2012年7月19日木曜日

2_106 大不整合 3:生物鉱化作用

大不整合は、単なる欠損ではなく、地形や圏の境界でもありました。次なる時代への影響も少なからずあったようです。ただし、不整合にはその証拠は残っていません。その後の堆積物の中に、広く薄く残されていました。そこから、カンブリア大爆発への影響の痕跡が読み取られました。

 北アメリカ大陸だけでなく世界中でみられる大不整合は、地球の歴史においてどんな意味を持つでしょうか。
 ペーターとジャイネスは、地質のデータベース(Macrostrat)を活用して、北アメリカ大陸での大不整合の意義を調べました。大不整合は、古い基盤の岩石とカンブリア紀からオルドビス紀初期までたまった地層の間に時代にあります。カンブリア紀以前の地層は、陸地になっていたためたまっていません。地層の欠損となります。
 カンブリア紀以降の地層の堆積岩の化学的特徴から、どのような環境であったかを、彼らは調べています。その結果、大不整合の上に溜まった地層には、他の時代の地層と比べて、いくつかの際立った特徴がみつかりました。不整合の面積が広いこと、海が浅海であること、陸棚の炭酸塩が多いこと、などでした。この結果から、どのような意味が読み取れるでしょうか。
 大不整合の時期、北メリカ大陸は広範囲に陸化していて、大陸では激しい風化が起こっていました。ダーウィンや多くの古生物学者も、大不整合は、地層の欠損を意味していると考えていましたが、別の意味があると主張しています。大不整合は、陸-大気から海洋-大気への地形境界面の変化ともみなすこともできます。陸地の境界面で起こっていた風化作用が、浅海になったときに、海洋環境に大きな影響があったのではないかと考えました。
 広い大陸で激しい風化が起こり、そこに海が侵入してきました。広い大陸に浅海が広がります。浅海の海水では、イオンの濃度が一気に上がり、アルカリ性も強くなりました。それは普通の海の環境とは大きく違っていました。その結果、生物鉱化作用(biomineralization、殻は骨などの形成)が起こり、その後カンブリア紀の大爆発が引き起こされたのではないかとしています。
 従来カンブリア大爆発はカンブリア紀以前(クリジェニ紀からエディアカラ紀)に起こったとされています。もしそうなら、順序が逆で、しかも数千万年ほどの年代差があります。彼らは、すでに誕生していた多様な祖先型動物に、環境変化によって生物鉱化作用が促進され、それがカンブリア大爆発となったのではないかとしています。
 ペーターとジャイネスの仮説は、膨大なデータに基づいています。それなりの説得力もあります。量が質を保証する訳でないですが、量は発言者の自信を生みます。コンピュータの進歩や情報量の増加によって、デジタル情報処理は大きな武器になります。今後も科学は、その手法も取り入れて進むでしょう。
 提唱される説は、これからの検討が答えを出すことになるでしょう。各地の試料の再検討、新しい精度の良い分析などが、根拠となり、決着をみるでしょう。今後も見守って行きたいと思います。

・計画停電・
西日本では激しい集中豪雨で、
各地に被害がでています。
お見舞い申し上げます。
幸い北海道は、夏の快適な天気になっています。
乾燥しているので風があると、
木陰では涼しいくらいの快適な時期です。
我が家では、夜は窓を閉めて寝ています。
7月下旬から8月上旬の暑さはわかりませんが、
2010年夏並に熱くなるようだと、
電力不足が心配されています。
しかし、節電、計画停電ですみ、
それで乗り越えられるのであれば、
北海道には原発は、
要らないことになるはずなのですが・・・・

・一杯一杯・
大学は、まだ講義中です。
7月一杯まで、講義がおこなわれ、
8月に定期テストがあります。
それが終わると、お盆に入りますが、
教員は採点、入力、評価をして
お盆明けに成績提出となります。
その後、夏の集中講義あります。
8月は、一杯一杯です。
もちろん7月もですが。