2006年6月29日木曜日

6_49 宇宙人6:科学としてのETI探し

 ETIのことを真剣に考えるのは、20世紀中ごろまでありませんでした。しかし、何人かの先駆者によって、ETIについて科学的に考えることができるようになりました。

 1959年9月19日にココニとモリソン(Cocconi & Morrsion)がネイチャーという権威ある科学雑誌に「星間通信への模索」という論文を報告しました。これが、ETIに関する初めての科学論文でした。
 それまでは、ETIのことを真剣に調べようとするのは、変な科学者とみなされ、表立って研究することはなかなか困難な状態でした。もし、科学者がETIのことに興味をもっていても、研究費も出ませんし、公共を施設(天文台や高速の大型コンピュータなど)を利用することはできませんでした。しかし、この論文によって、科学のテーマとして取り上げられるものになってきました。
 まるでその論文を待っていたかのように、1960年春には、ウエストバージニア州グリーンバンク(Greenbank)にあるアメリカ国立電波天文台のドレイク(Drake)らによって、オズマ(Ozuma)計画という名のCETIが開始されました。この計画は、電波望遠鏡によってETIと通信をしようとするものでした。
 オズマ計画では、地球に近い太陽に2つの星(エリダヌス座ε星とクジラ座τ星)からの電波を、30日間にわたって調べるものでした。それと同時にETIに対してもメッセージを送りました。
 その後も、SETIの試みはいろいろと続けられました。しかし、残念ながら、オズマ計画では、ETIの証拠は見つかりませんでした。
 このオズマ計画を指導したドレイクは、CETIやSETIの創始者ともいうべき研究者です。
 論文発表の翌年の1960年11月1日には、「地球外知的生命体に関するグリーンバンク会議」が開催されました。それは、わずか12人の科学者が集められた会議でした。しかしこの会議は、研究者がETIに対して、真剣な取り組みを始めた象徴的なものでした。これ以降、ETIの探査が科学的研究として認知されるようになりました。
 今まで、多くの周波数で、多くの天文台を使って、多くの星を目標にして、ETIの探査されています。しかし、探査するには、効率を考えなければなりません。効率探査するには、無駄を省くことです。どれが必要でどれが不要かを考える場合、ETIが私たちと同じ程度に賢いとします。
 私たちが考えているようなことは、ETIも同じように考えるはずだとするのです。すると私たちにとってベストな方法といえるものは、ETIにとってもベストであるはずです。
 EIT同士が星間通信をする場合、通信には電波を使うはずです。これが一番早い伝達速度もっているからです。その通信は、遠くなれば信号は弱くなるはずです。どこまで届くかは、信号の強さと、雑音の強さの関係となります。可能な限り強い信号を送るにしても、雑音は少ないに越したことはありません。遠距離の通信には、できるだけ雑音の少ない周波数を使った方が効率がよくなります。
 宇宙空間で一番雑音の少ないのは、水に関する成分(水素や水酸基)が出す固有の電波(輝線とよばれます)のあるあたりです。ですからその周辺の周波数帯はウォーターホールと呼ばれています。1~3GHz付近の周波数にあたります。そのあたりは、電波でもマイクロ波と呼ばれる領域です。マイクロ波のウォーターホール周辺でETIの探索されることが多くなっています。オズマ計画も21cmの波長(中性水素原子が出すもの)でCETIがされました。

・思考実験・
科学的に調査するとは、いろいろなことを考えてなされます。
探索すべき周波数は広く、そして星は星の数ほどあります。
何も考えずにやっていては、
どれほど時間をかけても、探査は終わりそうもありません。
時間がかかれば、費用もかかります。
ですから、効率的にSETIをしなければなりません。
そのためには、観測を実施する前、あるいは実施しながらも、
効率を考えなければなりません。
そんなSETIの歴史や考え方をみていくと、
実はSETIとは、自分たちのことについて考え、
自分たちの智恵を鍛えるための壮大なる思考実験と
私には思えてなりません。

・夏が来ない・
いよいよ6月も終わり、7月になります。
本州はまだ梅雨でしょうか。
北海道も夏もはずですが、天気の悪い日が続き、
なかなか夏らしい日が来ません。
先日やっと2日ほど快晴がありましたが、
毎日どんよりとした曇ったり雨が降ったりの嫌な天気です。
北海道には梅雨がなく、一番いい季節のはずなのですが、
こんな天気ばかりではたまりません。
なにか損をしたような気すらします。
でも、天候ばかりはどうしようもないのですが。

