2011年2月17日木曜日

6_87 観測手法:ケプラー2

 太陽系外惑星を探す方法を紹介します。いくつかの方法があるのですが、ケプラー宇宙望遠鏡が採用した方法は、トランジット法というものです。目的を絞って、効率のよい方法、そして後の研究につながる成果を目指しているようです。

 ケプラー宇宙望遠鏡は、多数の恒星を定期的に観測して、惑星の発見と、その特徴を調べようというものです。ケプラー宇宙望遠鏡をもっててしても、それは、なかなか大変な作業なのです。なぜなら、惑星は光を出していないので、母星からの光の反射を検出しなければならないからです。ですから、母星の影響をどう取り除くかということが重要になります。
 いくつかの方法があります。一番わかりやすいのは、がんばって惑星の光を母星の光から分離して直接観測する方法です。
 2008年9月にこの方法で、やっと発見されました。これは地上の望遠鏡(ハワイのジェミニ天文台)を用いて、見つけられました。惑星ができたてで発光していたためと、母星との距離がはなれていたため、別の観測のときに、たまたま見つかったものです。ついで、ハッブル宇宙望遠鏡が2008年11月に別の惑星を発見しました。数ヶ月違いの差でした。
 コンピュータによる画像処理が進んできているので、昔の画像データを用いれば、新たな惑星の発見ができるかもしれません。
 間接的な方法として、母星の位置変化を観測するという方法があります。これは、大きな惑星が母星の周りを公転していると、母星の位置がぶれます。そのブレを観測する方法です。この方法でも2009年に、地上望遠鏡で発見されています。
 母星の位置変化を、光の波長変化(視線速度法とかドプラー偏移法と呼ばれています)で見つけようというものです。現在、一番採用されている方法です。そしてこの方法で、たくさんの惑星が見つけられています。
 ケプラー宇宙望遠鏡は、トランジット法を用います。トランジット法は、上で述べた方法とは違うものです。惑星が母星の前を通過するとき、明るさの変化があります。その変化を観測しようというものです。この方法は、惑星が母星の前を通過するときしか使えないこと、惑星の公転面が地球から並行でなければならない、などの欠点があります。
 ケプラー宇宙望遠鏡は、この欠点を、大量の天体(10万個)の天体を、長期間観測すること(3年半)でカバーしています。それに、明るさの変化を観測するだけですから、それほど難しい技術を要しません。つまりメインテナンスがそれほど必要ないということです。宇宙での観察ではこの点は重要です。
 さらにトランジット法のメリットは、惑星の質量を正確に決めることができる点です。質量は、惑星の特徴として最も重要なものです。
 大量の天体の探査から、太陽系外惑星カタログができ、次なる観測目標が設定できます。大量のデータが得られますから、統計的な処理ができます。このようなデータは私たち人類、あるいは生命の存在確率を左右するものとなるはずです。
 ケプラー宇宙望遠鏡の最終目標は、地球型惑星の発見と地球外生命の存在の可能性の探査ではないでしょう。それについては、次回としましょう。

・重要事項・
毎日論文に取り組んでいます。
それに専念したいところですが、
なかなかままならないのが実態です。
先日投稿した論文の校正ももどってきました。
これは数日猶予があるので先回しです。
時に重要事項が、優先事項とは一致しないこともあります。
社会人だから仕方がありませんが、
大切なことは、自分にとっての重要事項を忘れないことでしょう。
毎日をなんらかの優先事項に追われて過ごしているのでしょうが、
重要事項を常に頭に置いておくこと大切なのでしょう。
私のとって愛媛での残された時間が
少なくなってきました。
重要事項の忘れないようにしながら、
優先事項もこなしていきましょう。

・春はまだ・
先日、大雪が降りましたが、
ベチョベチョの雪でした。
春が近付いているのでしょうか。
でも晴れた朝はやはりまだ冷え込みます。
春は、まだまだ浅いようですが、
春になれば北海道にもどることになります。
今年の春はいつもの春とは違います。