2011年7月21日木曜日

6_90 存在度:レアアース1

 先日、ニュースでも大々的に取り上げられたので、ご存じの方も多いと思いますが、海底から発見されたレアアースの大鉱床が今回の話題です。そもそもレアアースとはどのようなものなのか、そしてなぜニュースになるような話題なのかを説明していきたいと思います。

 レアアースと呼ばれる資源が、最近何度か話題になりました。ひとつは重要な産出国である中国が輸出規制をしはじめたこと、尖閣諸島の漁船拿捕への報復として事実上の輸出ストップしこと、そして最新のニュースとして大きな鉱床を海底で発見したというものです。今回は、海底のレアアースについて考えていこうと思います。
 レアアースとは、正確には「希土類(きどるい)元素」と呼ばれている一連の元素類です。英語では"Rare Earth Elementes"になります。研究者間ではレアアース略して呼んでいたのが、いつの間にか世間に流布して、多くの人が使う用語となりました。英語も日本語も、「地球では稀な元素」という意味で、もともと少ない元素であることを意味しています。
 何にくらべて稀かというと、宇宙や地球、地殻などの代表的な物質の構成元素全体に占めるそれぞれの元素の割合でみたとき少ないということです。そのとき、代表的な物質として、宇宙はある種の隕石(オルゲイユとよばれる隕石)や太陽の平均化学組成を、地球はいろいろな岩石から推定された化学組成を、地殻は大陸の堆積物や堆積岩の平均値を用いています。ある基準となる元素、水素(H)やケイ素(Si)と比べてどれくらいあるかを比率で示されたもので、存在度と呼ばれています。いずれの存在度でみてもレアアースは稀となります。
 ただし、宇宙や地球の存在度と地殻の存在度を比べると、10倍から100倍程度の多くなっています。これは、レアアースが地殻に農集しているということです。それでも、地殻の主要成分であるケイ素とくらべて10万分の1程度、濃度でいうと数10ppmから数ppm(100万分率)程度しかありません。
 いずれにしても少ない元素です。工業的に利用しようとすると、ある程度農集したものが必要になります。それは、レアアースを多く含む鉱物を見つけることです。
 フッ化セリウム石、フェルグソナイト、フェルグソナイト、バネスト石、シンキス石、パリサイト、モナズ石、ゼノタイム、ガドリン石、褐れん石などにレアアースがたくさん含まれています。ですからこれらの鉱物がたくさん産出するところが産地となります。ただし、岩石中では稀な鉱物ばかりで、大量の岩石からも少ししか見つかりません。抽出することは経済的にも不可能となります。
 ただ、これらの鉱物は比重が大きく、川底に農集しやすい性質があります。川底の鉱物濃集部が鉱床となります。砂金と同じ起源ですので、昔の大河の跡などが鉱床となります。レアアースを比較的たくさん含む花崗岩が風化して、それが土壌となります。土壌の中の粘土鉱物がレアアースを吸着することがあります。そのような鉱床をイオン吸着型鉱床といいますが、中国南部の鉱床はこのタイプになります。いずれの鉱床も、大陸地域に多く見つかっています。残念ながら日本ではほとんどれません。
 では、レアアースは元素類だといいましたが、どのような種類の元素があるのでしょうか。なぜまとめて扱われているのでしょうか。それは、次回としましょう。

・ICP-MS・
研究者は、レアアースとも呼びますが、
希土類とか英語の頭文字でREEと略記することもあります。
レアアースは、かつては分析が難しく
手間のかかる成分でした。
最近ではICP-MS(誘導結合プラズマ質量分析装置)を用いると
比較的簡単に精度良く測定できるようになりました。
大量に分析ができるようになってくると、
今まで探すことのなかったところへも
探求の目がはいることになります。
探索によって、思わぬところに
レアアースが大量にあったことがわかりました。
今回は、それを紹介するシリーズです。

・梅雨開け・
梅雨も開けて暑い日々が続いていると思います。
本州の梅雨前線が北海道に上がり、
北海道が少々蒸し暑くなりました。
しかし北海道の梅雨前線も台風の影響でしょうか
太平洋に追いやれて、夏めいた天気になりました。
台風が来るので、災害が心配ですが、
これで少しは大地も冷やされるでしょうか。
台風で少しでも冷えれば省エネになるでしょう。