2010年9月23日木曜日

1_99 5億1100万年前:日本最古の地層

 最古シリーズです。今回は、日本列島における最古の地層の発見です。今年の夏に、その発表がなされました。ニュースには学会発表に先立って成されましたが、地質学では、通常印刷論文が公式なものとして扱われます。まあでも、公認された分析装置によるデータに基づくものですから大丈夫でしょうが。

 最古の地層が見つかりました。茨城県常陸太田市長谷町の茂宮川上流に分布している地層が、約5億1100万年前のものであることが判明しました。
 この発見は、田切美智雄茨城大学名誉教授たちのグループが発見したと8月18日に報道されました。その詳細は日本地質学会第117年学術大会(富山大会)で9月18日に報告(Great Hiatus in the Cambrian Hitachi metamorphic terrane comparable to the North China Craton)されるそうです(出席してないので発表内容は聞いていません)。
 このエッセイでも何度か紹介したことがありますが、年代測定には、国立極地研究所にあるSHRIMP(Sensitive High Resolution Ion MicroProbe)と呼ばれる高感度高分解能イオン質量分析計が利用されました。岩石に含まれているジルコンという鉱物で、ウラン-鉛年代測定法によって求められたものです。
 田切さんは、長年、阿武隈山地周辺を地質調査しておられます。2008年にも、5億0600万年前の地層を日立市小木津町で見つけられ、ニュースになりました。また、今回も約5億1100万年前の地層以外にも、約5億0700万年前のものも一緒に発見しています。ですから、阿武隈山地周辺には、古い地層が分布していることになります。
 5億0600万から5億1100万年前は、カンブリア紀(5億4000万年から4億9000万年前)の中頃の時代にあたります。報道情報だけで、正確なところはわかりませんが、ある地層の中の石英長石質岩層(火山岩あるいは凝灰岩でしょうか)の年代測定をしたところ、上記の年代がわかったということだそうです。
 阿武隈山地には、変成作用を受けた地層があり、日本列島でも古い岩石が出ることは、古くから知られていました。3億5000万年前(石炭紀)のサンゴの化石が見つかっていたからです。しかし今回、もっと古くカンブリア紀まで遡ることになったわけです。
 日本列島は、その頃にはまだ存在していませんでした。ユーラシア大陸の端っこにあり、大陸辺縁部として、活動的な地域でした。これまで、断片的にしかなかった日本列島の古生代初期の岩石だったのですが、カンブリア紀まで遡る地層が見つかりました。これによって、大陸地域と日本列島の関連や、日本列島の地質史も明らかになると期待されています。

・秋の実り・
いよいよ秋めいてきました。
小学校の運動会も終わり、
稲穂も色づいていきました。
早いところでは刈り入れも、
もう終わっています。
秋の虫の声も心なしか
元気になってきた気がします。
この地域は栗の産地なので、
栗がそろそろ収穫時期を迎えつつあります。
山里も秋の実りの季節となりました。

・秋を味わう・
秋を迎えるとなると、
この地域の秋を味わいたくなります。
食べ物ではなく、秋の自然を味わうのです。
夏は暑くて控えていた外出も、
秋めいて涼しくなると、
あちこちでかけたくなります。
野外調査も本格的に行っています。
しかし、この地域、周辺域で
見ておきたいところ、
再訪したいところもあります。
これらかは、野外での活動も忙しくなります。