2013年10月31日木曜日

1_120 日本の隕石衝突 3:地球規模

 日本の衝突の証拠は、岐阜と大分の2ヶ所から見つかりました。層状チャートの間にある泥岩には、重要な地質学的意義があることがわかります。この衝突現象が地球規模で起こった出来事であったということでした。

 前回のエッセイで、佐藤さんたちは、日本にある同時期に形成された2ヶ所の地層から、オスミウムなどの成分を証拠として、衝突があったことを示したことを紹介ました。ここでいう「同時期」と「2ヶ所の地層」には、実は地質学的に重要な意味があります。
 離れた二つの地層からの発見であっても、時代が違うと別々の事件となります。ですから同じ事件によるものだとするためには、同時性を保証しなければなりません。報告では、化石群の対比によって同じ時代であったとしています。厳密には数百年も違えば(化石年代ではこの精度はありません)、事件の関連は不明になります。同時を証明することはなかなか困難ですが、ほぼ同時期と判断していいほどの精度はあります。また層状チャートの中にある厚めの泥岩という特徴も一致しています。このようなめったに起こらない異変が、似た時期に二度も起こるとは考えにくいものです。ですから、同じ異変と考えていいでしょう。
 また、2ヶ所から見つかったといいましたが、岐阜県と大分県です。同じ日本ですが、700kmほども離れています。しかし、700kmは地球の円周4万kmと比べると狭い範囲で、せいぜい日本の一地域の局所的なものとみなしてもいい出来事かもしれません。
 ところが、このチャート層は、現在の場の形成されたのではなく、付加作用によって日本列島に付加したもので、もともとは海洋底でたまったものなのです。
 当時の海洋は、パンサラッサ海と呼ばれる1つの大きな海洋があり、大陸もパンゲア超大陸が1つだけの状態でした。パンゲア超大陸は、地球の北半球から南半球まで南北に長く延びていました。大陸は地球表層の3分の1ですから、あとの3分の2は、広くパンサラッサ海が広がっていたことになります。
 日本で見られるチャートは、大きなパンサラッサ海の赤道付近、つまり海洋の真ん中で堆積したと考えられます。その広い赤道付近の海洋の2地点で衝突の証拠があったことになります。隕石の衝突がどこで起こったかはっきりとはしませんが、陸地だとすると、海洋まで達した全地球的出来事であったといえます。
 さらに、チャートの間にたまった厚い泥岩には、もう一つ重要な意味があります。チャートは海洋表面で暮らしているプランクトンが死んで海底に沈んだ遺骸が、石化したものです。プランクトンが何らかの原因で一時的に絶滅すると、その間はチャートの素材はなくなります。陸から風や海流によってもらせる細粒の泥が溜まります。その堆積速度は非常に遅いものです。層状チャートの間に層の境界には泥の層が多数みられます。ですから、小規模の絶滅は頻繁に起こっていたことがわかります。しかし、厚い泥岩はまれで、大規模な絶滅事件があったことを意味します。
 また、泥岩の中には、球顆(スフェルール)もあったことから、破片が海洋の真ん中まで飛んでくるような、大規模な隕石衝突であったことを意味します。
 今回の2ヶ所で見つかった衝突の証拠は、実は重要な地質学的意味があったことがわかります。

・層状チャート・
層状チャートは日本ではよくみかける岩石であります。
かつての深海に堆積でした生物の遺骸からできています。
そして、上のエッセイでも述べたように、
チャートに層ができるということは、
チャートを区切るものが必要になります。
区切りとなるものが泥岩です。
非常薄かったりすことがありますが、
その区切りにはさまざまなレベルの絶滅が
おこっていることがわかります。
薄い泥の層の中に、
じつは重要な出来事が紛れ込んでいるのです。
私もこれからは、そんな目で層状チャートを
みていきたいものです。

・雌伏期間・
教員採用試験の結果が
全国的にではじめていることだと思います。
そこには一喜一憂があります。
私の学科でもありました。
喜びの人は、来年から晴れて公務員として先生になります。
憂えたの人は、臨時採用や非常勤採用の教員として
あと一年、修行を積むことになります。
長い雌伏期間となります。
でも、それもいい経験として
割り切ることも必要なのでしょう。
もちろん、渦中の人には
それをいうことはできませんが。
めげずに頑張ってもらいたいものです。

