2006年2月2日木曜日

1_56 新生代5:人類の進化の原因(2006.02.02)

 地質時代シリーズもとうとう最後となりました。前回は人類の登場についてみましたが、今回は、人類の進化の要因についてみていきましょう。

 現在生きている人類が、生物学的にみて同じものであるといえる直接の祖先は、新人と呼ばれるものです。新人とはホモ・サピエンス・サピエンスと呼ばれていて、中期更新世の終り(200万年前)から後期更新世の半ば(100万年前)にかけて、誕生しました。これは第四紀と呼ばれている時代でもあります。
 それ以前の人類も、石器を使っていましたが、新人になると同じ石器でも、より高度の細工が施されたものとなりました。
 石器のような道具は、人類だけが使ったものではなく、現在でもチンパンジーが道具として石や枝などを使うことが知られています。ですから、道具が人類固有の特徴といえません。脳の大きさも、旧人と新人ではそれほど差がありません。つまり、生物学的にはほとんど進化することなく、今の私たちの直接の祖先が誕生しました。それは、約3万年前のことです
 では、その原因はなんだったのでしょうか。第四紀とは、寒さの繰り返し起こった氷河期の時代ともいえます。そして、3万年前とは、ちょうど最後の氷期であるウルム氷期が終わる頃です。それまで、氷期は繰り返し訪れていました。約60万年前のドナウI氷期から、ドナウII、ギュンツ、ミンデル、リス、そしてウルム氷期の6回ほどの氷期を、地球は経験しています。約10万年サイクルで、地球には過酷な環境が訪れました。
 氷期と氷期の間には間氷期と呼ばれる暖かい時期があります。しかし、間氷期は1、2万年ほどしか続かず、寒い時期のほうが多い時代でした。氷期になると、現在の地表の平均気温と比べて、8℃ほどの低くなっています。一番暖かかった約6000年前(縄文時代)と比べると、10℃ほど低くなったと考えられています。
 氷期は生物にとって過酷な試練を与えました。大陸の北の方は氷で覆われ、低緯度でも寒い冬が来ることになります。氷期の試練を乗り切るためには、寒さ対策、食料確保などをしなければなりません。それができないものは、衰退あるいは絶滅していくしかありません。
 氷期には動植物が減り、狩猟採集生活をしていた人類にも過酷な時代となります。人類は氷期という試練を、生物学的な進化に頼らず、知能を発達させることで乗り切りました。そして、暖かい間氷期が訪れると、食料が豊富になり、生活に余裕がでてきた人類は、知能を、文明というものを作り上げていくために使いました。それが現在の人類の文明とつながっています。
 文明を作り上げた時点で、人類は他の生物と一線を画することになりました。それは、人類が自分が食べる以上、必要以上のものを他人のために取り、作り、その見返りとして、欲しいものを手に入れるようになりました。見返りがやがて金や権力、快楽となっていきました。このような行為は、他の生物には決して見られないものです。この行為こそが、人類を他の生物の別の道を歩ませる原因ではないでしょうか。
 その道を私たちは、未だに突き進んでいます。そのスピードは、時間と共に加速されています。地球は生物と共に表層を変化しながら歩んできました。しかし、地球は人類といういまだ経験したことのない生物の影響を受けています。人類が与える変化に対して、地球はどう反応するでしょうか。その反応について知るほどには、私たちの知能は発達していません。知るためにどれくらいの時間が必要でしょうか。それは地球が反応するまでに間に合うのでしょうか。


・ミランコビッチサイクル・
周期的な氷期の繰り返しの原因は、
大陸の配置とミランコビッチサイクルの
組み合わせであろうとされています。
大陸配置では、極地に大陸があるかどうかが重要です。
あるとすると、どれほどの量あるかが問題です。
もしなんらかの原因で、
大陸の氷がなるの間に今までになく融けなくなると、
氷が長期に渡って、大量に集ってききます。
氷がたくさん大陸にできると、
太陽の光を反射し、地表を暖めることなく
太陽エネルギーを地球外に放出します。
すると、さらに寒くなって、降る雪の量が増え、
大陸の氷の量が増えます。
この相乗効果によって、地球の寒冷化が、進行するということです。
最初の原因がミランコビッチサイクルとなりえます。
氷床コアの分析から得られる40万年のデータが、
大気組成や気温を求めるデータが記録されています。
そこから得られたデータがミランコビッチ周期とよく合っているため
天体の軌道要素が氷期の周期の原因とされています。
氷期の10万年周期が、地球軌道要素の
離心率と軌道傾斜角の変化に一致しているのですが、
その詳細がまだはっきりしていません。
それが現在の議論となっています。

・大学では・
大学はいよいよ定期試験へと入りました。
その採点期間が1週間ほどしかありません。
今年度から後期が従来の9月中旬ではなく、10月から始まりました、
その結果、2月の予定がきつくなってしまったのです。
しかも、その採点期間の最中に
大学の一般入試、および採点もあります。
教員にとっては、非常に過酷な時期です。
でも、これも仕事ですから、乗り切るしかないのです。
この2週間は、これらにかかりきりになります。