2006年7月6日木曜日

6_50 宇宙人7:SETI

 実際にいくつものSETIがおこなわれています。その方法と結果をみていきましょう。

 SETIには対象によって、大きく分けて2つの方法があります。全天をくまなく観測する方法と、目標の星を定めて詳しく調べる方法の2つです。いずれも実際におこなわれたものです。その方法や考え方を見ていきましょう。
 プエルトリコにはコーネル大学により運営されている世界最大の電波望遠鏡があります。その望遠鏡が、多数の星でのSETIに利用されました。アレシボ望遠鏡で1日観測すると、デジタルで35GBのデータが得られます。その中からETIの発した信号を探さなければなりません。多分弱い信号となっていて、雑音に紛れそうになっていることでしょう。解析して人工的な信号があるかどうかを調べなければなりません。
 非常に多くのデータがあるので、解析には膨大な計算時間が必要となります。そのためには世界最高速のコンピュータをもってしても時間を要します。それに最高速のコンピュータを独占的に使うことは不可能でしょう。そこで、SETI@homeという方法が考えられました。
 SETI@homeとは、個人が所有するインターネットに接続しているコンピュータをボランティアと利用させてもらうというものです。コンピュータが利用されてないときに、スクリーンセーバとして作業するソフトを無料配布して、協力してもらおうというのです。
 1999年からスタートして、全世界で54万人が参加しました。データは、1.420GHzを中心とした2.5MHzの周波数の信号を、256の部分に分割し、それぞれを約10KHzにして解析作業をします。10KHzの信号は、250KBで1つのワークユニットとしています。それに付加情報を付け加えて340KBのデータを参加者に送ります。もし、信号を見つけたときには、「原則の宣言書」に基づいて、確認をして、広く世界に告知することになっています。
 このように各地のコンピュータを利用する手法は、分散コンピューティングとよばれるもので、パーソナルコンピュータでも多数集められると、全体としては強力な計算能力を持つコンピュータとみなせます。
 2004年6月からは分散コンピューティングとして新しいソフトウェア(BOINCと呼ばれる)を用いたプロジェクトに移行しました。これによって初代SETI@home(SETI@homeクラシック)は2005年12月15日に終了しました。これは、壮大なる人類全体を巻き込んだ、地球規模の思考実験といえます。
 SETI@homeクラシックの結果は、「2003年2月までにうお座とおうし座の間の方角より、人工的な信号が3回受信され、現在は消えている」、というものでした。この信号は現在消えているので、本当にETIからものかどうかを、確認することはできません。
 もう一つの近くの星からの電波を丹念に探索する方法として、SETI研究所がおこなっているPhoenix計画があります。地球から2000光年にある2000個ほどの星からの電波を、丹念に探査していこうというものです。
 SETI研究所はNPO(非政府組織)ですが、年間4億円の予算を使っています。その大部分を、個人や民間の寄付で運営しています。しかし、いまだに、信号はキャッチされていません。
 以上の結果から、確実なETIの存在を示す信号は、まだ見つかっていないことになります。見つかっていないことが、ETIがいないことの証明とはなりません。ですから、続ければそのうち成功するかもしれません。しかし、SETIだけからのアプローチでは、あまり効率よくありません。今までの成果をもとに、別のアプローチを考えてみる必要がありそうです。それは次回としましょう。

・最速のコンピュータ・
SETI@homeが分散コンピューティングとして持っていた計算能力は、
2004年1月で、63 T FLOP/Sという数値でした。
FLOP/Sとは1秒間で計算のステップが何回できるかというもので、
Tとは10の9乗で、63 T FLOP/Sとは
毎秒6300億回のステップが計算できるという途方もない数です。
当時、最高速のコンピュータは、
NEC製の日本のjamstec(独立行政法人海洋研究開発機構)にある
「地球シミュレーター」でした。
その能力は35.86 T FLOP/Sで、2002年から2004年11月まで
世界で最高速のスーパーコンピュータの座にありました。
「地球シミュレーター」は2002年6月に最高速を記録したとき、
当時の第2位コンピュータに、5倍の差をつけてトップを獲得して以来、
2004年11月まで連続でトップを維持していました。
日進月歩のコンピュータの世界で、この記録は驚異的なことでした。
しかし、当時最速のコンピュータである「地球シミュレーター」を
SETI@homeの計算能力は、2倍近くあったのです。
人類の多くの参加した思考実験は、
当時最高の計算能力をもって取り組まれたことになります。
しかし、その結果は、ETIの発見というものではありませんでした。
ちなみに、現在(2006年06月28日)最速のコンピュータは、
アメリカ合衆国カリフォルニアのDOE/NNSA/LLNLという研究組織にある
IBM製のBlueGeneと呼ばれるものです。
その計算能力は280.6 T FLOP/Sというものです。
コンピュータは驚異的な進歩を遂げているのです。

・休日は外で・
いよいよ7月です。
北海道は7月になってから夏らしい暑い天気が続いています。
我が家は最近休日は外で過ごすことが多くなっています。
子どもが参加する行事に親も付き合っているということです。
健康的な生活を送っていて、私も家内も日焼けしています。
しかし、子どもと違って、大人は休日に疲れを取りたいところなのですが、
休日に疲れてしまっています。
外での疲労は、肉体が疲れるのですが、
精神的にはリフレッシュして気持ちがいいものです。
どちらをとるかは難しいのですが、
気持ちの良い季節は、やはり外で太陽の日差しものとで
動き回ることでしょうね。
冬の不足分を取り戻さねばなりませんから。