2011年7月7日木曜日

2_91 1か2か:恐竜の子孫 2

 指は、親指を第1指、小指を第5指という番号がふられています。指の番号は、今見えている指の順につけられているわけでなく、発生学的に退化した指にも番号がふられています。恐竜と鳥の指番号が違っていました。これが、恐竜の子孫が鳥類であるという説において大きな問題でした。

 恐竜の子孫が鳥であるというのは、今では多くの人に知られるようになった説でした。もちろんその情報の発信元は、科学者たちの成果に基づくものです。ところが、科学の世界では、完全にそれが証明され、納得されている訳でありません。その理由は、恐竜類が進化して鳥類になったとすると、いくつか説明できないデータがあるためです。
 その中でも一番の問題は、指番号でした。前肢の指です。鳥の前肢とは、羽に当たります。羽にも骨があり、指が進化したものです。ですから、指の番号をつけることができます。
 指番号とは、親指から第1指、第2指と番号がつけられ、小指が第5指となります。両生類から爬虫類、鳥類、哺乳類と、動物の指をみていくと、いろいろな指の数があることが分かっています。しかし、もともとは、いずれも5本の指があったのが、進化によっていろいろな本数になっていったと考えられています。
 さて、恐竜です。恐竜の指も、もともと5本でした。鳥類の直系の祖先は、獣脚類だと前回のエッセイで紹介しました。獣脚類は、3本指ものが多くなったいます。しかしもともと獣脚類は、5本指で進化の過程で3本指になっていっきました。第4指と第5指がなくなり、第1指、第2指、第3指が残ったことが化石からわかっています。ちなみに始祖鳥は、恐竜と同じように、第1、2、3指であると考えられています。
 ところが、鳥類の指は、第1指と第5指が退化し、第2指、第3指、第4指が残っているとが、信じられてきました。その根拠は、鳥類の卵の状態から、指のできかたを調べる発生学から得られた知見でした。ニワトリやダチョウを発生学的に調べると、もともと5つの指のもと(原基と呼ばれる軟骨の塊)が形成され、そのうち真ん中の3つが残り、両側の原基は退化して消えていきます。そのことから、鳥の指の番号が、第2指、第3指、第4指となると考えられています。
 その発生学的証拠が、今回、東北大学の田村宏治さんと野村直生さんが書き換えられました。大きな問題が解消されたことになるわけです。その内容は次回としましょう。

・パンダの指・
今回の論文を見たとき、みえているものが、
必ずしも真実を示しているとは
限らないということを感じました。
パンダの第6番目の指というものがありますが、
あれは位置的には、第1指より内側にあります。
ですから、第0指というのでしょうか。
ただし、これも本当に指が骨があるわけでなく、
発生学的には指と認定されないはずです。
第1指の骨が変化したものだそうなので、
第1.5指とでもいうべきなのでしょうかね。
まあ、科学的にはどうなるのかわかりませんが。

・月日の経過・
7月になりました。
いつも7月になると、
もう1年の半分が終わったのだと思っていまいます。
学校や会社の移動などが、4月スタートなので、
ついつい今年もまだまだ月日がありそうな気がしてしまいます。
でも、暦の上では、2011年が半分過ぎてしまいました。
1年の休暇の後、新しくスタートした大学の講義が
新鮮でもあり、重くもあり、
なかなか月日の過ぎるのが遅く感じます。
日々大変な思いをしているせいなのでしょうかね。