2009年2月12日木曜日

1_74 大陸の成長過程:大陸の形成6(2009.02.12)

 川砂のジルコンの年代測定から大陸の成長過程を探ろうという試みは、現在進行中です。まだ、完全な結論は得られていませんが、途中段階の成果は公開されています。その内容を紹介しながら、大陸成長を考えていきましょう。

 東京工業大学の平田さんたちのグループが、大陸を流れる大河の川砂を用いて大陸の成長を調べている、という話を前回しました。それは、川砂の中のジルコンという鉱物を用いて大量の年代測定をしていこうというものでした。
 平田さんたちのグループは、2つの大陸のデータを公表しました。北米大陸では、中央を流れるミシシッピ川と、北部を流れ北極海にそそぐマッケンジー川で調査と分析をしました。南米大陸では、北部で主にブラジルを流れるアマゾン川と南部の主にアルゼンチンを流れるパラナ川を調査分析しました。
 その結果は、2つの大陸だけのまとめになりますが、次のようなことがわかってきました。
 太古代(40~25億年前)の後半(28億年前)までは、大陸は現在の2割ほどしか形成されていないことがわかってきました。なお、北米大陸にも南米大陸にも、30億年より古い大陸の岩石は、各地から見つかっています。ですから、古い岩石から少ないから、あまり成長がなかったように見えないということはありません。
 また、大陸の成長は、原生代(25~5.42億年前)に集中的に行われたようです。そして、原生代の急激な成長も、一様に起こったのではなく、急激な成長時期が4回あったことががわかってきました。その時期は、28~27億年前、22~21億年前、18~10億年前、7~5億年前です。また、原生代の成長で、ほぼ現在の大陸の量になったようです。
 原生代が大陸の成長期であったことは、以前の研究でもわかっていました。しかし、平田さんたちが得た大陸地殻の急激な形成時期が、以前紹介した花崗岩から得られたもの(27~25億年前、20~17億年前、13~10億年前)とは、微妙にずれていることがわかります。これは、単に測定誤差なのか、それとも何か意味があるのは今後の検討が必要でしょう。
 もし、これが地域差に由来するのであれば、成長過程に、地域ごとにムラがあったことになります。前に示した花崗岩のデータは、世界各地の大陸からの得たものの平均ですが、平田さんたちのデータは厳密に大陸や、大河の流域が限定されています。そしてデータは統計的に十分な数があり、その年代精度もよく、統一されたものです。ですから、平田さんたちのデータを信頼すると、大陸地殻の成長時期に、大陸ごとにずれがあり、データはその違いを反映しているのかもしれません。
 いずれにしても、今まで述べてきたことから重要なことがわかってきました。大陸成長は、一様なものではなく、急激に成長する時期とあまり活発でない時期があったこと、そして大陸は原生代に一気に成長し現在の量にまで達したことです。つまり大陸成長は、原生代の重要な地質現象として大きく捉えることができます。
 原生代の大陸成長は、大量の花崗岩の形成を伴います。つまり、大量のマグマが関与しています。大量のマグマが形成されるということは、その影響は当然マントルに及んでいるはずです。もしかするとマントルにも、原生代の大陸成長の脈動が記録されているかもしれません。それは、次回としましょう。

・入試・
大学は一般入試が終わりました。
しかし、入試は一度で終わりではなく、
別日程の入試やセンター試験利用の入試などが続きます。
ですから、3月まで、つぎつぎと入試や
採点、判定会議などが連続します。
一方、在校生の成績評価や単位認定も並行して行われます。
単位認定にかかわる追試が今週の後半にあります。
2月、3月は講義や曜日ごとに決まった業務はありませんが、
落ちつかない時期でもあります。

・体が大事・
昨年の2月に目の手術をしました。
そして、1年間定期的に眼科で術後の検査を受け続けていました。
先月末に検査を受けて、1年たったという話をしたのですが、
無事、手術は成功に終わったと判断されました。
ただ、半年に一度程度の検査は受けてくださいということでした。
私の仕事は、どうしても目を酷使してしまいます。
それに、私は目には昔からいろいろ悩まされてきました。
また、実用上問題は生じていませんが、
見えなくなると非常に不自由な生活を強いられます。
ですから、目の状態管理も抜かりなく行わなければなりません。
目も歯も、内臓もいろいろ体を気にかけながら
生きていく世代になりました。