2013年10月24日木曜日

1_119 日本の隕石衝突 2:オスミウム

 科学成果が普及するには、多くの研究者がその論を信じ、その方法を適用し、その結果を次なる成果に利用することが必要です。日本発のこの報告は、どの程度普及するのでしょうか。今後に期待できそうです。

 誤解のないようにいっておきますが、今回紹介している論文は、日本で隕石の衝突の証拠が見つかったのであって、クレータが見つかったわけではありません。衝突があったという証拠ですので、ご注意を。
 衝突の証拠を見つける原理としては、隕石固有の成分を地層の中から検出する、というものです。これは、K-Pg境界でイリジウム(Ir)の濃集から隕石の衝突を証明したものと、同じ原理です。
 見つけるための原理は単純なのですが、いくつかの困難があります。
 まず、分析の難しい成分を検出しなければないという技術的困難さがあります。また、そのような地層を見つけることも大切です。無作為に分析をすることはできないので、事前に吟味をしてピンポイントで目星をつけておかなければなりません。さらに、眼に見えない成分ですから、見つけるまで、大量の処理をしなければなりません。そして、見つけたら、再度精査して分析する必要もあるでしょう。できれば、その地層境界が、地質学的に意義のあるもののほうが、分析したデータの価値が高まります。例えば、K-Pg境界の恐竜などの大絶滅と結びつくようなものだと、得た結果が重要な意義を持ってきます。たとえ二番煎じでも、この点は重要です。そんな幾多の困難さを乗り越えなければ、発見につながりません。
 今回の発見の決め手となったのは、オスミウム(Os)という元素でした。オスミウムは、周期律表ではイリジウムの左隣にあり、白金族と呼ばれるグループ(オスミウム、イリジウム、白金など)で、似た性質を持つ元素です。オスミウムは、イリジウムと同様に地表の岩石には少なく、隕石に多い成分となっています。さらに隕石のオスミウムの同位体比(187Os/188Os)は、地球の岩石と比べて低いことが知られています。これで、隕石の関与を確認することができます。
 そのようなオスミウムの特徴を、佐藤さんたちは、三畳紀後期の層状チャートの間にある薄い粘土層(数cmの厚さ)から見つけました。また、粘土層の中から、球顆(きゅうか)、あるいはスフェルールと呼ばれる、隕石の衝突によってできた粒子を、多数含んでいる部分があることもわかりました。さらに、イリジウムの濃集も認められています。
 佐藤さんらの研究では、2012年に岐阜県坂祝町、今回の報告では大分県津久見市江之浦の地層で証拠を見つけました。今回の報告の重要な事は、日本の同時代の2ヶ所の地層から見つかったことです。これは、衝突が局所的なものではなく、広域な現象であることがわかりました。
 問題は、この衝突が起こした異変、あるいは影響が気になります。それは、次回としましょう。

・化石・
層状チャートは数cm程度の地層が繰り返しています。
色もさまざまで、白っぽいもの、赤っぽいもの、
緑っぽいものなどあり、多彩です。
チャートは、プランクトンの死骸が
積み重なってできたもので、
化石がたくさん見つかることもあります。
今回の論文にも化石のデータがついています。
時代を示す化石があると、
詳細な年代決定ができます。
そのような時代データは
事件の重要性を考えるときに必要になります。

・新米・
先日、母から新米が送ってきました。
我が家は食いざかりの男の子が二人いるので
コメが送ってこられるのは助かります。
実家には、今も田畑があるのですが、
母も、高齢なので、畑だけをつかって、
田は知り合いに頼んで作ってもらっています。
その田でできたコメを
母は、家族で必要な分を購入しています。
そこには我が家の分のはいっています。
今年の夏は暑く、古米には虫がわきました。
母は保管するためにコメ用の冷蔵庫を
購入しているのですが、
新米にもわき出しました。
そこで、我が家の分を
すべて送ってもらうことにしました。
30kg一袋の米袋が9袋です。
大量ですが、我が家には涼しい倉庫があるので
そこに入れました。
これがなかなか大変でした。
我が家には大きな男の子が二人いるのですが、
まだ帰ってなかったので
家内と私で入れました。

2013年10月17日木曜日

1_118 日本の隕石衝突 1:冪乗則

 少し前に、日本で巨大隕石の衝突の証拠が見つかったというニュースが流れたのを覚えておられる方がいるかもしれません。その成果をだしたのは、若い研究者とその指導教官や共同研究者たちでした。そのニュースの意味を紹介したいと思います。

