2012年5月3日木曜日

3_104 海台 1:巨大海台

海洋は、まだまだ謎に満ちています。最初の謎解きは、多くの人が興味をひく、特別な場です。ありふれた場所は、代表的なところが解明されれば終了です。あとは特徴的なところへとつき進みます。海底の調査研究もその順に進んできました。

 海底には、さまざまな地形があることがわかってきました。列島や大陸の縁にある海溝、巨大な山脈である中央海嶺、海嶺を切る巨大な横ずれのトランスフォーム断層、点々と多数分布する海洋島や海山などの火山。海底は大陸以上に多様な地形があります。それぞれの地形は、地質学的背景をもっています。
 変化に富む海底ですが、いまだに未知の世界で、わからないことが一杯あります。海底は、専用の大きな調査船と特別な観測機器がないと調査がでないので、個人が自由に調べることはできません。研究をするためには、大きなプロジェクトを組む必要があります。大きなプロジェクトには、莫大な税金が投入されますので、明瞭な目的と規模に見合った成果が要求されます。
 海底地形は、大まかには知られています。そのために、概略の地形に基づいて、多くの研究者の興味をひく場で、プロジェクトが組まれ、調査が入ります。そして、より詳細がわかってきます。
 幸い海洋島は、海上に顔を出しているので、島に行く手段さえあれば、個人でも調査が可能です。しかし、個人の興味では、海底は調査ができないところです。また、興味を引く話題性に乏しいところの調査は、後回しにされます。
 調査船が自由に使えないころは、海域では、海洋島が主な調査対象でした。その後、海底の音波探査や海底の地磁気の調査によって、海底地形や形成過程の概要がわかってきました。深海底の平らなところは、いくつものボーリングがなされ、典型的なところはおさえられました。一番広い代表的なところがわかってきたので、それでよしとされました。
 興味の中心は、まずは中央海嶺、ついで各地の海山、海溝付近になり、現在では列島の付加体付近が、それに加わりました。いずれも海底地形では特徴のあるところでした。
 「海台」の実体解明が、他の海底には比べて遅れていたのですが、近年その研究が進められてきました。海台とは、海底より高い台地状の地形のところで、非常に大きな規模のものがあることもわかっていました。以前は海台の上部は平らだと考えられていたのですが、調査が進むにつれて、複雑な地形があることがわかってきました。海台には、いくつかの起源があると考えられています。
 中でも巨大な海台について、最近、その実体がわかってきたので、シリーズの紹介していきましょう。まずは、海台の中でももっとも巨大なオントンジャワ海台です。オントンジャワ海台は、西太平洋の赤道付近、ソロモン諸島の北にあります。面積186万km2、体積2690万~6130万km3(見積もりの誤差は大きです)で、関連する周辺の部分も含めると全体で面積488万km2、体積3640万~7600万km3になり、面積は地球の約1%、日本の面積の約14倍にもなります。
 その海台の正体は、次回としましょう。

・粘り強さ・
個人の努力で目標を達成できないのは、
いち研究者としては、歯がゆいものです。
それでも諦めることなく興味を維持していれば
やがては叶えられることがあります。
そのためには絶えることなく
他のことをしながらも、
興味を維持する粘り強さが必要です。
その粘りが、研究には一番大変なのですが。

・真面目な学生・
ゴールデンウィークの中2日間は、
授業をしていても学生の数が幾分少なく感じます。
でも、思ったより多くの学生が出席しています。
聞くと体育会系のクラブでは大会があるとのこと。
そして、後半の連休に帰省するという学生も多いようです。
まあ、素直で真面目な学生たちが
大半なのでしょうね。