2007年3月29日木曜日

1_60 隕石の起源4:極地から(2007.03.29)

 南極と隕石はなかなか結びつきません。しかし、南極こそ、隕石のメッカともいうべきところです。そんな南極と隕石の関係を紹介しましょう。

 隕石とは、地球に落ちてきて、誰かが隕石だと認定して初めて隕石になります。だれも、誰も隕石と知らなければ、ただの石ころになってしまいます。
 隕石として、だれでもすぐに見分けられるものに、鉄隕石があります。鉄ですので、重く、金属色をしています。その辺に転がっている石とは、明らかに違いがあります。
 隕石の中に占めている鉄隕石の割合は、数の上では6%程度にしかなりません。ですから、鉄隕石が見つかる確率は非常に小さいものです。もし落ちていたとしても、表面がさびていたりすると、金属色ではないので非常の判別しづらくなっています。
 石の隕石(石質隕石といいます)が、隕石の中では、非常に多くの比率を占めています。しかし、石であることから、地球の石なのか隕石なのかを見分けることが困難となります。
 隕石として一番見つけやすいのは、落ちてくるのが目撃されている場合です。しかし、隕石の落下を目撃することは、非常に稀なことです。地球の7割は海です。3割の陸でも、砂漠や氷原、極地など、人があまり住んでいない地域も広くあります。ですから、人が目撃し、隕石を拾うことができるのは非常の稀なことです。それでも、1000個強の隕石が落下の目撃され、採取されています。
 落下が目撃されていない隕石が、3700個以上も発見されています。まあ、それにしても、5000個に満たない数しか隕石が発見されていないのです。
 ところが、隕石の数は、現在、4万4000個近くあります。それは、人の住んでいないところから、隕石が大量に発見されるようになったためです。
 それは南極からはじまりました。1912年、オーストラリアの人が、南極で最初の隕石を発見しました。その後1961年、ソビエト(当時)が2個の隕石を南極で発見しました。1アメリカ合衆国が962年と1964年にそれぞれ2個と1個と、発見しました。
 1969年には、日本の第10次観測隊が9個の隕石を発見しました。その後、日本の観測隊は、1973年第14次に12個、1974の第15次に663個、197年第16次に308個と、大量の隕石を発見しはじめました。1976年には、日米共同で探索が始まり、11個、1977年には310個、1978には311個と、隕石の発見が相次ぎました。2007年2月17日までに、南極からは総計3万2282個の隕石が発見されています。
 なぜ、南極からこんなにも大量の隕石が発見されるのでしょうか。
 南極の大部分が氷で覆われています。ですから、もしそこに石ころが転がっていれば、非常に目立ちます。氷の大地は、隕石を探すには非常に効率のいいところなのです。
 さらに、氷の大地には、隕石を濃集するメカニズムがあったのです。南極の氷は、ゆっくりとですが、流れて移動しているところがあります。そのような氷の流れには、山脈にぶつかるような流れもあります。そのような場所では、氷が風や乾燥によって、激しく昇華(しょうか、固体から直接気体に変わること)して、減っていきます。
 氷の中には、稀にですが隕石が紛れ込んでいることがあります。隕石は、南極でも非常に稀なものですが、このように氷の移動と昇華によって、隕石を集積するメカニズムが働いていることわかってきました。ですから、そのような場所を見つければ、非常に効率よく隕石を発見することができます。このようなメカニズムは、隕石探査の結果、日本の研究者が見つけ出したものです。
 南極は、どの国の領有権もなく、科学研究のために利用するというと国際的な約束があります。長期間、南極で動き回っているような人は、観測隊員で、隕石があるかもしれないという知識があります。ですから、変な石を見つけたら、まずは、隕石ではないかと疑います。それも隕石を見つける率を高めているはずです。そして、見つけた隕石は、科学に利用するために公開されます。
 南極では、隕石を見つけやすい条件と、見つけられる人、見つけて公開するという理由がそろっているため、多くの隕石が発見されて、人類共通の資産となってきました。
 南極隕石の保有数は、日本が1万6000個以上で、世界で一番となっています。ついで、アメリカ合衆国の1万1000個弱となります。日本は、南極の隕石については、非常に大きな国際貢献をしているのです。

・日本の隕石・
南極には日本も毎年多くの観測隊員が参加して研究しています。
そして時には隕石探査を重要な目的として、研究されたこともありました。
日本隊は、上で述べたようなメカニズムにいち早く気づき、
大量の隕石を収集したのです。
日本の隕石は、国立極地研究所が管理して、国際的に公開されています。
研究者で研究目的であれば、申請をして採択されれば
無料で隕石の提供を受けられます。
また、教育目的として、貸し出しの制度もあります。
このようにして日本の隕石は、国際的に有効利用されています。

・沖縄・
このメールマガジンがお手元に届いてる頃には、
私は、沖縄に調査に来ています。
3年前の2004年にも、一度来ているのですが、
今回は、前回見残した地域を見ることと、
鍾乳洞やカルストなどの石灰岩地帯を見ることが目的です。
これは、私の目的で、家族の目的は、もちろん違います。
海水浴(水遊び)と美ら海水族館です。
6泊7日の間、コンドミニアムタイプのホテルに宿泊します。
自炊しながら、のんびりとしようと考えています。