2013年5月23日木曜日

5_110 地球型惑星 3:故障

 今回は、予定を変更して、ケプラーの最新ニュースをお知らせます。宇宙望遠鏡であるケプラーは、制御用の部品が壊れたため、観測ができなくなったというニュースが入ってきました。その内容を急遽紹介します。

 今回のエッセイでは、ケプラーが発見したハビタブルゾーンにある地球型惑星の説明をしようと考えていました。ところが、ケプラーに関する重大なニュースがはいってきました。それは、宇宙望遠鏡のケプラーが、壊れたというニュースでした。
 NASAは5月15日、ケプラーの姿勢を制御する仕組みが壊れたという報告をしました。ケプラーは「リアクション・ホイール」という装置で姿勢制御をしているのですが、その1基が壊れました。リアクション・ホイールというのは、簡単にいえばモーターで回転する円盤です。無重力の宇宙空間では、その回転と反対の方向に機体が回る力が発生します。ロケットやジェットを噴射せずに宇宙機の方向を少し変化させるのに利用されています。円盤の回転なので、精密な姿勢制御が可能な装置です。空間の3次元に対応して、基本的には3軸の回転軸をもった3基のホイールで構成されることになります。
 ケプラーはリアクション・ホイールを4基もっていたのですが、1基が2012年7月に壊れ、2012年1月にはもう1基が不調になり一時観測を止まっていました。そして今回、この不調の1基が完全に壊れたようです。
 ケプラーは、はくちょう座とこと座の間の一角で、他の天体の明るさの変化(トランジット法とよばれています)を精密に観測して、惑星の特徴を調べていました。明るさの変化は、いつ起こるかわからない、小さな現象なので、常に同じ方向を向いて観測し続けている必要があるので、正確な姿勢制御が不可欠となります。
 ケプラーの姿勢制御は、他にもスラスターという微修正ができる装置がありますが、精密な制御は困難です。しかし、なんとか残ったホイールとスラスターで姿勢制御をしながら運用する努力をされているようです。
 ケプラーは、地球から離れた軌道にあります。地球と同じように太陽を回る軌道で、地球の後を追いかけるように移動しています。このような軌道をとっているのは、地球の影響(明かりや地球の影になるなど)をなくすためと、太陽系にある多数の小天体の影響がなくすためです。観察方向も太陽系の黄道面から離れていて銀河の星の多い方向(はくちょう座とこと座の方向)を観察するように配慮されています。ですから、ハッブル望遠鏡のときのように人がいって修理することも不可能です。
 ケブラー自身が公転しながら、一定の方向に望遠鏡を常に向けるために、姿勢制御は観察には不可欠となります。21日の段階でも回復の努力は続けられていますが、ホイールの故障は回復していないようです。
 ケプラーのデータのうち、まだ解析されていないものもたくさんあるようなので、その解析によって、これからも新しい発見が期待されそうです。当初計画より長く運用もされてきました。このエッセイで紹介するような、大きな成果を上げたばかりなので、やはり残念です。次回こそ、ケプラーの成果を紹介します。

・タイミング・
今回のニュースは少々驚きました。
まさにエッセイを書いている時だったので、
タイミングとして取り上げることができてよかったのですが、
悪いニュースを喜ぶことはできません。
ケプラーのエッセイは
前回話題にした3.11のときといい、今回といい、
どうもあまり相性が良くないのでしょうか。
まあ、これは起こりうる偶然なのでしょうが、
少々気になるところです。

・風邪の流行・
北海道はまだ天候不順です。
数日の暖かい日に桜はやっと満開になりました。
まだ、残雪も一部残っています。
天気がよければ暑いくらいなのですが
曇りで風のある日には
コートが必要なほどの寒さになります。
風邪を引いている学生も多数います。
我が家でも、次男と家内が風邪をひき、
高体連中の長男も少々風邪気味のようです。
今のところ私はだいじょうぶなのですが、
いろいろな風邪のウイルスを
タップリと吸い込んでいるはずです。
体力だけで持ちこたえるようです。
いろいろと校務が忙しくなってきたので、
寝こむと支障をきたすことになるので、
なんとか体が持って欲しいものです。