2004年5月6日木曜日

3_30 熱がなすこと

 前回は地球の冷め方から、地球の年齢を探るという方法の歴史を紹介しました。今回は、地球の年齢ではなく、地球の仕組みを総合的に考えることに、地球の熱が大切だということを紹介しましょう。


 大地は、じっとしている訳ではありません。いろいろ変化しています。いちばん身近な変化は、雨や川の流れによって、大地が削られ、その削られたものが海に運ばれるという作用でしょうか。雨が降り、川が流れるという作用は、そのエネルギーのもとをただせば、太陽の熱から由来したものです。
 雨や川の作用以上に、激しく大地を変化させるものとして、火山があります。火山は、ほんの短い時間の間に、周辺の大地を変化させます。火山という山ができたり、溶岩を流して、新しい大地をつくったり、火山灰を降らせ地層を形成したり、カルデラのように大地をくぼませる作用だっておこないます。マグマは、大地をそして地球を大きく変化させる働きをしています。
 火山は、大地の変化、中でも、新しい大地をつくるという重要な作用をしています。火山は、マグマが地表で活動したものです。マグマは、地表ばかりで活動をするわけではありません。地表にまで出てこないで、地下で固まることもあります。そのような岩石は、深成岩と呼んでいます。火山岩も深成岩もマグマが固まった岩石です。このような岩石をあわせて、火成岩といいます。
 大地の、もちろん海洋底も、地殻をつくる岩石の大部分は火成岩とそれが変成を受けた変成岩からできています。つまり、地球の大地は、マグマがつくっているといってもいいほどです。
 マグマはどこからくるのでしょうか。マグマは、地球の内部からきます。マグマは、岩石が溶けたものです。しかし、地球の内部は固まった岩石からできていることがわかっています。不思議です。マグマは岩石が溶けたものです。しかし、地球の内部の岩石は、溶けていません。ですから、ある特別なことが起きると、地球内部で岩石が溶けて、マグマができることになります。
 そこで、重要な働きをするのが、地球内部の熱なのです。熱が作用すると岩石が溶けます。一番単純に考えると、岩石が高温になると溶けて、マグマができます。内部には溶けた鉄や固体の鉄が地球の中心の核としてありますが、その外には、マントルや地殻と呼ばれる岩石からできた層が厚く覆っています。マグマは岩石が溶けたものです、地球は固体からできています。
 岩石は熱を伝えにくい断熱効果のある物質です。ですから、地球の内部がいくら熱くても、岩石が多い地球では、熱が伝わることはあまりありません。でも、現実にマグマができます。他の作用が働いているはずです。
 熱だけが、物質を伝わる方法を伝導といいます。熱の伝わり方には、伝導以外に、2つの方法があります。放射と対流です。
 放射とは、物質の表面から電磁波を放出して熱を伝える方法です。これは、真空中や気体中など、電磁波が伝わるところで起こる作用です。ですから、地球内部では、放射の作用で熱は伝わりません。残された伝わり方は、あと一つです、対流です。ものが動いて、ものと共に熱も伝わる仕組みです。じつは、この対流が、熱をいちばんよく伝える方法なのです。
 地球内部が岩石でできているといいましたが、地球内部の暖かい岩石と地球の外側の冷たい岩石では、同じ岩石でも密度が違ってきます。暖かいものの方が密度も小さく、軽くなります。岩石も地球内部のような温度の高い状態では、流動します。そして、まるで液体のように対流をするのです。もちろん水のようにさらさらとは流れるものではありませんが、ゆっくりとですが、対流します。これが、マントル対流と呼ばれるものです。
 熱による対流によって、マグマができます。それについては、次回としましょう。

・冬眠明け・
このメールマガジン「地球のささやき」は6つの区分があり、
内容を分けて掲載しています。
ただし、私が思いつくままに、その内容を適当に決めて書いています。
一応、満遍なく、いろいろな内容で書くように心がけていますが、
ついつい書いている量や時期にムラがてできます。
そんなことで、ふと見直したら、「地球の仕組み」が少し間が開いているようです。
なんと2002年11月21日に「3_29 日本列島の火山帯の形成モデル」を書いて以来、
1年半も間、「地球の仕組み」の内容のエッセイがありませんでした。
ですから、今回、このエッセイを書きました。
北海道も長い冬が終わりました。
そろそろ冬眠も終わりとしましょう。