2006年6月22日木曜日

6_48 宇宙人5:ETIの見つけ方

 フェルミのパラドクスを解くには、ETIをなんとか探すことです。そんな方法を見ていきます。

 前回紹介したフェルミのパラドクスを解決するには、どれほどETIがいるかが重要になります。多ければパラドクスが謎のまま残ります。少なければパラドクスとはなりません。まずはETIがどれくらいいるかを探ることが、重要となります。
 ETIの数を探査する方法には、実際に観測して探そうというものと、理論から求めようというものの2つのアプローチがあります。
 まず、実際に観察する探査の方法を紹介しましょう。
 最初の探査は、ETIとコミュニケーションをすることを目指されました。その方法は、CETI(Communication for Extra-Terrestrial Intelligence)と呼ばれています。CETIができるためには、あまり遠くてはコミュニケーションができません。ですから、少々の時間差があるにして、ETIと交信可能となるのは、太陽系内や太陽系の近くの天体となります。それらの天体をターゲットしたCETIとなります。
 ところが、この探査の方法は現在行われていません。あるていど観測や探査はされたのですが、交信できるほど近くに、ETIはいそうにもなかったからです。コミュニケーションとは、メッセージを送れば、返事が返ってくるという前提に成り立っています。返事の来る当てもないものを、コミュニケーションと呼べるでしょうか。この方法は、非常にロスの多い探査だといえます。
 また、ETIが近くにいて、なんとかコミュニケーションできるとしても、彼らが友好的な種族という保障はありません。もし、彼らが私たちよりはるかに進んだ科学技術を持っていて、植民地を探している凶暴な種族だったらどうなるでしょうか。私たち自らから、情報を公開するということは、彼らに格好のエサを与えることにならないでしょうか。私たちの素性を知らせる前に、相手の素性を知ることが優先すべきでしょう。私たちに関する情報を、無防備に公開するのは、あまりよい方法とはいえません。
 そこで、SETI(Search for Extra-Terrestrial Intelligence)という方法が、現在ではおこなわれています。SETIとは、ETIとのコミュニケーションをするではなく、ETIを探すことだけに専念する方法です。
 ETIを探す時は、人工的な電波を発信しているかどうかを調べることで、遠くからでも確認できます。この方法であれば、どんなに遠くの星でも、探査が可能です。そして、多数の星を調べることができます。そして、何よりいいのは、こちらの存在を知らせることなく、ETIの存在だけを探ることができることです。私たちは、ただ聞き耳を立てているだけでいいわけです。これは、非常に有効な方法といえます。現在、ETI探しは、SETIというやり方になっています。
 実際のSETIとその結果については、次回としましょう。

・北海道の初夏・
沖縄では梅雨が終わったようです。
でも、本州では梅雨の蒸し暑い日が続いてるのでしょうか。
ここ北海道は、先週末は少々蒸し暑かったのですが、
ここ2、3日は、雨で肌寒いほどです。
蒸し暑いといっても、窓を開ければ、
涼しい風が入ってきて、快適になります。
北海道も緑が濃くなり、良い季節となりました。
初夏を告げるエゾハルゼミがあちこちで鳴き始めました。
子どもたちと森のセミを取りに出かけたのですが、
まだ、数が少ないようで、木の低いところにはいず、
高い木の上で鳴いています。
また警戒心が強いせいか、子どもたちが近づくと鳴き止んでしまいます。
蝶々は取れるのですが、セミは、まだまだのようです。
しかし、ミヤマカラスアゲハを長男がとって喜んでいました。
北海道の初夏の風物ですね。

・エディター・
長年使っていたエディターを先日変えました。
エディタ-とは文章を書くために特化したソフトです。
私は今までWZエディターというのを長年使っていました。
それ以前はMifesというのを使っていたのですが、
一時Macを使っていたので、DOSに戻ってきたときから、
WZエディターを使っています。
WZエディターはバージョン3から5まで9年ほど使ってきました。
バージョン5になってから4年ほどたちますが、
バージョンが上がっていません。
それどころか新しいバージョン開発が行われる様子もなく、
サポート用の掲示板もなくなりました。
このような状況であれば他のエディターに変えたいのですが、
WZエディターから他のエディターに変えられませんでした。
それは、WZエディターにだけ、アウトライン機能があったからです。
その機能を私は常に使っていました。
今回主要なエディターである秀丸エディターとEmEditorも
アウトライン機能を正式に持つようになりました。
やっと選択肢ができました。
試した結果、秀丸エディターであれば、
WZエディターと同じ形式に表現できることが判明して
乗り換えることにしました。
まだ秀丸エディターのバージョン6はβ版ですが、
購入して、本格的に使用を始めました。
長年WZエディターを愛用していたが、
やはりソフトの対して更新が成されないのは
利用者としては、不安を感じます。
今、秀丸エディターの特徴を少しずつ味わっているところです。
そして、WZエディターでできたことを、
秀丸エディターでどうすればいいかをいろいろ試行錯誤しています。
大抵のことは工夫すればできることがわかってきました。
秀丸エディターのいいところは、マクロがたくさんあること、
それとサポートがしっかりしていることです。
このエディターとも、長い付き合いになってくれるといいのですが。

