2010年11月18日木曜日

3_93 巨大火山噴火:丹沢山地 4

 丹沢には、比較的新しい時代の火山岩があります。その火山岩は、火山噴火をともったはずです。新しければ、その噴火による火山灰が残されているかもしれません。これは、結果論で、実際には特異な火山灰の発見から、火山の探求がスタートしました。

 今年の7月30日に、丹沢山地を噴火の中心とする大きな火山噴火があったというニュースが流れました。なぜ、このようなニュースが流れたのかよくしりませんが、首都大学東京の田村糸子客員研究員とその今日研究者の仕事によるものです。
 田村さんは、北陸や中央山地の火山灰の研究をされていたのですが、数年前から関東地方の調査も始められたようです。千葉県銚子市の屏風(びょうぶ)ケ浦を調査しているとき、ざくろ石(柘榴石とも書かれ、ガーネットとも呼ばれます)含んでいる2cmほどの厚さの火山灰層を発見しました。ざくろ石を含む火山灰は時々見つかっていたのですが、屏風ケ浦のものは大量にざくろ石を含む特異なものでした。
 それまでにざくろ石を大量に含む特異な火山灰層は、神奈川県相模原市の中津川層群と鎌倉市の上総層群でも見つかっていましたが、田村さんは、ざくろ石を含む同時期の火山灰に注目されて調査されてきました。東京都江東区の地下からもガーネットを含む火山灰を見つけていました。
 それらの火山灰の噴火年代は、同じ頃であると推定されていました。また、ざくろ石のサイズも、東になるほど小さくなっていきました。こられは、噴火口は相模原市より西にあるということを意味しています。
 4箇所の火山灰のざくろ石の化学組成を比べたところ、一致していることが判明しました。つまり、同一の噴火に由来することが明らかになってきたのです。そして、火山灰にざくろ石を含んでいるということは、噴火したマグマに、もともとざくろ石を含んでいたことになります。
 ざくろ石を含んだマグマは珍しいものですから、きっとどこかに火山岩があるはずです。それを探せば、噴火口にたどり着くはずです。探す場所は、相模原市より西方です。そこには丹沢山地が広がっています。
 実は丹沢山地の細川谷には、ざくろ石を含む火山岩があることは良く知られています。私も神奈川の岩石\図鑑をつくるときに、標本を見て、撮影もしています。そして、年代測定もされており、243万年前のざくろ石流紋岩(マグマが地表で固まった溶岩の一種)であることも分かっています。ただ、以前の研究で、この溶岩のざくろ石の組成は、火山灰のものとは違うという研究結果が報告されていました。
 しかし、田村さんは、いくつかの露頭でざくろ石を取り出して、分析したところ、一致するという結果を得られました。この試行がすばらしいものでした。
 関東地方にいると、丹沢と千葉県は近いように感じますが、距離にすると、165kmも離れています。そんなに遠くまで、2cmの火山灰層をためた噴火です。これは、非常に大規模な噴火であったことになります。同じ頃、中部山岳地帯でも巨大噴火が相次ぎました。それに呼応した火山活動ではないかと考えれています。
 丹沢に火山岩があり、その年代もわかっていました。しかし、それを火山噴火や噴出物と結びつけて考えることがあまりされていませんでした。今回の発見によって、大規模な火山噴火が日本列島では繰り返し起こっていること、それも神奈川県で箱根や富士山以外にも巨大が火山があることがわかってきました。
 もうひとつ重要なことは、論理を積み上げていき、これしかないという推定の元に、先入観(先行研究)を覆したことです。科学の結果には、誤謬は紛れ込みます。それは、研究者が意図せずにも入り込むことがあります。原因はさまざまでしょう。これは、なかなか難しい問題ですが、それを打ち砕くには、根気強い調査研究が必要となります。その一例を示したことが、今回の重要な成果ともいえます。

・冬の準備・
紅葉が里にも下りてきました。
天気のいい日に、枯葉が舞散るのをみると、
きれいよりうら寂しさを感じてしまいます。
これからは、秋から冬に向かいます。
先日厚手のジャンバーを購入しました。
私も、冬の準備を整えています。

・桜の狂い咲き・
桜の狂い咲きが、
またしてもありました。
数本の桜で起こっていました。
結構な数、花をつけていました。
この秋に桜の狂い咲きを見たのは、
これで2度目です。
寒暖の繰り返しが激しいせいでしょう。
来年の春の桜は、
少々、寂しくなるのでしょうか。