2009年1月15日木曜日

1_70 最古の大陸:大陸の形成2(2009.01.15)

 最初の大陸はいつごろ形成されたのでしょうか。大陸に残された過去の大陸の断片、つまり石ころにその証拠を求めることになります。

 大陸にはいろいろな時代に形成された「もの」があります。一番古い「もの」は、オーストラリアのジャックヒルからみつかった最古の鉱物の粒で、44億0400万年前のものです。カナダのアカスタというところでは、約40億年前の「岩石」が見つかっています。グリーンランドのイスアというところからは、38億年前の最古の「堆積岩」が見つかっています。
 44億0400万年前に形成された最古の鉱物は、岩石としてみつかったのではありません。20億年前の堆積岩の中に含まれているある砂粒が、42億年前に形成されたものでした。たった一つではなく、何個か似た年代の粒がみつかっています。その鉱物はジルコンと呼ばれるもので、花崗岩を形成するようなマグマからできるものです。また、大量の花崗岩のマグマは、水が存在しなければできないと考えられています。ただ、これはいくつも仮定をたてられた上での可能性ですから、確実ではありません。誕生したての頃の地球の表面は、どろどろに溶けた状態(マグマオーシャンと呼ばれています)でしたが、約44億年前には、固い地表を持つまでに冷めてきたことになります。最初の地面、あるいは大地が形成されたのは、約44億年前まで遡ることができそうです。
 40億年前の最古の「岩石」は、マグマが固まってできた火成岩で、トーナル岩と呼ばれています。トーナル岩は、大陸を構成している主要な岩石です。40億年前が最古の大陸の証拠と考えていいわけです。トーナル岩は、水がないと大量のマグマとして形成されませんから、海もあったと推定されます。ただし、直接の海があったことを示しているのではありませんから、海があったと確定したわけではありません。しかし、40億年前のトーナル岩は、大陸地殻が形成されていたことの確実な証拠になります。
 堆積岩ができるためには、水の存在が不可欠です。堆積岩の存在は、海の存在を証拠づけるものです。グリーンランドの堆積岩には、丸く円摩された石ころがたくさん含まれています。このような堆積岩を礫岩と呼びます。礫岩は、河川や海岸で丸くなりますから、川や海岸があった証拠となります。
 38億年前以降も、堆積岩はいろいろな地域、いろいろな時代から見つかっていますから、海が継続的に存在していたことになります。つまり38億年前には、現在と同じような海と陸、川という現在の地表と同じ営みがスタートしており、それが現在まで継続しているということになります。
 地球の歴史は、45.6億年前ころに始まりました。地球誕生から、長くても8億年、短ければ1.6億年で、海と陸という地球の特徴が形成されたことになります。

・発見のラッシュ・
最古のものを求めるということは、
なかなか大変なことです。
なぜなら石に、直接年代が書かれているわけではなく、
分析してみないとわからないからです。
ところが、見つかる時期には、
次々と古いものが発見されていきます。
1990年前後から2000年代にかけて、
最古の岩石の発見が相次ぎました。
それは、実は年代測定の技術において
革新的な進歩があったためです。
一粒の結晶の数10μmの部分の
年代測定をする装置が開発されました。
それを利用して、今までできなかったサイズの鉱物の
年代測定ができるようになったのです。
古そうだと考えられている岩石があっても、
それまで調べる手段がなかったのが、
あるときから年代測定ができるようになりました。
その結果、古いものが続々と発見されるようになりました。
その後、発見ラッシュは一段落してきました。
その装置は、だいぶ普及して、
年代測定も各地でできるようになりました。

・後期の講義・
大学の講義が正月明け7日から始まりました。
その後すぐに、後期の講義が終わり始めます。
ただ、祝日の関係で再来週まで続く講義があります。
どうも曜日によって、講義の進行が違ってくるのは困りものです。
今度の金曜日には月曜日の振り替えとなります。
月曜日の講義は、同じ週に2回行うことになります。
講義内容によっては、教員も学生も苦労することになります。
振り替え休日、ハッピーマンディなどの制度は、
学校教育ではあまり歓迎できません。
ただ、それを楽しみにしている人もいますから
いまさら変更はしづらいでしょうが。