2006年6月15日木曜日

6_47 宇宙人4:フェルミのパラドクス

 ETIがいるか、いないかを考えるときに、重要な条件を考えていきます。すると不思議なことに、矛盾が発生します。

 ETI(地球外知的生命体)の乗物のことを、UFOと呼んでいます。しかし、UFOとは、Unidentified Flying Objectの略で、もともとの意味は「航空管制上、飛行体が認識、同定されていないもの」ということです。UFOのなかには、気象現象、風船やタコ、ビニールごみなどを誤認したものなどを、たくさん含んでいるはずです。しかし、それが何かがわかるまでは、UFOでありつづけるわけです。ですから、UFOは、ざらにあるものなのです。
 もちろんその中には、地球外からきたEITの乗物も含まれるかもしれませんが、今のところ本物となされているものはありません。UFOをETIの乗物としていますが、もしそれが認識されたとすれば、もはやUFOではなくなります。現在非常に混乱した使用がなされていることになります。ですから、UFOという用語はここでは使わないことにしましょう。
 ETIについて考えるとき、重要な条件があります。ハートが1975年に考えたもので、Fact Aというものです。Factとは「事実」という意味です。Aとは「ABCのA」ですから、日本語でいうと「いろはのい」という意味です。Fact Aとは、前提とする事実が「ETIが地球に飛来したことはない」ということです。Fact Aは、これからETI探しをしようというのに、少々変な感じがしますが、科学的考えていくためには、このような確実なところからスタートすべきでしょう。
 カルダショフという研究者が、宇宙にあるであろう文明を、科学技術あるいは使用エネルギーに基づいて区分しました。テクノロジー文明と呼ばれています。テクノロジー文明は、エネルギーの使用程度に基づいて、3つに分けられています。
 I型文明は一つの惑星上で利用できるエネルギー(10^19erg/秒)を使っているもの、II型文明は惑星が属している恒星が出しているエネルギー(10^33)を使うもの、III型文明は銀河全体のエネルギー(10^44)を使いこなすもの、となっています。現在の地球はI型文明にいることになります。
 人類の今までの歴史を見ていくと、ひとつの国で鎖国が続くのはせいぜい、数百年です。鎖国は長く続くことはなく、文明は長い年月の後には、破滅か発展かしていくことなります。このような人類の歴史を見ていくと、文明とは、発展を続けるものだと考えられます。その考えを、テクノロジー文明に適用すると、一般的なETIの文明は、I型→II型→III型へと発展していくはずです。
 するとFact Aとテクノロジー文明の発展を考えあわせると、パラドックスが生じます。人類の発達から推定すると、ETIは自分が生まれた天体の外へも発展していきます。ETIのあるものは、III型文明まで発展しているはずです。ところが、Fact Aから、ETIとの接触やETIの文明の証拠がいまだにないのです。これをフェルミのパラドックスと呼んでいます。
 フェルミは、このパラドクスをかくれんぼ遊びにたとえて"Where is everybody?"(みんなどこにいるんだい)と呼びかけています。
 このフェルミのパラドクスをまぬがれる方法として、動物園仮説というものを、バールが1973年に考えました。III型文明はすでに存在しているのですが、我々の太陽系は、銀河文明の自然公園で、わざと放置されているのだという考え方です。私たちはETIから、動物園の動物のごとく、その発展過程を観察されているのだというものです。私たちは、ETIから見られている動物園のサルのようなものなのでしょうか。

