2010年8月12日木曜日

1_94 気候変動:IRD 5

 ハインリッヒ・イベントの後続いて起こるダンスガード・オシュガー・サイクルが見つかりました。気候変動は、周期性を持ちながらも、複雑な変化を行っているようです。そんな変化がやっと認知されるようになって来ました。しかし、その原因究明は、まだまだこれからです。


 氷河期が単調な寒冷期ではなく、激しい変動を起こしていた時期という認識をもらたしました。さらに、気候は大気だけの現象ではなく、海洋とも重要なかかわりがあることも分かってきました。海洋底堆積物に気候変動が記録されていたことから、海洋も気候変動に重要な役割を果たしていることになります。そうなると、過去の気候変動は、海底で形成された地層にも記録されていることになります。過去の気候変動の記録が地層に残されている可能性を提示してくれたことになります。
 その後の研究で、ハインリッヒ・イベントの気候変動の実体がかなり詳細に分かってきました。コロンビア大学のブロッカーの仕事を引き継いだジェラード・ボンドは、グリーンランドの氷床のコアと海洋底の堆積物のコアを比較しました。その結果、気候変動の周期性を見つけました。
 世界的に(海でも陸でも)激しい温暖化の時期が起こると、1500年後に穏やかな温暖化が、3回から5回ほど繰り返し起こっていることがわかってきました。このような穏やかな温暖化の繰り返しを、ダンスガード・オシュガー・サイクルと呼びます。ダンスガード・オシュガー・サイクルの後、再度大規模な温暖化が起きます。
 寒冷化の時期に、北米大陸に数1000年かけて氷床が溜ります。その大量の氷床がハドソン湾から北大西洋へ、たった200年から300年ほどで氷山として一気に流れ出ていきます。このような氷山が、ハインリッヒ・イベントのIRDを形成したと考えられます。大量の氷山が流れ出たあと、氷床が少なくなり、再度氷床の蓄積の時期になります。
 ダンスガード・オシュガー・サイクルとハインリッヒ・イベントはいずれも繰り返し起こる気候変動です。しかし、同じ現象ではなく、上述のようにタイムスケールの違う現象をみているようです。ハインリッヒ・イベントが起こった後、ダンスガード・オシュガー・サイクルが起こっているようなのです。
 このような気候変動を、天体運動の周期的変化(ミランコビッチ・サイクル)では説明できないようです。ハインリッヒ・イベントとその後続いて起こるダンスガード・オシュガー・サイクルの温暖化という気候変動の原因は、いくつかのアイディアはありますが、まだ定説にはなっていません。今後の研究が期待されます。
 19世紀中ごろになって氷河期の存在が、やっと認知されました。その後、繰り返し氷河期あったこと、新生代末以外にも氷河期あったことなどが、わかっていました。そして近年、第四紀の氷河期のより詳しい実体がやっと分かりかけているに過ぎません。このような気候変動の認識は、今後も更新されていくはずです。
 私たちの地球の歴史について認識や理解は、まだまだ浅いものです。その原因もまだ不明のままです。このような理解しかないのに、未来の気候変動の予測は本当にできるのでしょうか。気候変動の予測ができたとしても、子孫たちの運命を託すことができるでしょうか。予測に心もとなさを感じるは私だけでしょか。
 氷床を用いた研究は、精度よくできるのは、今のところ2万年前までです。年代測定の精度の2万年前以前は精度が落ち、必ずしも正確な対比ができるわけではありません。上述したように、今後、気候変動の原因究明には、過去の地層が重要な役割を果たすと思います。その時、地質学者が重要な役割を担うことになります。まずは、過去を知ることが、未来を知る一番の近道かもしれませんね。急がば回れでしょうか。

・お盆・
暑い夏休みとなっていますが、
いかがお過ごしでしょうか。
私の夏休みは終わりました。
お盆の時期は込んでいますので、
じっと仕事をすることにしています。
お盆が過ぎたら、また近隣を見て回ろうかと考えています。
9月になったら、また、四国を見て回るつもりです。
それまで、落ち着いて仕事をしようと思います。

・盆踊り・
昼間の暑い時期は
支所では全館冷房ありますので
何とかしのげます。
私の自宅は、エアコンもなく
暑いことは暑いのですが、
体がだいぶ馴れてきたのでしょうか。
なんとか耐えることができています。
でも、寝る頃には涼しくなり、
睡眠時間が確保できるので助かります。
お盆には祭があります。
自宅の裏のグランドで、
今週末には盆踊りがあります。
屋台もいろいろ出るようです。
見学するつもりです。