2007年12月13日木曜日

2_58 恐竜絶滅の隕石1:衝突頻度

 恐竜を絶滅させた隕石について、興味深い論文が報告されました。今回は、隕石と絶滅を中心として話題を紹介しましょう。

 今では多くの人が、恐竜の絶滅が隕石の衝突によるものであるという説を知っています。では、その隕石が、どこから由来し、どのような原因で、どのような経路で、地球に衝突したのでしょうか。それを調べるのは、なかなか困難な問題です。なぜなら、隕石の衝突は、過去の出来事ですし、隕石が廻っていた軌道を、もはや計算することができないからです。
 そんな困難な問題にも、いくつかアプローチがなされています。その一つとして、ボットク(Bottke)らが2007年9月のネイチャーという雑誌に、恐竜を絶滅させた隕石について、興味深い論文を報告しました。その内容を紹介する前に、地球に落ちてきている隕石が、時代ごとに頻度に変化があるかどうかを調る方法を見ていきましょう。
 一つの方法として、宇宙塵を利用するものがあります。実は、地球には、隕石の小さな粒が、いつでも、地球中に、たくさん降ってきています。もちろん今現在も落ちています。このような隕石の小さな粒は、宇宙塵と呼ばれています。古いビルの屋上で、掃除があまりされていないところを、ほうきではけば、宇宙塵を集めることができます。
 ある時代に溜まった堆積岩の中の宇宙塵を調べれば、その時代にどの程度降ってきていたかを定量的に調べることができます。調べてみると、いつの時代も同じ量の宇宙塵が降っていたわけではなく、たくさん降っていた時代があることがわかってきました。宇宙塵は、約3500万年前(始新世後期)や約800万年前(中新世後期)、4億8000万年前(オルドビス紀)など、たくさん降った時代があることがわかってきました。
 また、地質学的に衝突の記録がない時代でも、地表に残された隕石の衝突の跡としてクレータのできた時代や、衝突の時に飛び散った物質からできた地層などから、衝突が多かった時代を知ることができます。それによると、34億7000万~32億4000万年前、26億5000万~25億年前などの時代に激しい衝突があったことがわかります。
 さらに古く、地球に記録のない時代のことについては、月のクレータの形成年代を参考にすることができます。月は地球の衛星ですから、地球の近くを廻っています。もし月に隕石の衝突が頻繁にあれば、確率的にも地球への隕石の衝突も激しかったと考えられます。月では、40億年前まで、天体形成の材料物質(小天体)の名残がまだたくさんあり、その影響で衝突が激しかった時代があります。名残の衝突が一段落した後、38億年前に、再度激しい衝突の事件がありました。この衝突は、後期の「重爆撃(heavy bombardment)」と呼ばれている事件です。
 そして、理論やコンピュータのシミュレーションを用いたアプローチもあります。ある説では、ここ1億年間は、隕石の衝突頻度が多くなっている時代であるという説もあります。
 さて、これらの衝突頻度に関する情報が、恐竜絶滅の隕石とどのような関係があるのでしょうか。それは次回としましょう。

・ばたばた・
あれよあれよという間に、時間は過ぎていきます。
師走ももの中旬となりました。
締切りが過ぎて、少し待ってもらっていた論文がやっと手放せました。
でも、やり残した仕事もいっぱいあります。
年賀状はまだできていません。
1月中旬締切りの論文が、次は控えています。
ばたばたと仕事に追われて
走っています。
これが師走なのでしょうか。

・忘年会・
今週末には2つ目の忘年会があります。
私は、公式の飲み会には可能な限り参加しています。
宴会の場は楽しいからです。
先週も学科の忘年会がありました。
めずらしく教職員全員が集まりました。
とはいっても総勢11名ですが。
これくらいの人数が、
皆で共通の話題を話すにもちょうどいいし、
個別に話するのもちょうどいいようです。
時間制限がなかったので、
1次会で4時間ほど皆で話していました。
今週末は大人数なので、
近くのテーブルに座った人との会話が中心になります。
これは、これで楽しいのですが、
ホテルの宴会場なので、スケジュールが決まっているので
時間が自由になりません。
まあ、これはこれは楽しいのですが。