2013年6月6日木曜日

1_115 三畳紀初期の温暖化 1:P-T境界

 ペルム紀は古生代最後の時代です。古生代と中生代は、地質年代区分でも大きな境界になります。その境界で、大きな事件があったことがわかっていました。ただそのシナリオは、まだ完成していません。最近、新たな事件の証拠が発見されました。

 古生代の終わりの時代はペルム紀(Permian)と呼ばれ、2億9900万~2億5100万年前の期間です。ペルム紀の次の時代は三畳紀(Triassic)で中生代になります。ペルム紀と三畳紀の時代境界を、英語の頭文字をとって、P-T境界と呼びます。
 ペルム紀は、陸上生物が繁栄していました。動物では、大型化した両生類や爬虫類が出現していました。後の恐竜や現在の爬虫類の祖先になる爬虫類(双弓類)や哺乳類の祖先に当たる哺乳類型爬虫類(単弓類)もいました。また、石炭紀に繁栄して大森林をつくっていたシダ類、ソテツ類、イチョウ類などの裸子植物が繁茂していました。海では三葉虫の他にも、フズリナ、四射サンゴ(棘皮動物)、軟体動物、腕足類などの多様な化石が、浅い海の堆積物から見つかっています。陸地も海も、生物で賑わっていたようです。
 ところが、古生代に繁栄していた生物が、P-T境界でほとんど絶滅してしまいました。古生代と中生代の境界が、ここに置かれているのは、今では重要な意味を持つようになりました。P-T境界の絶滅は、地球生命が経験したもっとも大きなものだと推定されています。古生代に繁栄していた三葉虫が絶滅したことはよく知られていますが、他にも多数の生物種が消えた大絶滅だと考えられています。
 「大絶滅」というと、恐竜が絶滅した中生代と新生代の境界(K-T境界、あるいはK-Pg境界と呼ばれる)を、多くの人が思い浮かべることでしょう。K-Pg境界も大絶滅ではあるのですが、「大絶滅のランキング」でいうと、第5位にあたります。
 絶滅のランキングの第1位は、実はP-T境界のものです。その絶滅の程度はいくつかの推定がありますが、海生生物では最大で96%の種が、全生物種で見ると90%ほどが絶滅したと見積もられています。
 それでも、ほんの一部の生物種が生きのびて、中生代の生物がはじまりました。生き延びた一部の生物が、中生代から後の生物の祖先となり、後の系統を形成したので、古生代の生物と中生代の生物は、だいぶタイプが変わっています。その生物種の差が大きさからも、時代の境界がP-T境界にあることは、意味があったのです。
 ところが、P-T境界の大絶滅が、なぜ起こったのか、今でも謎でなのです。いくつかの特異的な現象が知られています。これを説明するために、いくつかの仮説が提唱されています。いずれの仮説も多様な現象を説明するために、複雑なシナリオが必要です。まだ決定的な仮説がありません。研究途上なのです。
 昨年、P-T境界付近で、新たな異常現象が見つかりました。それは、強烈な温暖化でした。その紹介は次回としましょう。

・二畳紀・
ペルム紀は二畳紀とも呼ばれることもあります。
かつては二畳紀のほうがよく使われていましたが、
今では、あまり使わなくなりました。
ペルム紀は、ロシアのウラル山脈の西部の
ペルム地方からとって付けられた名称です。
二畳紀は、この時代の地層がでているドイツでは
赤底統と苦灰統の2つの地層になっていることから
ダイアス(Dyas)と呼ばれていました。
その訳語が二畳紀とされました。
残念がらあまり使われませんが。

・YOSAKOIソーラン・
6月になり、北海道もやっと初夏の気候になってきました。
長い冬と、寒い春がやっと終わりました。
我が家のストーブもやっと休みになりそうです。
天気がいいと、暑さを感じるようになってきました。
暑い日などは、帰宅すると一汗かいているので
風呂よりシャワーで済ましてしまう日もあります。
今週から、YOSAKOIソーラン祭りが始まります。
今年の北海道の夏は、
YOSAKOIとともにはじまります。