否両論がわき起こります。
その賛否の議論も重要でしょうが、
もっと重要なことがいろいろ山積しています。
優先順位と重点的に検討するところを
うまく処理しなければなりません。
我が身のこととなると、
ついつい視野が狭くなるのは
戒めるべきことでしょう。
でも、人間ですから、
身近なことに敏感になるのは
しかたがないでしょうね。