2010年2月11日木曜日

6_76 代替:エネルギー問題3

 人類は、より便利なもの、より安全なものを求めて、そして生み出してきました。かつては危険であったものも、安全なものへと代替もされました。今問題になっているエネルギーは、代替が可能なのでしょうか。それは、安全だけでなく、持続可能なという希望も託されています。化石燃料に変わるものが見つかるのでしょうか。

 前回、化石燃料について、現時点での可採年数を紹介しました。可採年数とは、ある資源において、現在の年間の使用量で、確認されている採掘可能な埋蔵量で割って得られる数字です。あと何年その資源が使用可能かということを意味する値です。その結果は、石炭は192年、天然ガスは67年、石油は41年となりました。ちなみにウランは85年となっています。
 化石燃料では、石油の41年が問題です。この数字は厳密な値ではなく、社会状況や技術、経済、鉱業などさまざまな要因で変動します。数値の厳密性が問題なのではなく、これくらいの石油しかない残されていないということが、問題なのです。
 節約して使っていても、数十年後、あるいは長く見積もっても100年もすれば、石油はなくなってしまうことになります。エネルギー資源の枯渇が、問題の本質なのです。
 石油がなくなると、エネルギー源がなくなるだけでなく、現代文明では欠くことのできない重要な資源がなくなることも意味します。石油は、アスファルトやプラスチック、化学繊維などの原料となり、化学工業において不可欠の溶媒や潤滑油、表面活性剤なども石油からつくられています。ですから、石油は、文明社会において、非常に基礎的で重要な役割を担っている資源です。
 石油だけでなく、文明社会において、重要な資源が一つなくなると、社会において非常に大きな影響を与えることになります。現代文明は、いろいろな資源に依存しています。ですから、資源の面から考えると、文明を支えるのに不可欠な資源のどれか一つでもがなくなると、文明が崩壊する危険性をはらんでいます。
 そこで危機回避のためには、代替の資源や道具を考えなければなりません。かつて、人工の便利な化合物である各種のフロンが、大量に使われました。しかしフロンがオゾン層を破壊するということが分かって以来、フロンを使用しないことにしました。フロンの代替のものを、人類はつくり上げてきました。もちろん、それは地球に優しいものでした。
 このような事例をみて、多くの人が漠然と、「人類は賢いから代替エネルギーを見つけるできるのではないか」と、考えているのではないでしょうか。あついは、資源の枯渇、エネルギーの枯渇が、自分事とは思えないからでしょうか。化石燃料の枯渇は、代替が可能で他人事なのでしょうか。
 エネルギー問題は、化石燃料に頼らない代替燃料を見つければいいわけです。たとえば水力発電や太陽光発電、風力発電などで電気を供給し、現在の文明を支えているエネルギーを、電気エネルギーとしてまかなえればいいのです。そのゆな発電は、太陽エネルギーを基にしています。無尽蔵ではないですが、50億年間は地球に降る注ぎ続けるエネルギーです。それを代替のエネルギーにできれば、エネルギー問題は解決されます。
 各国の技術者が代替エネルギーを生み出す努力を続けています。しかし、まだ満足できるものはできていません。石油に代わるものが、まだできていなののが現状です。ですから、石油はしらばくは使い続けられていくわけです。
 この状況が続ければ、やがて化石燃料は、私たちの世代、遅くとも孫の世代にはなくなるでしょう。そのとき、多くの人に、エネルギーの節約はもとより、移動の制約、さまざまな活動の制約がでてくるはずです。これは、国家や政府による強制ではなく、経済的な物理的な困難さによるもののはずです。私たちは、自由に生活、行動できなくなるのです。
 自由はなくなってそのありがたさを感じるものかもしれません。そうなってからでは遅いのです。自由を奪った悪者がいないのです。本当の自由は、努力して手元に留めておくべきことのはずです。

・不景気・
世間は、不景気だといいます。
景気を回復するには、
更なる大規模な公的資金を導入や
消費の拡大がいわれています。
しかし、かたやこのエッセイで述べているように
エネルギー危機が厳然としてあります。
また化石燃料を使えば、二酸化炭素を排出します。
二酸化炭素の排出を減らすには、
化石燃料の使用を減らすしかありません。
景気回復とエネルギー問題の解決は、
矛盾した行為を意味します。
多くの人は、景気を気にしていますが、
私は、景気よりエネルギー危機が気になります。
本当にエネルギー危機が訪れたら
社会的弱者はどうなるのでしょう。
武力や政治力、資金力を持たない国や民族は
どうなるのでしょう。
恐ろしい将来が思い浮かびます。

・まだまだ忙しい・
大学では、後期の定期試験が終わり、
一般入試も終わり、一段落です。
ただし、教員、あるいは私は
のんびりしていられません。
3月末の引越しと、新しい地での生活の準備、
そして、出かけるまでにすべきことも
いろいろ残っています。
それをスケジュールをにらみながら
こなしていくしかありません。