・動物園仮説・
宇宙人シリーズですが、もうしばらく続きます。
ついつい長くなってしまいます。
しかし、なかなか面白いテーマであります。
今回のフェルミのパラドクスは、どのようにして解くのでしょうか。
最後の予定になりますが、その説明をしたいと考えています。
もし、私たちに見えない状態で私たちをETIが観察している考えると、
私たちは、ETIに対して恥じない、発展をしているでしょうか。
自分たちの住む惑星のこと、太陽系のこと
銀河の平和や安全、環境を乱すようなことを
知らず知らずのうちしていないでしょうか。
そんなことを考えるきっかけに「動物園仮説」を使うことが
一番いい使い方かもしれませんね。

・元気が一番・
長男の小学校の運動会は、雨で一日延期になりましたが、
日曜日に無事終了しました。
月曜日が長男は休みとなり、火曜日に学校に行こうとしたら、
気持ちが悪くなって休んでいました。
月曜日に、そのような症状が出ていたのですが、
風邪ではないかということで、自宅で安静にしていました。
しかし、火曜日に病院で調べたところ、
風邪のウイルスは見つからずに、
自律神経失調症という診断でした。
つまり、疲れが出たのでしょうということです。
安静にしていなさいということです。
しかし、エネルギーがあまっているらしく、
長男は家の中で暴れまくっていました。
子供は暴れまくるくらい元気なのが一番ですかね。

2006年6月8日木曜日

6_46 宇宙人3:ETIとのコミュニケーション

 ETIの知性とはどのようなものでしょうか。知性が定義できないとしても、ETIとのコミュニケーションの方法はないでしょうか。

 ETIとのコミュニケーションを考えましょう。
 私たちは、ETIのことを何も知りません。いるかどうかも分からないのです。ここでは、もしETIがいるとしたらという仮定で進めましょう。
 ETIとは、地球外知的生命のことですから、知性があります。では、知性とは、どういう定義すればいいでしょうか。前回も考えたように、人類と他の生物を区別したり、人を特徴付けることすら難しいのに、地球外知的生命の知性を定義することは、なかなか大変なことです。知性の定義は、ここでは置いておいて、彼らは私たちの同じ程度に賢いということから考えていきましょう。
 彼らと、どのような方法でコミュニケーションしていけばいいでしょうか。コミュニケーション手段としては、宇宙でもっとも速い電波を使います。これは、ETIの知性に関する技術的な条件となりえます。
 電波を使うとしても、ETIとどのようにコミュニケーションすればいいのでしょうか。私たちは、ETIの文化も、知性の種類もわかりません。彼らとコミュニケーションをするには、日本語は通じないでしょう。もちろん英語もだめでしょう。さて、どんな言葉を使えばいいのでしょうか。
 電波でのコミュニケーションですから、ETIも電波技術を持っています。電波技術を獲得するには、一晩で一人の努力ですべての作り上げることは不可能です。多くの人が成し遂げた科学的な知識をたくさん積み上げてなければなりません。それができた知性体だけが、電波技術を扱えるのです。
 知識の積み上げには、何らかの言語や記述手法を使います。新しい知識の獲得には、科学的な考え方が必要です。電波を通信手段に持つということは、彼らは証拠と論理という科学の手法によって、ものごとを考えているはずです。
 この論理というものを使えば、言語がなくても知識の体系を伝えることができるはずです。私たちの科学の中にも、数学や論理学のように、科学者が日常生活に使っている言語に関係なく、論理的な記号によって記述する科学の体系があります。
 言い換えると、科学として論理的であるなら、すべて論理式で記述することが可能なはずです。このような論理による組み立てを、言語に見立ててコミュニケーションをしていけばいいはずです。
 まずは、私たちの科学の体系を、この手法で伝えればいいわけです。このコミュニケーションがうまくいけば、彼らも自分たちの科学の論理体系を同じ手法で伝えることができるはずです。いいえ、彼は私たちの同じほど賢いのですから、コミュニケーションしたいと考えたならば、同じ結論にたどり着くはずです。
 論理によるコミュニケーションとは、数学を小学校で教えるように、伝えていけばいいのです。まずは、1、2、3と数字を数えることから始まり、次は1+1=2などの足し算、次は四則計算をたくさんの実例を使って示せばいいのです。そして、さまざまな数学的処理を意味する記号と、その論理的内容を伝えていければ、私たちの数学の大部分を伝えることができます。
 これは、実は検証済みのことなのです。コンピュータの中で実際に行っていることです。少ない論理回路を用いて、非常に複雑な処理を、2進法という単純な電気信号でおこなっています。コンピュータで私たちが行っていることは、すべてこの方法でなされています。ですから、コンピュータでできることは、すべて伝えることが可能なのです。その手法を、そのままETIとのコミュニケーションに使えばいいのです。
 ただし、その内容が正確に伝わったかどうかは分かりません。もちろん論理的な部分は大丈夫なはずです。しかし、デジタル化された音楽や映像をみて、楽しい、美しい、悲しい、面白いなどという心の動きは、論理ではありません。これは、人間固有の感情です。その部分は伝わる保障はありません。まあ伝わらないと思っていたほうが無難でしょう。
 このようにみていくと、知性とは、もしかすると、科学的な考え方ができ、その成果を記録して、種として継承していくをいうような気がします。

