2010年12月9日木曜日

6_83 試料回収作業:イトカワ2

 今回のイトカワ由来の粒子は、非常に慎重な作業の結果、発見されたものです。「はやぶさ」の快挙に応えられるように、粒子検査のために特別に用意された設備で回収作業がなされました。その様子を紹介しましょう。

 「はやぶさ」がイトカワから回収したかもしれない試料がはっているコンテナは、非常に厳重に管理された環境で開封されました。また、回収から確認までの作業も慎重になされました。もし非常に小さい試料しか入っていない場合、地球のゴミが紛れ込んだら(汚染 "contamination" といいます)、判別が困難になるかもしれないためです。そのため、非常にクリーンな環境の中で処理がおこなわれました。
 試料回収のために用意されたのは、クリーンルームとその中の置かれたクリーンチェンバーという装置です。
 カプセルから取り出されたコンテナ(イトカワの試料が入ってるところ)は、きれいに外側を洗浄されてから、X線で断層撮影されました。もし、中に試料が入っていれば、この段階で見つけることができます。しかし残念ながら、X線で観測できるほどの大きな試料はなさそうだという結果でした。
 その後カプセルは、チェンバーに入れられました。このチェンバーの中は、地球の大気からの汚染も防ぐために、純度の高い窒素を入れた状態にしてありました。
 実は普通に地球にある空気の中には、10μm以下の微粒子がかなり紛れ込んでいます。このサイズは、今回見つかった粒子のサイズと同じ程度です。ですから、身の回りにある空気すら汚染源となります。空気からの汚染を防ぐために、純度の高い窒素がチェンバーに入れられています。そして圧力を高めしておけば、外から空気は入ることはありません。つまり、大気の汚染を防ぐことができます。
 チェンバーの中に、さらに真空の部屋が用意されて、そこでコンテナのフタをあけられます。まずは、コンテナの中に入っているかもしれない気体の採取です。もしあれば、イトカワ由来の気体の可能性があります。
 開封後に、コンテナの中の壁面についているかもしれない粒子を、「掻き出しヘラ」を使って取り出していきます。もしヘラに粒子がついていれば、それがイトカワのものかが判別されます。
 このような何段以下もの手順を踏んで作業は進められました。その結果、1,500個ほどの粒子が見つかりました。
 それらを走査型電子顕微鏡で分析したところ、イトカワに由来する岩石片(多分多くは結晶片)だとわかったそうです。粒子は10μm(100分の1mm)以下のごく小さい粒子なので、非常に慎重な分析が必要となります。
 今後は、より詳しい初期分析をするために、取扱うための技術と関連装置の準備を進めていくそうです。関係者以外の研究者に試料がとどくには、まだ時間がかかりそうです。
 ところで、そもそも「はやぶさ」がイトカワにいって試料回収をしたのは、イトカワがどのような物質でできているのかを調べるためです。イトカワがどのような物質でできているかがわからないから資料採取にいったのです。では、なぜイトカワ由来の粒子だと判別したのでしょうか。それは、次回としましょう。

・風邪・
風邪を引きました。
冬の明け方の寒さにやられたようです。
部屋や家全体を温める北海道の冬の暖房に比べると
今いる部屋の寒さは、堪えます。
起きているときはストーブをたきますが、
寝るときはストーブをきります。
ですから、明け方が一番冷え込みます。
まあ、インフルエンザではなく、
鼻風邪だったようで一晩ぐっすりと寝たら
だいぶよくなりました。

・集中・
ここしばらく12月中旬締め切りの論文に
かかりきりなっています。
なんとか今週末までに初稿を
書き上げたいと思っていたのですが、
ここで風邪の不調だったので、
少々あせりを感じています。
週末も利用して集中して書いていこうと思っています。