2013年4月11日木曜日

3_119 ホットスポット 3:たなびく

 ホットスポットは、マントル深部から上昇してくる温かいマントルの流れです。それの流れが、マントル対流の風に「たなびいて」いることがわかってきました。そのたなびき方が、ホットスポットごとに違っているようです。自然は、本当に不思議です。

 前回は、ホットスポットの古地磁気を調べることで、移動の様子を探ることができることを紹介しました。ハワイから続く天皇海山列の調査から、ホットスポットが移動していることを示しました。8000万年前から5000万年前の間に、1700kmほど南(緯度で約15度、6cm/yほどのスピード)に移動していることがわかりました。
 もう一箇所、南太平洋のニュージーランド沖のルイビル海山列で調査がされました。前回はここまで紹介していましたが、その結果は、移動が確認されなかったというものでした。約7000万年前から現在まで、ほぼ現在の緯度にホットスポットはあったことがわかりました。海洋プレートは移動しているのに、ホットスポットは移動していないことになります。
 測定された2つのホットスポットは、北太平洋と南太平洋と位置は離れていますが、同じ太平洋プレート内にあります。太平洋プレートは、全体が北西方向へ移動していることが実測されています。
 ただし、古地磁気から俯角を復元しているので、緯度(南北方向)の移動は読み取れますが、経度(東西方向)の移動を読み取ることはできません。
 2つの調査結果から、プレートの運動に対して、ホットスポットごとに運動が違っていることが明らかになりました。ホットスポットは、それぞれが独自の運動をしていることになり、その中には運動をしていないものもあるようです。
 その原因として、マントル・ウインド(mantle wind)モデルというものが提案されています。ホットスポットはマントル深部からの上昇流ですので、マントル対流とは別の動きをしています。しかし、マントル対流の中を上昇してくるのですから、対流の影響をうけるはずです。マントル対流が風とすると、ホットスポットも風に「たなびく」というモデルです。
 マントル・ウインド・モデルのシミュレーションでは、ルイビル海山列のホットスポットは、南北には動かないと、事前に予測されていました。それに合致した測定結果となったわけです。ですから、このモデルが検証されたと考えられています。
 本当の検証のためには、大西洋プレートやインド洋プレートなど、他のホットスポットの運動を調べて検証しなけばなりません。今後、IODP(統合国際深海掘削計画)でも掘削が検討されているようです。ただし、三番煎じの研究となりかねないので、どの程度の熱意をもっておこなうかは、なかなか難しい問題かもしれません。でも、マントル対流の実体解明には、いろいろなホットスポットの移動を明らかにすることが不可欠です。
 マントル・ウインドにホットスポットが「たなびく」ということは、わかりいいモデルですが、さてさて本当にそんな風が吹いているのでしょうか。今後の研究にもそんな追い風が吹いていくれるといいのですが。

・新学期・
いよいよ大学の新学期がはじまりました。
新入生は期待や不安を胸に
大学生活をスタートしたことでしょう。
在学生も、新しい学年になり
いろいろ思いを新たにすることもあるでしょう。
私も何故か、今年の新学期には
心があらたまったた気がします。
教員も新入生の期待を裏切ることなく、
励まなくてはいけません。
疲れたり、不安を感じている学生には
それなりのサポートが必要になります。
これも、個に応じた対応が必要なので、
なかなか大変ですが、
今では教員の重要な仕事ともなっているようです。

・春?・
北海道も、ようやく春めいてきました。
多くの道で、雪は消えました。
まだ、あちこちに雪がたくさん残っているので、
雪原を渡る風は冷たいのです。
朝夕も氷点下になることが減ってきました。
でも、まだコートは手放せませんが。