2006年10月12日木曜日

5_54 宇宙から調べる3:Return to Earth

 宇宙から地球を調べる技術は、市民に公開されるようになって来ました。そんな地球観測衛星の進歩を見ていきましょう。

 宇宙から調べる技術は進歩しています。前回紹介したランドサットの地上を見分ける能力も、1973年に打ち上げられたときは80mの分解能でしたが、30mへ、そして1999年の7号では15mまで上がりました。高分解能へと進歩しています。
 私が関係したものとして、アスター(ASTER)というものがあります。アスターは、EOS計画の一環のテラ(Terra)という衛星に搭載されています。テラは、1999年に米国カリフォルニア州のバンデンベルグ空軍基地から打ち上げられました。日本とアメリカが共同運用をしています。
 アスターの分解能は15mで、ランドサットと変わりません。しかし、真下を撮影する望遠鏡と後を撮影する望遠鏡を備えています。同じ地域を違う角度で撮影することができます。この両画像で、立体視ができます。そこから標高データを作成することができます。標高データも15mの分解能を持ち、地上分解能ではなく、空間分解能という性能となりました。
 最近では、日本が開発した陸域観測技術衛星の「だいち」があります。2006年1月24日10時33分に、種子島宇宙センターから打ち上げられたH-IIAロケット8号機(H-IIA・F8)に「だいち」(ALOS)は搭載されていました。その特徴は、パンクロマティック立体視センサー(PRISM)とよばれるもので、前方、直下、後方の3方向を同時に撮影します。その分解能は2.5mというものです。
 また、一般市民が使用できるものとして、イコノス(IKONOS)という衛星があります。アメリカの規制緩和により、偵察衛星技術を民生用に転用されたものです。商用観測衛星として、1999年9月25日にイコノス衛星が打ち上げられました。2000年1月よりデータの提供がされており、1mの分解能をもっています。1mの解像度とは航空写真に匹敵します。その精度を高度680kmから達成しているのです。その精度は、東京から、函館や広島にいる人が見えるというものです。驚異的です。
 地球外の宇宙は、人類にとって新たな新天地でした。月を筆頭に、火星や金星などへ、人々は思いを馳せてきました。
 月へ向かったアポロから撮影された地球、月面から見た地球は、青く美しく、そしてかけがえのないものであることが多くの人に思い起こさせました。そして、今では、宇宙から地球を観測するということが、より一層進められています。これは、既存の宇宙へ行く技術と、望遠鏡の技術、そしてデジタル技術が協力して進歩してきたものです。
 宇宙からの観測が、何を明らかにしてきたのか、何を明らかにしようとしているのか、それは次回としましょう。

・地球へ・
人は、宇宙にあこがれてきました。
20世紀になって、智恵と技術が、宇宙への夢をかなえました。
宇宙にいって初めてしたのは、
宇宙から地球を眺めるということでした。
宇宙から眺めた地球は、
暗い宇宙空間の中にある青い天体とみえました。
最初に宇宙を眺めた旧ソビエトのガガーリンも
「地球は青かった」という名言を残しています。
宇宙空間に浮かぶ儚げな地球を見れば、
誰もが、そこは私たちの母星であり、
愛おしさを感じるはずです。
科学者たちは、そんな地球をもっと知りたいと考えました。
そんな宇宙からの探査技術が、科学者の夢も同時に叶えました。
現在は多くの人工衛星が地球の周りを巡って、地球を見ています。

・宇宙と人のはざまにて・
私は、アスターの画像を利用して、
1年間メールマガジンとホームページで
科学教育の実験的研究をしていました。
私が持っている地表の画像と、
私が見聞きしたその地の感想、
そしてアスターの衛星画像をまとめて紹介するというものです。
アスターの日本側の運営管理母体である
ERSDACという組織との共同研究という形でした。
毎月1回メールマガジンを発行してました。
選択した地域は、日本を6ヶ所、海外を6ヶ所ということになりました。
もし興味のある方は、
「地球:宇宙と人のはざまにて」
http://www.ersdac.or.jp/Others/geoessay_htm/index_geoessay_j.htm
を覗いてみてください。