2009年7月9日木曜日

3_76 部分溶融:コマチアイト2

 コマチアイトの特異性を前回、紹介しました。今回は、化学成分の特徴をもう少し詳しく見ていきましょう。そこから、コマチアイトが、どのようなでき方をしたかを読み取ることができます。火山は、マントルに開けられた覗き穴です。それもコマチアイトは、太古代のマントルの覗き穴なのです。

コマチアイトは、太古代に特徴的に噴火した火山であること、そしてカンラン石を非常にたくさん含むことが特徴ということを前回紹介しました。
カンラン石が多いため、カンラン石の化学成分であるマグネシウムも多くなります。コマチアイトは、他の岩石(玄武岩など)と比べて、マグネシウムが特別多いのですが、それはカンラン石を主成分としていること、さらにマグネシウムを含む輝石も構成鉱物になっているためです。
その他にも、化学成分にいくつかの特徴があります。少し詳しく見ていきましょう。
コマチアイトには、ニッケル(Ni)やクロム(Cr)が多くなっています。ニッケルやクロムは、マントルに多い成分で、マグマが結晶化するときに最初に固体に取り込まれます。ニッケルはカンラン石に取り込まれます。また、クロムは輝石に取り込まれたり、クロムの多い結晶(クロマイト)ができたります。
マグネシウムが多い分、他の成分が少なくなります。岩石の主成分である珪酸(SiO2)が、40から45%ほどしか含まれていません。珪酸成分が少ない玄武岩でも45%以上含んでいますので、45%以下とは非常に少ないものになります。もちろん、通常の火山岩は、50%より珪酸が多くなっています。
さらに、酸化カリウム(K2O、0.5%以下)、酸化カルシウム(CaO)と酸化ナトリウム(Na2O)(CaOとNa2Oをあわせて2%以下)も、少なくなっています。
ここで、成分(元素)名をいろいろ挙げたのは、成分の化学的な特徴によって、マグマができるときの状況を反映しているからです。成分の性質を知り、その量比を比べていくことで、マグマのでき方を探ることができるのです。
マントルが溶けてマグマができます。しかし、マントルが全部溶けることはなく、マグマと溶け残りのマントルができます。元素には、マグマができると、マグマの中にすぐに入るもの(液相農集元素と呼ばれます)があります。上に挙げた成分で、液相農集元素にあたるのが、酸化カリウムと酸化ナトリウムです。
液相農集元素が少ないマグマができるのには、2つの可能性があります。もともとマントルに液相農集元素が少なかったか、マグマの中で薄まったかのどちらかになります。
もともとマントルに液相農集元素が量が少ないというのは、そのマントルがマグマを出した経験が持っている場合です。一度マントルが溶けると、液相農集元素がマグマに入り込みます。すると、次に同じものが溶けても、マグマには、液相農集元素があまり入らなくなります。
薄まるというのは、液相農集元素は、マグマができるとき最初に取り込まれるのです。その後、マントルの溶けつづけると、液相農集元素は最初に出ていますから、液相農集元素を含まないマグマの量が多くなり、マグマでは相対的に比率が減っていきます。
どちらかを決めるには、別の元素に着目します。ニッケルやクロム、そしてマグネシウムという多い元素に着目します。これらの元素は、マントルの構成物となっている鉱物(カンラン石や輝石)にたくさん含まれています。これらは、固相農集元素とも呼ばれます。マグネシウムはそれらの鉱物の主成分ともなっています。これらの元素は、マントルの溶ける比率が増えていくと、マグマの中の比率も増えていきます。
コマチアイトは、固相農集元素の元素が多いので、マントルがたくさん溶けてできたことがわかります。液相農集元素が少ないのは、マントルが溶ける量が多く、マグマの中で薄まったたであることが、これから判明します。
マントルの溶ける比率を部分溶融の程度という表現をします。コマチアイトは、マントルの部分溶融の程度がかなり大きかったことになります。部分溶融の程度が大きくなることは、現在でも起こりうることです。しかし、重要なことは、コマチアイトが太古代に集中していることです。そして、火山として噴出しているということです。このなぞの解明は、次回としましょう。

・夏の計画・
皆さんは、もう夏休みの計画をお考えでしょうか。
我が家は、家族で道内を巡ることにしています。
なぜなら、本州は暑いからです。
せっかく涼しい北海道に住んでいるのですから、
北海道の夏を満喫したいと考えています。
ただし、今年はあまり日程が取れないので、
本当なら道東へ行きたいと考えていたのですが、
遠いので、道南にしようかと考えています。
8月初旬なので宿が取れるかどうか心配です。
それによって、行く場所が変わってきます。

・将来の糧・
先日学科の2年生が実習をおこないました。
近所の子どもたちを40名近く集めての行事です。
行事の企画や準備、運営、
子どもを集めるための宣伝などを
実際に行うって体験することが、
この実習のテーマでした。
行事当日までなかなか大変でしたが、
大変な思いをした者ほど、
達成感は大きかったのではないでしょうか。
そして、かけがえのない体験だったのではないでしょうか。
将来の糧になればと思います。