 地球には、大小さまざまなサイズの隕石が、今も落下しています。隕石とはいっても、小は目に見えない塵サイズから、大は天体ともいえるキロメートルサイズまであります。
 太陽系初期を除き、現在、惑星空間にある隕石のサイズは、小さいものが多く、大きいものは小さくなっています。このような様子は、直感的にも理解できます。大小さまざまなものがあるとき、一般に大きいものが少なく、小さいものが多くなっていることが多いように思えます。大きいもの一個あれば、小さいもの数桁倍ほどになるということも、理解できます。そのような経験的になんとなくわかっている規則性を定量化したものを、冪乗則(べきじょうそく)と呼ばれるものです。冪乗とは、指数のことで、何乗という形式で示されるものです。
 自然界の規則や現象は、冪乗の形になっているものが非常にたくさんあります。円の半径と面積、級の半径と体積の関係のような身近なものから、力学の法則、電磁気の法則など、いろいろなところがにあります。地震の頻度とマグニチュードの関係、クレーターのサイズとその頻度の関係も冪乗則に従うことがわかっています。クレーターのサイズと頻度の関係は、月などの天体観測から求めれています。その関係は、地球に衝突する隕石が、小さいものが多く、大きいものが少なくなるということを意味し、こちらも冪乗則になっていることを示しています。
 塵サイズの小さな隕石は、地球に入ってきても大気圏で燃え尽きで流星となり、落ちてきても被害を与えるものはありません。地上に落ち、クレーターができるような隕石の落下は稀です。この稀というのは、人間の感覚によるもので、地球の時間で考えると、隕石の落下は通常のことで、地形に残り、大絶滅を引き起こす落下は稀となります。時間スケールの違いです。
 巨大な隕石の落下の稀さを定量化するのは重要なことで、数値を見積もる方法を、このエッセイでも何度か紹介しました。いずれも、大体のことしかわかりませんでした。
 大きな隕石の衝突は、地球の環境に大きな影響を与えるはずです。実際に隕石衝突による影響が明らかにされているのは、中生代(白亜期末)と新生代の境界にあたる、K-Pg境界(K-T境界とも呼ばれています)にあった生物の大絶滅事件だけです。どれくらいの頻度で、生物の大絶滅につながる隕石の衝突があるかは、よくわかっていません。時代境界で隕石の衝突の証拠は何度も報告されましたが、それが大絶滅の原因と認定されたのは、K-Pg境界の事件以外はありません。
 地球の歴史をみても、大きな隕石による絶滅を解明することは、外的要因(地球外の原因)による絶滅か、内的要因(地球内部の原因)によるものかは、重要な問題です。隕石による外的要因と確認されれば、原因は確定ですが、内的要因となると、その原因、シナリオを解明するという作業が必要になります。
 さて前置きがなくなりましたが、2013年9月16日付けのNature Communicationsという雑誌に、H. Sato, T. Onoue1, T. Nozaki and K. Suzukiによる
「Osmium isotope evidence for a large Late Triassic impact event」
(巨大な後期三畳紀の衝突事件のオスニウム同位体の証拠)
という論文が、報告されました。
 尾上さんや佐藤さんなどの共同研究で、2012年にも、岐阜県坂祝(さかほぎ)町で同様の証拠を見つけています。今回は、坂祝に加えて、大分県津久見市江之浦(えのうら)でも同様に証拠を見つけました。その証拠によって、新たな展開が起こりました。その紹介は、次回にしましょう。

・研究の感動・
このニュースはテレビでも流されていたのですが、
私は、学会のニュースで、著者の佐藤さんが書かれた
関連報告を読んで、詳しく知りました。
若手研究者のがむしゃらな努力と
それが報われた時の喜びを感じさせる文章でした。
好感の持てる内容でした。
苦労の末、研究が報われる瞬間です。
自分の若いころを思い起こさせる気がしました。
このシリーズでその様子も紹介する予定です。

・自愛の心・
連休に大学祭があり、その代休として火曜日が休講となり
私は4連休となりました。
久々に長い休みとなったのですが、
風邪気味だったので、
自宅でじっとしていることにしました。
もちろん、用足しにでたり、家族で食事にいったり
自宅での仕事も少しはしていました。
このエッセイもその間に書きました。
天気がよかったのは13日の月曜だけで、
あとは、雨が降ったりやんだりの肌寒い天気でした。
無理をして出かけていたら、
風邪をひどくしていたかもしれません。
まあ自愛の心でしょう。

