2006年2月16日木曜日

3_41 雪考2:風の乱れが天候を乱す

 雪について考えています。今回は、天候と風の関係をみていきましょう。底には熱の循環という原則がありました。


 前回、地球は赤道付近が太陽に近く真上から当たるので暖かく、南極や北極は太陽から遠く太陽が斜めから当たるので寒いということを説明しました。そのような地球と太陽の関係から、赤道付近で暖められた大気が軽くなり上昇し、極付近で冷やされて降下するという大きな大気の対流が起こると考えられます。
 ところが地球は自転をしていますので、風は乱れます。ただし、でたらめに乱れるのではなく、ある定常的な乱れとなります。まあ乱れというより、規則的な風が吹くといったほうがいいでしょう。ただし、大気の乱れが風ですから、少しのことで乱れます。その乱れが地表の環境を大きく左右しています。
 自転によって、大気は東西の方向に流されます。その大気の動きは、季節によって少しは変化しますが、規則的で、ほぼいつも同じような風が吹くようになります。
 赤道付近から緯度30度あたりまでは、貿易風とよばれる風があります。貿易風は北東から南西に吹きます。断面でみると、赤道付近で上昇流があり、緯度30度付近で下降流があり、赤道に戻るという対流になっています。このような対流を、ハドレー循環と呼んでいます。
 高緯度地域では、極地の冷たい空気が低緯度に移動し、緯度60度付近で暖まり、上昇流となり戻ります。これは、極循環と呼ばれるもので、高緯度から低緯度に向かって北東から南西に極偏東風が吹きます。
 ハドレー循環の緯度30度付近の下降流と極循環の緯度60度あたりの上昇流の間の中緯度でも風が吹きます。この風は南西から北東に吹き、偏西風と呼ばれます。ただし、偏西風は少し変わった風となります。
 偏西風は南北で循環をせず、東西の流れの風となっています。水平方向の流れが強い風となっています。偏西風は高度12km付近で特に強くなるところがあります。西から東に秒速100mにも達っするため、このような強い風はジェット気流と呼ばれています。ジェット気流は、緯度60度と30度付近の2ヶ所で見られ、それぞれ寒帯前線ジェット気流、亜熱帯ジェット気流と名づけられています。
 ジェット気流は、偏西風波動という蛇行しています。特に高緯度にある寒帯前線ジェット気流の蛇行が激しくなっています。偏西風は東西方向の風なのですが、蛇行があるため、低緯度の熱を高緯度に効率的に運んでいきます。このような熱循環をロスビー循環といいます。
 ジェット気流の波動が、地球を取り巻まいています。その波動のサイズは、季節によって違っています。春と秋には、6つから8つの山や谷をもっています。夏と冬には、2つか3つの波動になります。この波動が東に進んでいきます。春や秋の天気は、この波動に伴って、1週間ほどで低気圧や高気圧が移動していきます。夏や冬は波動が少なく移動速度が遅く、冬型や夏型の気圧配置がしばらく続きます。
 日本は2つのジェット気流の間にあります。2つのジェット気流は、季節によって蛇行の位置や強さが変化しますので、日本の天気は、その変化の影響を受けやすくなります。どうもこのジェット気流の蛇行の乱れが、豪雪の原因のひとつと考えられます。
 地球の半球では、3つの大きな対流によって定常的な風が生まれています。ただし、真ん中の偏西風は乱れやすく、その影響は異常気象などとして現れます。しかし、このような大気の運動によって、大気はかき混ぜられ、温度の均質化がおこります。
 風による大気の運動は、赤道付近を冷まし、極付近を暖めるのです。赤道と両極の温度の差は、大きく思えますが、これでも地表の付近の温度の均質化がおこなわれた結果なのです。もしこのような風がなければ、もっと大きな温度の差となっているはずです。地球は風によって、穏やかに保たれているのです。

・季節の移い・
天気の移り変わりは、1日として同じ日がありません。
季節の移り変わりは、1年として同じ年がありません。
しかし、ある時期になると、
似た季節が訪れ、似た天気になり、似た気象現象が起こります。
そのような繰り返しの原因は、解明されています。
しかし、日々の天気の違い、1年ごとの季節の特徴は、
予測することが、なかなか困難です。
こんなに繰り返しが続いているのに、
その一つ一つを細かく解明しようとすると
混沌へと入り込んでいきます。
科学は進んでいるのに、季節は巡っているのに、
不思議といえば不思議ですね。

・三寒四温・
北海道にも三寒四温の季節がやってきました。
ここ数日暖かい日が訪れています。
雪が一気に融け始めてます。
しかし、まだ2月です。
これからの雪が降り、寒い日も来ることでしょう。
大学は後期の授業も終わり、入試も終わり、
後期の成績提出も終わり、卒論発表も終わりました。
これからは、集計の終わった成績のチェック、
入試の合否判定、卒業認定などの会議が次々とありますが、
やっと大学の一年の締めくくりという季節になりました。
そんな時期に、三寒四温が重なると、季節の移ろいを感じます。