2013年5月16日木曜日

5_109 地球型惑星 2:ケプラー

 人類の好奇心として、地球外生命の存在の有無は、もっとも刺激されるものでしょう。そんな好奇心をくすぐるようなニュースが相次いでいます。今回は、そのニュースの一つを紹介します。

 遠くの天体、それも光を発することのない惑星を、探査するのは非常に難しい観測となります。遠くの惑星を探す方法は、このエッセイでも、昔からの方法から最新の方法まで、いくつか紹介したことがありました。その中で太陽系外の惑星探査を目的とした宇宙望遠鏡ケプラーについても触れました。ケプラーは、NASAが2009年3月6日に、地球型の惑星を太陽系外から探すことを目的として打ち上げたものです。
 計画では、3年半にわたって、10万個の恒星の明るさの変化を測定し、惑星を見つけようとうするもの(トランジット法)でした。10万個の恒星を測定すれば、確率的には480個の地球型惑星を発見できると見込まれていました。当初の計画の3年半を過ぎていますが、現在も観測は続けられていて、今も重要な成果を挙げています。
 ケプラーはこれまで、15万個以上の恒星について観測をおこない、2740個の太陽系外惑星を見つけています。そのうち122個が、惑星であると確定できる観測をしてきました。
 ケプラーによる探査の成果は、これまでも何度か話題になりました。
 2013年2月21日には、水星より小さく月より少し大きい惑星が見つかっています。はくちょう座付近のケプラー37と名付けられた恒星の惑星の一つで、地球と比べると約3分の1の大きさしかりません。ケプラー37では3つの惑星が見つかっていますが、そのもっと内側をめぐる惑星(ケプラー37b)で、水星のように大気がなく、太陽の近くなので灼熱の惑星ではないかとみられています。ケプラー37bは、岩石からできていて、固い地面をもっている地球型惑星と考えられています。ケプラーで、小さき惑星を発見できる技術が確立されたこと示すニュースでもありました。
 最近、ハビタブルゾーンから、惑星がみつかったというニュースが流れました。
 恒星の明るさにもよりますが、ハビタブルゾーンは恒星の近くの限られた範囲に形成されます。もちろん、その範囲に惑星がなければなりません。ただし、惑星の大きさにも制限があります。大きな惑星であれば、太陽系の木星や土星のようなガス惑星になり、固い地表や海の存在が望めません。ある限られたゾーンのある大きさの惑星あることが、必要条件となります。これは見つけるのが難しい条件となります。
 2013年4月18日、NASAから、ハビタブルゾーンで地球型惑星が発見されたというニュースがでました。それも、3つも見つかったという報告でした。着実に観測は進んできています。その詳細は、次回としましょう。

・3.11の思い・
太陽系外の惑星を探査する宇宙望遠鏡
ケプラーを話題にしたのは、
「6_88 ケプラー3:異形の惑星系」
というものでした。
このエッセイには苦い思い出があります。
発行日は、2011年3月17日で、
3.11の東日本大震災の直後のことでした。
そのため、この時期はエッセイの発行を休止するか、
その時にふさわしい話題にするか、
などいろいろ迷いました。
しかし、但し書きつきで、このエッセイを発行しました。
ですから、ケプラーは、私にとっては、
そんな思いがよみがえるものとなっています。

・好奇心・
ハビタブルゾーンの地球型惑星の次に期待されるものは、
生命の存在可能性についてでしょう。
探査のための、いくつかのアイディアは生まれるでしょう。
もっと精度の高い望遠鏡で観測するとか、
そのような惑星をターゲットにSETIを行なう、
あるいは、何らかの信号を送ってみる、・・・。
まあ、遠い星のことなので
どの方法がいいかは、いろいろ考えるべきでしょう。
でも、そこまでわかってきたら、
もっと知りたいという好奇心がかき立てられます。