・宇宙人シリーズ・
宇宙人シリーズもついつい長くなっています。
でも、もうしばらく続きそうです。
その存在すらわからない宇宙人について考えることは、
一種の思考実験とも呼ぶべきものです。
このような思考実験を通じて、ETIのことを考えながら、
同時に地球人類について考えているのです。
思考実験から、どうも私たちは、私たち自身について、
よく知らないということがわかってきます。
ETIよりも私たち自身が、もしかすると未知なる存在かもしれません。
でもこのような思考実験をすることによって、
ここでは知性をなんとくなく定義できたり、
思わぬ見返りがあります。
もう少し続けていきますので、お付き合いください。

・落ち着き・
6月ともなれば、本州ではそろそろ暑くなり、
梅雨の心配が始まるでしょうか。
でも、北海道はいい季節なので、
学校の運動会や大学祭がおこなわれます。
でも、今頃が、学校では、いちばん季節もよく、
落ち着いた時期ではないでしょうか。
我が大学の新学科も、そろそろ落ち着いてきました。
新学科の学生たちは、元気がいいのは変わりませんが、
何ができて、何ができないか。
何がしたくて、何がしたくないか。
何をすべきで、何をしてはいけないのか。
何に興味を持ち、何をあきらめるのか。
4月から5月まで1、2ヶ月は、それらがごちゃごちゃになって
とにかくあれもこれもやってみようと取り組んでいたのが、
整理されてくるからでしょうか。
やっと、収まるべきとことに収まったような気がします。
あと2ヶ月、前期の講義の後半が残っています。
一番学問に身が入るときでもあります。
教員としては、それに応えなければなりません。
大学が落ち着いてきたといっても、
気を抜けない時期でもあります。

