2006年10月19日木曜日

5_55 宇宙から調べる4:地球探査技術の現状

 宇宙からの地球の探査技術を、軍事目的の衛星まで含めてみていきます。どれほどの技術を、私たち人類が持っているのか紹介します。

 これまで紹介した宇宙からの探査方法は、一般的なもので、民間人がだれでも使えるものでしたす。実際の技術はもっと進んでいます。前回紹介したイコノスは、地上の解像度は1mでした。それ以上のものが現実は実用化されています。
 2001年10月18日に、アメリカのバンデンバーグ空軍基地から打ち上げられたクイックバード2(QuickBird)は、商用の地球観測衛星です。クイックバードの地上での分解能は61cmです。地上に人がいるかどうかが見分けられます。例えば、サッカーの試合を宇宙から見れば、選手がどこにいるかがわかるのです。その精細な画像は、時々ニュースに使われています。
 これは民間の技術ですが、軍事技術はもっと進んでいます。軍事衛星として利用されているものには、偵察衛星とか探索衛星(スパイ衛星)と呼ばれるものがあります。
 日本も情報収集衛星(IGS)を、2003年3月に打ち上げをしています。この衛星は、解像度1mの光学衛星とレーダー衛星の2機1組が同時に打ち上げられています。2003年11月29日にも2号機打ち上げようとしましたが、HIIAロケット6号機の失敗によりだめになりました。しかし2006年9月11日には、光学衛星の2号機が打ち上げられています。情報収集衛星は、4号機までの打ち上げが予定されています。
 光学衛星の地上の解像度は1mとされています。しかし、その解像度を満たしていないとの報道もあり、問題になりました。情報収集衛星は、法律の上では「我が国の安全の確保、大規模災害への対応その他の内閣の重要政策に関する画像情報の収集を目的とする人工衛星」(内閣官房組織令第4条の2第2項)と定義されているので、災害対策や防災のために国民に公開されていいはずなのですが、そうはなっていません。明らかに軍事(日本では防衛でしょうか)として利用することが主な目的のようです。
 他国の軍事や防衛目的の衛星も、その性能は公開されていません。詳細は不明なのですが、推定によると探索衛星では約15~20cmの解像度が今や標準の解像度となっているようです。最高性能では、地上にある10cmほどのものも見分けることができるレベルに達しているようです。ここまで性能が上がれば、装甲車なのか普通車なのかや民間人か軍人かはもちろん、男か女かの見分けすらできかもしれません。
 北朝鮮の核実験の時も、アメリカの軍部や日本の首脳部は、探査衛星からの情報を得ているはずです。その内容は非公開です。相手のことをどこまで知っているかは、戦略上重要な秘密となりますから、明かすことはできないのは理解できます。でも、早くこのような衛星のデータを、民間で自由に使えるようになればと思います。
 膨大な国家予算が投入されて、軍事技術の開発が進められます。民間が費用の関係で開発できないものでも、国家規模では開発することができます。もちろん、時間がたてば、民間でも技術的に追いつくかもしれませんが、やはり無駄が多いと思います。
 アメリカでは、軍事技術の転用が可能となったため民間でイコノスが打ち上げれ運用されています。自由に利用できるようなればいいのですが、なかなか難しいものです。平和なら軍事費は必要なくなり、軍事目的の技術開発はなされません。とはいっても本当に必要なら人類の智恵で開発されるはずです。そしてそこで得られたものは、人類共通の知的資産というべきものですから、平和に利用するのが一番でしょうね。

・人類共通の資産・
宇宙から調べるシリーズの4回目の今回は、
軍事衛星の話になりました。
少々きな臭い話題ですが、これも現実に存在するものです。
そこで開発された技術やいらなくなった情報は
自由に使えるようにならないでしょうか。
いつものそれを思います。
戦略的に重要なのはわかりますが、
もし敵国があり、本当に探り合っているのであれば、
こちらの技術や能力は、ほとんど分かっているのではないでしょうか。
分かって上で、人材や能力、資金力に応じた戦略がとられるはずです。
資金力のない国は、ゲリラ戦や
北朝鮮のような非常に巧妙な挑発(?)戦略など
別の戦い方をするはずです。
ですから、軍事技術はどこまで本当に必要なのか、
投資対効果は本当にあるのか、そんなことを考えてしまいます。
すべて、人類が知力を絞って得たものです。
それを人類共通の資産とできないのは悲しいものです。

・健康第一・
北海道はここ数日ぐっと冷え込んできました。
ストーブも、朝夕はほぼ毎日炊くようになりました。
先日の晴れた朝には、霜が降りました。
これから一気に冬に向かっていきます。
短い秋を味わいたいのですが、
家族がまたまた体調をくずしています。
ですから、いつ秋を眺めにいけるかがわかりません。
もしかすると、今年は秋を味わうことなく
雪の季節になるかもしれません。
それも寂しいのですが、
健康第一ですからしかたがありませんね。