2008年8月21日木曜日

5_74 石灰岩のベルトコンベア:炭素6

 大量にあった大気が、どのようにして石灰岩になったかを見ていきます。そこには、水と地球の営みが重要な役割を果たしていました。

 現在の大気の50倍から100倍近い大気の量が、かつての大気にはありました。その大半が、固体の石灰岩になって、大気からなくなりました。そのプロセスには、水と地球の営みが重要な役割を果たしました。
 原始の地球は、二酸化炭素の厚い大気に覆われていました。もちろん、温室効果は、強烈に働いていたものと考えられます。しかし、地球は、38億年前以降現在まで、地表付近の温度は、0~100℃の間に保たれていました。それは、海があったことからわかります。
 海が存在した直接の証拠は、ありません。しかし、液体の水のある海でしか形成されない堆積岩が、証拠となります。最古の堆積岩は、グリーンランドの38億年前のものです。それ以降、各地からいろいろな時代の堆積岩が見つかってきます。ですから、地表付近は、常に水が存在できる条件にあったことになります。
 水が地表にあると、大気中の二酸化炭素が溶けこみます。その量は、温度によって決まっています。ある一定量、海に二酸化炭素が溶け込むと、飽和(平衡状態)します。溶けた二酸化炭素は、炭酸イオンとなります。海に二酸化炭素が溶けこんだとしても、大気中の二酸化炭素は、ほとんど目立って減ることはなかったでしょう。
 水は、もう一つ大きな役割を演じます。それは、海があると、必然的に起こる地球の営みです。太陽があたると、温まった海からは、蒸発した水蒸気が発生します。水蒸気には上空に上がります。上空は、冷たいので冷やされ、水蒸気は、氷となり雲になります。冷やされた水蒸気には、やがて雨となって降ってきます。
 雨は海だけでなく、大地にも降ります。大地に降った雨は、川となって、大地を削り、海にもどります。海にもどった水は、土砂を運ぶだけでなく、大地の溶けやすい成分を含んでいます。その中に、カルシウム(Ca)があります。水に溶けたカルシウムイオンは、炭酸イオンと出会うと、炭酸カルシウムという沈殿になります。それが石灰岩のもとになります。
 沈殿した炭酸カルシウムは、海水中の炭酸イオンやカルシウムイオンと、やはり平衡関係ができます。一定量の沈殿ができますが、一定量以上には沈殿ができません。
 二酸化炭素に対して、大気(気体)、海(イオン)、海底(固体)で、上のような平衡関係が成り立ちます。この平衡関係を破らないと、大気中の二酸化炭素を、固体にして蓄積できません。平衡関係を破るには、固体の炭酸カルシウムを海から陸に上げて、取り除かなければなりません。その役割を、プレートテクトニクスという地球の営みが、果たします。
 プレートテクトニクスによって海嶺で形成された海洋プレートは、海溝に移動します。海溝で沈み込む時、海洋プレートの上にある軽い堆積物(石灰岩)を、陸地に残していきます。これによって、石灰岩を陸地に運ぶという作用ができます。
 このシステムは、一方通行のベルトコンベアのようなものです。大気中の二酸化炭素が、海に溶け、陸からのイオンと結びついて、海底に沈殿し、それが海洋プレートに乗って、陸地に石灰岩として持ち上げられます。このシステムが働けば、大気中の二酸化炭素は減り続け、石灰岩として陸地に保存されます。このシステムは、海がある限り、プレートテクトニクスが存在する限り続きます。このシステムが38億年にわたって働き続けたので、今や大気中の二酸化炭素は、ほとんど取り去られた状態になっていることになります。

・温室効果・
二酸化炭素の温室効果を今騒がれていますが、
過去では、どれほどの効果があったのでしょうか。
50気圧や100気圧も二酸化炭素があったら、
強烈な温室効果が起こりそうです。
しかし、地表は100℃を越えることはありませんでした。
実際に計算をしたことがないので、
正確なことはいえませんが、
二酸化炭素の温室効果は、どれほどあったのでしょうか。
海は、100℃に達してないことは確かのですから、
30億年前や20億年前、地表の温度は、
80℃や90℃もあったのでしょうか。
もしそんな温度であったら、地表付近は、
生物にとって、過酷な環境であったはずです。
ところが、生物は順調に進化していますから、
過去の二酸化炭素の温室効果が、気になります。

・平年並みの夏・
北海道は、天気がいいと昼間は暑いですが、
朝夕は上着が欲しくなるような気候となってきました。
昨年と一昨年が暑い夏だったので、
今年の夏は平年並みの気候だと思いますが、
過ごしやすい気がします。
こんな時北海道に住んでいて良かったと思えます。
お盆も終わり、大学は、夏休みの真っ最中となっています。
私は、成績の締切りを今週末に控えて、
その追い込みとなっています。
午後の研究室は西日が当たり、
耐えられないのですが、午前中は快適です。
午前中のうちに、集中して仕事をすることにしています。