2013年10月10日木曜日

4_109 祝「四国西予」日本ジオパーク認定

 富士山の世界遺産認定で世間は、少し前から沸き立っていますが、世界ジオパーク、日本ジオパークというものもあります。私が関わっていた四国愛媛県の西予市も日本ジオパークに、隠岐が世界ジオパークにとして認定されました。ジオパークの近況を紹介します。

 先日の夕方、遠方の友人から電話がありました。2010年4月から2011年3月まで、愛媛県西予市に滞在していた時に、受け入れ先として世話になったTakさんからでした。2013年9月24日に、Takさんが中心になり市を上げて準備をしていた「四国西予」が、日本ジオパークに認定されました。
 私の滞在がきっかけになったのでしょうか、西予市はジオパークへの申請に向けてスタートしました。私も微力ながら協力していたので、それから2年を経っての日本ジオパークに認定されたのは、うれしいことでした。2013年9月24日からは日本ジオパーク「四国西予」としての活動が期待されます。
 今年6月22日の富士山の世界遺産認定で、メディアは賑わっているのですが、その影でジオパークの運動も各地で継続されています。以前にもジオパークや、西予市のジオパーク構想について紹介したことがありますが、再度ジオパークとはどのようなものか、そして近況を紹介しましょう。
 ユネスコの支援によって2004年に世界ジオパークネットワークが設立され、世界各国で取り組まれている活動です。「地球の活動の遺産を見所とする自然の公園」がジオパークとなり、それを日本や、世界ジオパークネットワークが認定していくものです。
 世界遺産もユネスコによるものですが、保護を重視されています。一方、ジオパークは保護だけでなく活用も重視されています。活用とは、地質遺産を教育や科学普及に利用することで地域振興のための「開発」も認めています。利用し開発できることが、世界遺産との大きな違いといえます。
 ジオパークには、地質学的に重要な地点がいくつもある地域であることはもちろんなのですが、地域の行政、民間、研究機関が連携して活動することが重要だとされています。そのような地域の地質遺産を人や組織が連携して活用しているかどうかが、ジオパーク認定にむけての審査のポイントになります。
 最近、ジオパークに向けての動きが活発化しています。2013年9月9日、韓国のチェジュ島でおこなわれていたアジア太平洋ジオパーク大会で、隠岐ジオパークが世界ジオパークに認定されました。9月24日には、阿蘇ジオパークも世界ジオパークに加盟申請に推薦することが決まりました。日本ジオパークとして、四国西予のほかに、三笠、三陸、佐渡、おおいた姫島、おおいた豊後大野、桜島・錦江湾の6地域も認定されました。2013年10月現在、日本には32地域のジオパークがあり、そのうち6地域が世界ジオパークになっています。
 ジオパークとして地質遺産が陽の目をみて、地域の人たちがその重要性を理解し、ほかの地域の人たちにもその重要性を伝えるという好循環が起これば、ジオパークの趣旨にそった活動となることでしょう。ジオパークは、あくまでも地域が連携して利用していった結果として、そこに与えられるものではないでしょうか。そんなことも地域の多くの人の知恵を出し合って運動、活動を高めていくことが重要な趣旨でしょう。そんな地域おこしの活動が盛んになって欲しいものです。
 観光客誘致のみの目論見で活動して思わぬ不和が起きてはと、不安に思うのは、杞憂でしょうか。

・リピーター・
地質の名所をみるとき、
ジオパークであることは非常に便利な地域となります。
資料や案内板も豊富で、
地質の重要性もわかりやすくなっています。
ネットでの情報も公開されているので、
事前準備もしやすくなります。
見学地点へのルートも整備されているので、
見たいところへのアプローチもしやすくなっています。
ジオパークでないところは、
そうはいきません。
位置がおぼろげにわかっているだけで、
あとは、その付近をうろうろして見つけたり、
近所の人に聞いて行ったりします。
ですから、見たいところへ辿りつけなかったり、
途中で断念したりすることがあります。
でもそんなところは、
心残りで、再度尋ねることもよくあります。
その時にその地への愛着が深まります。
このよう訪問は、私自身の特殊性なのでしょう。
でも、リピーターを多数生み出すことも
ジオパークの大切な使命ではないでしょうか。
ジオパークでリピーターをうみだす工夫も
地域ごとに違ったものになるはずです。

