2012年10月11日木曜日

4_107 羽越調査 4:光輪

 秋の調査の最終目的地は、鳥海山でした。鳥海山は大きな山で、いろいろな地質学的見所があるのですが、今回は、ちょっと眺めるだけで、小手調べのようなものです。でも幸運なことに、ほんと束の間、雲が切れて山頂を眺めることができます。そして、もうひとつ、いいことが・・・


 秋の調査の終わりに、鳥海山を目指しました。鳥海山は、山形と秋田の県境にある大きな火山です。何度かの噴火の記録があり、1974年3月から5月にかけては噴気を出したことがあるので、活火山に分類されています。
 現在は、無料になった鳥海ブルーラインを使えば、海抜0mの海沿いの国道から、標高1100mまで一気に登ることができます。
 蒸し暑い残暑の残る9月でしたが、平日のせいもあり、交通量の少ないブルーラインを登って、5合目の鉾立(ほこたて)につきました。鉾立で鳥海山を見ることにしたのですが、周辺は晴れているのですが、山頂付近だけ雲がかかっていました。展望台でガスのかかった奈曽渓谷をみていました。それはそれで幻想的ではあったのですが、ブロッケン現象が起きました。
 背後に太陽があり、自分の影が霧などにできることです。そのとき、影の周辺の霧の水滴によって光が散乱され、影の周りに虹の輪ができます。そのような影と虹が織りなす現象を、ブロッケン現象と呼んでいます。日本では、光輪とか御光(ごこう)、御来迎(ごらいごう)などと呼ばれてています。
 ブロッケン現象ができる条件は、太陽と自分と雲が一直線に並ばなければなりません。平地でも、早朝に霧が出ていると、見えることがありますが、なかなか起きない現象です。高山や飛行機に乗ったときに、条件さえ良ければ見ることができます。まあ、現在では飛行機にのったり、高山に車で上がることが簡単にできるようになりましたので、見える機会は増えたはずです。しかし、常に起こる現象でもないので、珍しい現象であることには変わりありません。
 自分の姿を写す影が虹に彩られる現象は、やはり御光や光輪という呼び名がふさわしいように思えます。手を振れば影も周りの虹も手を振ります。不思議な現象です。
 鳥海山ブルーラインを登りはじめたのは、午後3時を過ぎていました。その日は晴れていたのですが、鳥海山の山頂には、雲がいつもかかっている状態でした。ですから、今回の調査では、鳥海山の山頂を見ていませんでした。うまく雲が切れれば山頂が見えるかもしれない、だめでもともとのつもりでブルーラインを進みました。
 交通量が少なく、緑も多かったので、非常に快適なドライブでした。5合目の展望台についてから眺めても、山頂には雲がかかっていました。ブロッケンが起きたあとしばらくしたら、山頂の雲も晴れました。非常に幸運でした。

・虹・
ブロッケン現象でみえる虹色と
本来の虹とは、厳密には違っています。
虹は、水滴によって、光が屈折と内部反射されてできます。
ブロッケン現象は、雨の粒よりもっと小さいな水滴である
霧による散乱でできるものです。
と原理は紹介できますが、
その不思議さはいずれも同じでしょう。
そして見た時の感動も同じようなものです。
ただし、ブロッケン現象は自分が中心になっています。

・不運・
鳥海山についていはのは、
夕方近い時刻だったので、
山頂や周辺を散策する時間はありませんでした。
1000m以上も高いところだった鳥海山5合目は
涼しかったのですが、
当日宿泊予定のにかほ市象潟(きさかた)は、
海沿いにあり蒸し暑かったです。
これは不運でしょうか。
まあ、思い出はいい方だけ残るので
いいのかもしれません。

・いつも忙しい・
大学は大学祭もおわり、
学生たちも落ち着きを取り戻したようです。
1、2年生の学生にとっては、
12月まで大きな行事もなく、淡々と講義が進みます。
ただし、4年生の就職の決まっていない人は就活を
3年生は12月から就活が本格化してきます。
教員採用試験を受けた人は、
これから結果がでてきます。
大学は、AO入試や推薦入試など、
来年度の入試がもうスタートしています。
一見淡々としたようにみえても、
よくよく考えると、慌ただしいことが
水面下では起こっているのです。
まあ、いつも忙しいということでしょうか。