2007年8月16日木曜日

5_62 30mメッシュの公開

 日本はNASAと協力して、30mメッシュの公開を行うと発表しました。今回は、予定を変更して、このデータの意義を考えてみます。

 経済産業省が、8月10日、全世界の高精度数値標高データの公開の発表をしました。国土地理院のある国土交通省からではなく経済産業省が発表したということ、そして日本だけでなく何故全世界のデータなのかが、少々奇異な感じがします。
 経済産業省は、これまで資源探査を目的とした技術開発を行ってきました。1999年12月に打ち上げられたTerra衛星に搭載されている地球観測センサー(ASTER)は、7年以上にわたって地球観測を続け現在も運用されています。このASTERは、標高も高精度に測定する能力を持っています。
 地球観測に関する国際的なGEO(Group on Earth Ovservations)は、地球観測システムGEOSS(Global Earth Ovservation System of Systems)をつくり上げるために、経済産業省とアメリカのNASAに、ASTERの標高データを提供するように要請してきました。これに答えたのが、今回の報告となりました。ASTERを用いて、全世界の30m(±7m)メッシュを公開されることになったのです。メッシュとは、地表を格子状に区分して、その格子ひとつひとつをメッシュとよんでいます。30mメッシュとは、30m四方の標高を示しているということです。30mメッシュというのは、一見半端な値に思えますが、球体の地球をメッシュに分ける場合、緯度経度を等間隔に区分した等緯経度で1秒(1度の360分の1)が30mメッシュに相当します。この数値標高データは、G-DEMと呼ばれています。
 今まで日本で、全土の標高データとして公開しているのは50mメッシュでしたが、このたび30mメッシュの精度に更新されることになります。そのサンプルデータとして、西日本のものが現在公開されています。そのデータは、
http://www.ersdac.or.jp/GDEM/J/index.html
で得ることができます。
 標高データはASTERでまだ観測中で、2009(平成10)年度末までに、全世界のデータ公開を目指すそうです。私は現在サンプルデータで確認中ですが、このデータには期待しています。
 世界全土については、SRTM3と呼ばれている90mメッシュが一番高精度のものとして、無料公開され、私も利用しています。SRTM(Shuttle Radar Topography Mission Data)は、2000年に11日間にわたってスペースシャトルを用いて観測されたものです。搭載されたレーダの性質により、地形が急峻な地形のところや、北緯60度より北の高緯度と南緯56度より南の高緯度になると、精度が悪くなるという欠点がありました。
 しかし、今回のG-DEMは、そのような欠点が克服されたものになります。完成すれば、全地球が、もれなく、従来の3倍の精度のデータが得られることになります。
 30mメッシュが高精度といっても、日本ではより高精度の10mメッシュが北海道地図株式会社がGISMAP Terrainとして公開しています。10mメッシュをすでに見られている方は、それほどすごいことと思われないかもしれません。しかし、30mメッシュの精度で、全世界がすべてそろうのは、調査研究、防災、資源探査・管理などにおいて、非常に重要な基礎資料となります。海外の地図の整備されていない地域を調査される方には、これほど重要な情報はないかもしれません。日本の非常に重要な国際貢献になると思います。

・猛暑・
北海道は猛暑です。
暑くて、なにもできないほどです。
自宅はもちろん、研究室も、
早朝でも暑くて耐えられないほどです。
もう4日目です。
子供たちも、プールに行って涼んでいるのですが、
帰ってくるまでに暑くてたまらないといっています。
冷房のない多くの北海道の家屋では、
みんな生き絶え絶えにこの暑さに耐えていることと思います。
もうすぐ涼しくなると期待しながら、
耐えるしかありませんね。

・30mメッシュ・
北海道地図の10mメッシュは私も利用しています。
そして現在共同研究として10mメッシュを利用した
地形と地質に解説を
メールマガジンとホームページで行っています。
50mメッシュを扱ってきたものが、
10mメッシュを見たときの衝撃はすごいもでした。
今回の30mメッシュの検討は現在準備中です。
50mメッシュから3m0メッシュへは、
それほど差を感じないかもしれません。
しかし、海外が今まで90mメッシュであったのが、
30メッシュになれば、この効果は明瞭なものがあるはずです。
そんな期待を抱かせてくれます。
すべてのデータが公開される2009年の春が待ち遠しくなります。