2006年6月1日木曜日

6_45 宇宙人2:知性とは

 人間の持っている知性とは、どう定義すればいいでしょうか。それは、地球以外にもいるかもしれない宇宙人共通の知性と呼べるものでしょうか。

 前回、地球人も宇宙人だといいました。もし、私たちが日常的に使っている「宇宙人」を正確にいうとすると、「地球人以外の宇宙人」となります。あるいは「地球外の人間」と呼ばなければなりません。では、地球人以外の人間とは、どう定義すればいいでしょうか。
 地球人以外の人間の姿かたちは、私たちは知りませんから、姿かたちで定義するのはあまり良い方法ではありません。
 ここでは、地球人以外の人間とは、知性を持っている生命と定義しましょう。ですから、地球人以外の宇宙人は、地球外知性体あるいは地球外知的生命体と呼ばなければなりません。これでは長ったらしいので、英文のExtra-Terrestrial Intelligeuceの頭文字を取ってETIと呼びましょう。スティルバーグ監督の映画「ET」は、ETIをさらに略したものです。
 では知性とは、どう定義すればいいでしょうか。地球では人間だけが知性を持っている、と私たち人間は思っています。しかし、それは本当でしょうか。
 人間は言葉を使ってコミュニケーションをします。これは、知性もっている証のよう見えます。しかし、音声を使ってのコミュニケーションは、鳥や哺乳類では極普通におこなっています。鳥のさえずりや哺乳類の鳴き声は、コミュニケーションの手段として利用されています。そのコミュニケーションが単純かどうかは、必要性に依存しています。必要でなければ、複雑なものはいらないです。
 二足歩行をする鳥は、人間の言葉を話せます。また、イルカやクジラは、高度の知能を持っているといいます。彼らは、人間には聞こえないような長低周波の音波を発して、水中でも遠くの仲間と連絡を取っています。これは、十分知性的なコミュニケーションではないでしょうか。
 人間は道具を使います。これは、人間だけの特性ではないでしょうか。ところが、ある地域のチンパンジーは、木の実を割るのに、自分専用の台となる石(くぼみがあって木の実が安定する)と、割るためのハンマーとなる石を持っています。さらにチンパンジーは、木の中にいるアリを捕まえのに、木の枝や草から、葉っぱを取り除いて細い棒状にして、小さいなアリの穴に入るようにします。それを、穴に差込み、アリを捕まえて食べています。このような石や枝は、道具を作って使っていることにならないでしょうか。
 農業をして作物をつくのは人間だけです。いえいえ、ハキリアリというアリの仲間は、木の葉を取ってきて巣に運び、その葉に菌類を繁殖させて、食料としています。これは、立派な農業ではないでしょうか。
 人間には旺盛な好奇心があります。好奇心は人間だけの特性ではないでしょうか。好奇心とは、興味あるものを見たいという気持ちで、自分の不利益を少々こうむっても抑えきれない気持ちのことです。草食動物は、肉食獣に仲間が襲われると、その様子を少し離れたところが見ていることがあります。襲った肉食獣がいるということは、仲間が近くいるかもしれません。その場に留まることは危険です。なのに見るというのは、好奇心によるものではないでしょうか。まさに怖いもの見たさという好奇心にかられているように見えます。
 文化なら人間固有のものではないでしょうか。宮崎県青島のニホンザルで知られていますが、イモを洗って食べるという文化や、砂浜にまかれた小麦を海水につけ、浮かせて、効率よく、そしておいしく食べるという手法が若いサルが見つけました。それが、今や群れ全体に伝わっているというのは、文化の発生とその伝承ではないでしょうか。
 このようにしてみていくと、人間だけが持つ知性の特徴というものは、どうも特定できるものがありません。多くの生物がいろいろな知性的な特性を持っています。人間はそれらの知性の特性を、いろいろたくさん持ち合わせていることが、一番の特徴かもしれません。
 総合的な知性の特徴を、成功の記録や失敗の記録などを知識として長年積み上げていく必要があります。その知識の記録のために必要なので、文字が発明されたのではないでしょうか。文字による記録のために、土や石、皮から、紙になりました。記録や情報、知識を広くいきわたらすために、印刷の技術が発明されました。やがて記録の手法が電気信号を介して、すばやく伝達され、磁気や光で記録されるようになりました。
 このような知性の蓄積の実績によって、文明というものを発展させてきました。そこには、科学や技術というべきものが作り上げられました。この蓄積が成せる能力こそが、もしかしたら、人間の知性の重要な点かもしれません。
 人間は、電波(電磁波の一種)というこの世で一番高速の伝達スピードもをもつ通信手段で、コミュニケーションするようになりました。これは、文明の集大成といっていいかもしれません。ですから、ETIや地球人を考えるとき、電波によるコミュニケーションをできるという定義が可能かもしれません。

・天気の印象・
5月の上旬は暖かくて良い天気が続いたのですが、
5月下旬は涼しく雨が続きました。
まあ、雨の日も晴れの日もあります。
といってしまえば、それまでです。
もしかしたら、このような感想は、誤解に基づくものかもしれません。
土・日曜日が休みのサラリーマンとしては
土・日曜日の天気が一番記憶に残っていきます。
その記憶がもしかしたら、
一週間の天気の印象を大きく左右するのかもしれません。
これは、明らかに心理的効果によるミスリーディグです。
じつはこのようなことが、当たり前に起こっています。
人間は身勝手なもので、土・日曜日さえ晴れれば
なんとくなく得したような気がします。
雨だと損をしたような気がします。
特に北海道は一番良い季節を迎えています。
それを雨で室内でしか時間を過ごせないのはつらいものです。
今週末は、来週の小学校の運動会にそなえて、環境整備を行います。
終わったあとは、ジンギスカンです。
これが楽しみで、皆いそいそと出かけるのです。
やはり青空のもとで食べるジンギスカンは最高です。
晴れることを祈っています。

・企業努力・
大学は6月だというのに、来年の入学の準備であわただしくなっています。
入試用のパンフレットの印刷が終わり、配布が始まりました。
そして高校巡回がはじまります。
高校巡回とは、大学に来て欲しい高校に挨拶にいくことです。
そのとき、現在大学で過ごしている学生たちに近況を紹介したりします。
このような巡回が、そろそろ始まります。
6月下旬には、高校生を対象とした
オープンキャンパスという大学紹介があります。
いろいろなチャンスを利用して大学をアピールしていくのです。
これも大学の生き残りのために、努力の一環です。
私立大学は、民間企業ですから、常に営業や学生確保に励む
という企業努力をし続けるのです。
これが、大学自身を良くすることに、もつながっています。
とはいうものの北海道は広いのでなかなか大変なのです。