・紅葉・
10月になって、比較的暖かい日が続いています。
少し体を動かすと汗が出て、
じっとしていると涼しいような肌寒いような気候です。
これが秋というものなのでしょう。
紅葉もだいぶ進んで、
木によってはかなり葉を落としています。
落ち葉を使った実習をおこなっています。

2013年10月3日木曜日

2_119 火星生命 4:パンスペルミア

 生命はどこから来たのか。これは、人類のルーツにもつながる重要な問いで、古くから考えられている問いでもあります。答えがありそうで、なかなか見つからない問いであります。そんな難しい問いに対して、古くからあり、そして新しくもある答えが提示されてきました。

 生命にとって重要な成分で、地球の初期になく、火星に存在したものとして、ホウ素とモリブデンがありました。これからの成分が地球に少なかったという証拠は、非常に難しい問題を提示してきます。生命誕生の場として、地球はふさわしくないというのです。ところが、現在、火星には生命がいなくて、地球では生命が満ちあふれている、というパラドクスはでてきます。このパラドクスを、どう説明すればいいのでしょうか。
 新しい説では、火星初期に生命が発生しやすい環境であれば、すなおに火星で生命が誕生したと考えます。その後、生命の一部が隕石にくっついて、地球に飛来したとします。火星由来の生命が、地球の環境に適応し、地球で進化を続けます。一方、故郷の火星は、惑星のサイズが小さく、大気を長く保持できませんでした。やがて、二酸化炭素を主成分とする大気は薄くなり、温室効果も働かず、海も喪失しました。今では、生命にはいない(ほとんどいない)星となってしまいました。このようなシナリオでパラドクスを回避しようと考えられています。
 火星を故郷とした生命が、地球に飛来したという考え方です。実は、このような考え方は、パンスペルミア説として古くからあったものです。時代によって、パンスペルミア説の装いは、変わってきましたが。新たな証拠に基づき、火星を起源とする説として、復活となるかもしれません。
 パンスペルミア説は、胚種広布説などとも呼ばれています。宇宙にはいたるところに生命があり、生命の種(胚種)のようなものが、宇宙を飛び交っていて、地球にも達したとする考え方です。一連のエッセイで紹介した2つの報告は、パンスペルミア説の有力な証拠となるかもしれません。ただし、今回の説では、宇宙のどかからではなく、火星からの飛来したことになり、より具体性をもった説として再登場します。
 ただし、このパンスペルミア説にも、いろいろな困難があります。誕生してまもなくで、海から独立できない生命が、真空、低温、水も栄養のない過酷な環境である宇宙空間を飛んで、地球に生きて達することができるのか。宇宙空間に耐えれるほど進化した生物であれば、火星の環境変化にも対応できたであろうに、なぜ今はいないのか。地球に飛んできても、隕石の落下時の高温高圧の条件に、通常の生物は耐えられません。また地球の海にうまく軟着陸したとしても、その環境に適応できるたのか。などなど、いろいろな困難さはあります。
 このような困難さを回避するためには、いろいろな時期に、多様な種類の火星生命の飛来が、何度もあればいいのですが、そんなことが本当に起こったでしょうか。少々疑問もあります。火星起源の隕石は見つかっていますが、まれなもので、しょっちゅう飛来してとも考えにくくもあります。
 そして、繰り返しの疑問ですが、そんなにタフな生命であれば、なぜ今の火星で生き延びて、発見されないのか。
 問題はいろいろありそうですが、地球だけが生命誕生の場でないという発想は重要です。そして、生命はもっとタフであったという視点も必要かもしれません。一見、ひ弱な生物も、実はタフであるという証拠もあります。環境さえ整えば、多様で多数の生物が進化してきます。その中には、タフな奴もいたかもしれません。そんな空想が、科学にも必要なのかもしれませんね。

・紅葉の秋・
北海道の秋は、一進一退です。
しかし、木々の紅葉は、日に日に進んでいます。
気温は変動して、秋を忘れさせることはあっても、
紅葉のような不可逆な変化は、
着実に時や季節を刻んでいきます。
先日は霜をみました。
秋が進んでいます。

・ストーブ・
先日、業者の方に、ストーブのメインテナンスを頼みました。
2台あるうちの1台が、型が古いため、
メインテナンスできませんといわれました。
とりあえず、使っていく予定ですが、
近々、新しいストーブに買い替えが必要かもしれません。
高い買物なので、少々考えてしまいます。
しかし、北海道ではストーブなしでは、生活できません。