2011年11月10日木曜日

5_94 指数と有効数字:キログラム 1

 何かの物事を調べたい時、科学的なアプローチとして、実験、観察によっていろいろな性質を計測していくことがよくあります。そのとき、物事の属性によって、はかるべき装置や測り方はいろいろです。いったい私たち人類は、どれくらいのものをはかってきたのでしょうか。そして、究極の属性とは、何を調べればいいのでしょうか。その答えは単位に隠されています。

 物事の属性は、多様です。属性を定量的に示す方法として、科学では計測をしていきます。時間、長さ、重さ、温度、電流、抵抗、などなど。はかれる属性はいろいろありますが、いったん数値化できれば、比較や計算など、いろいろな操作でき、法則を導き出すことも可能です。数値化は属性の表現として非常に有効で、多用されています。
 小・中学校の理科の実験や観察、高校大学の物理や化学でならった式や定数で、いろいろな単位に出会った記憶があります。その単位こそ、計測可能な属性の本質かもしれません。
 計測できる属性とは、いったどれくらいあるのでしょうか。ちょっと考えただけでも、いっぱいありそうです。例えば、速さでも、時速○km(km/時)や秒速○m(m/秒)、光年など、密度でもg/cm^3、kg/m3など、いろいろな単位を見かけます。この世にはいろいろな物質や現象があるので、それらをはかろうとすれば、多数の単位が必要になるのは、仕方ないことでしょう。
 ところが、同じ属性、例えば速さなら、単位がいろいろあっても、単位ごとの換算は可能です。速さという属性は、さまざまな単位が使われていますが、それは便宜上のことで、必要とあらば、ひとつの単位であわらすことができるということです。
 もちろん一つの単位にすると、大きな数や小さな数は、やたら後ろにゼロがいっぱいついたり、小数点のゼロがいっぱい前にあったりします。大きな数値、小さな数値が、表現しにくくなります。しかし、指数を使えば、どんな大きな数値も非常に小さな数値も、同じ単位で簡単に表現することが可能になります。10の○乗(このエッセイでは10^2と表記します)という表現手法です。1000なら10^3、0.01なら10^-2などと書く数学的な約束事を利用するのです。数学的表現ですが、大きな値のゼロや、小さな値の小数点以下のゼロを、簡略化して表現できます。指数を使えば、単位は一つで済ませることができます。
 1gと1.00gは違った意味を持ちます。計測値は、表されている数の次の桁を四捨五入したものです。1gとは0.5gから1.4gの値のことです。1.00gとは、0.95gから1.04gのことです。同じ1gと1.00gでも、その値の意味するところは違っています。このような数字の桁数に意味があるものを、有効数字といいます。つまり、どこまで正確を示す方法でもあります。
 1gは小数点1桁目を四捨五入したもので、1.00gは小数点3桁目を四捨五入したものという意味です。この有効数字の表現方法を用いれば、どこで四捨五入されたものか、どこまで信頼できる数値なのかがわかります。
 指数と有効数字を利用すれば、どんな大きな数値、どんな小さな数値でも、簡便にそして正確に示すことができます。一つの属性はひとつの単位で示すことができます。しかし、属性はいっぱいあります。はかる属性は、少ないほうがいいでしょう。次回は、必要最小限の属性を考えていきましょう。

・ニュース・
10月下旬、質量の基準となっている国際キログラム原器が
数年後に廃止になるというニュースが流れました。
記事をお読みになった方もおられると思います。
私は、「とうとう来たか」という思いと
「いったにどういう基準にするのか」という思いがありました。
そんな思いからこのエッセイを書きました。
まだ、基準は未定ですが、技術が進んでいるので、
よりよいものになることを見守っていきたいと思っています。

・落ち葉・
今年の冬は少々遅れているようです。
北海道も秋のはじまりは冷え込みありましたが、
穏やかや暖かい秋となっています。
お陰で、落ち葉が完全に紅葉して
木々から落ちて行くのを見ました。
たいていは雪や木枯らしでふき飛ばされるのですが、
今年は天寿を全うした落ち葉となりました。
先日、森を抜けて帰宅したら、
からからした落ち葉が積もっていました。
しかし、ここ数日の小雨でしっとり濡れたでしょうが。