2011年4月7日木曜日

5_90 6億年後:最初の星1

 一番星とは、夕暮れに最初に輝き出す星のことです。私たちが見る一番星は、空にもともとあり、まわりが暗くなることで見えはじめる星のことです。最初に見えただけで、最初にできたものではありません。しかし、「宇宙の一番星」は、最初にできて輝いた星に与えられるものです。

 昨年(2010年)秋の天文学会で、宇宙が開闢(かいびゃく)して最初にできた星が見つかったという報告が、愛媛大学宇宙進化研究センターの谷口義明さんたちのグループがしました。「宇宙の一番星」とは、宇宙で最初に輝きだした星のことを意味します。私たちが日常に使う「一番星」は、まわりの空が暗くなったことで、もともとあった星が見え出したというものです。「宇宙の一番星」とは、宇宙ができて最初に輝きだした本当の意味での「一番星」になります。
 ところが、残念ながら、その星が実際に見えたわけではありません。「一番星」を含んでいる「銀河」がみえたということです。
 「なんだ、一番星が見つかったわけではないのか」と嘆くことはありません。そこには確実に一番星があります。まずは、その背景を説明していおきましょう。
 今回見つかったのは、131億光年離れた銀河です。非常に遠くなのですが、それくらい遠くのものは、銀河クラスの明るさを持つものではければ見ることができません。ですから、今回の発見も、銀河という天体によってなれされました。
 宇宙の観測において、「遠さ」は「年齢」と直結します。遠くの天体の地球からの距離は、「光年」という単位で表現します。「光年」とは「光が1年かかって進む距離」のことです。光は1秒間で29万9792km進みます。その光が1年間かかって進むのですから、想像を絶するほどの遠くです。
 「1光年」の距離にある星の光は、「1年前」にその星を出たものです。「1年前」の天体姿を見ていることになります。131億光年離れた銀河とは、131億年前の銀河を見ていることになります。
 宇宙は137億年前に誕生したと考えられています。今回見つかった銀河は、宇宙が誕生してから6億年後のものであるということです。6億年は、地球や人類の感覚すると長く感じますが、宇宙においては、非常に初期にできた天体となります。遠くのものは暗くなるので、探すのは非常に難しくなります。暗さだけででなく、波長も変化していきます。
 その詳細や意味については、次回にしましょう。

・帰朝・
3月31日に北海道にもどり、
4月1日には大学に顔を出しました。
関係各所に挨拶をしていたら、
荷物がなんと午前中に着きました。
日程通りに荷物が動いたようです。
自宅の荷物も予定通りに届きました。
地震の影響で遅れるかと思っていたのですが、
周辺の復旧は進んでいるようです。
おかげで、予想より早く研究室の普及が終わりました。
ただし、大学のメールサーバの更新がありました。
ネットの接続や転送の設定をし直さなければならず
少々手間取りました。
また、バックアップもしなければなりません。
今週後半は、新入生の合宿オリエンテーションがあり、
来週からは講義がはじまります。
慌ただしく、日々が過ぎていきます。

・ドライな空・
北海道はやはり寒いです。
先週末には積雪がありました。
今週になっては、快晴の日々が続いています。
抜けるような青空は、北国ならではのものです。
特に抜けるような青空の中を
朝日が登るのは最高です。
愛媛のウエットな空もよかったのですが、
北国のドライな空もいいものです。
久しぶりに北の青空を味わっています。