2012年3月1日木曜日

5_103 イトカワ 2:公開試料

イトカワの試料が公開されました。試料の数は多いのですが、非常に小さいため、研究目的もさることながら、分析技術もそれなりの実力が必要となります。公開された試料の概要を紹介しましょう。

 イトカワの試料が研究者に対し公開され、公募が始まったことを前回紹介ました。公開されたイトカワの試料とは、どのようなものだったのでしょうか。まだ、全貌が明らかになっていなのですが、公開されている情報から紹介していきましょう。
 「はやぶさ」が長い航海の末、持って帰ってきたイトカワの試料を、慎重に処理するために、特別な実験室や装置が用意されました。ヘラで慎重に採取するという方法だったのですが、最後にひっくり返したら多数の試料がでてきことはニュースにもなり、ご存知の方もおられるでしょう。以前にもこのエッセイ(6_82から6_85)でも紹介しています。
 回収された試料は、1500個以上になるともいわれ、カプセルにはまだ回収できてない試料が残っていると考えられています。これからも回収作業は継続されていきます。また、回収された試料も、1000個以上はまだ未分析で残されています。今後もカタログ作りは進めれていくはずです。
 まずは、その一部が公開され、国際研究の公募がされたのです。事前に日本で公募された8つの初期分析チームに、2011年4月に約60個のサンプルが配分されました。各チームは試料のカタログ作りもおこなっています。
 今回、190個ほどの試料が公開されました。一部の試料はNASAに送られましたが、それ以外の試料は公開されています。試料の詳しいカタログデータはホームページで公開されています。カタログでは、試料ごとに、番号がつけられ、試料の状態、サイズ、鉱物相など初期分析の結果が示されています。カタログには、配分されたチームが用いた装置による初期分析のデータも示されています。
 ほとんどが100μm(0.1mm)以下の非常に小さい試料で、地球での汚染を受けないように最新の注意を払っての配布となります。今の技術では、100μm以下のサイズの粒子でも、充分に精度のよい分析が可能で、研究成果があげられると期待されます。もちろん、大きければ情報量も増えるので大きいな試料は貴重になってきます。多分も応募も多くなると思います。ただし、100μmを越える試料(貴重なので保存)と10μm以下の試料(現状では充分な成果は期待できない)はデータの公開はされていますが、国際公募には適用されず保存されています。
 これから世界中の「腕の覚えのある」研究機関に試料配分がされていくでしょう。いろいろな成果が出だします。楽しみです。
 次回から、初期分析チームが出した成果を紹介していきましょう。

・公募・
2月下旬は忙しく、苦しい思いをしました。
書きたいことがあれば、
比較的さっさと書けるのですが、
今の2月末締め切りの原稿には手こずりました。
やっとの思い出、原稿も終わり、ほっとしています。
次は研究費の申請書類の作成となります。
このような書類を書くときは、
大変ではあるのですが、
次はどんな研究をしようかと夢が膨らむので
楽しくもあります。
多分イトカワの試料の応募書類を書いている人も
同じ思いなのでしょうね。

・あっという間の2月・
今年の2月は閏月なので
一日多くなっています。
締め切りに一日でも余裕ができたので助かりました。
2月はもともと日にちが少ないのと
しなければならないことや校務が目白押しだったので
あっという間に過ぎてしまいました。
実は3月もあっという間なのですけどね。