2006年1月12日木曜日

1_55 新生代4:人類の登場(2006.01.12)

 地質時代シリーズで新生代の4回目で、いよいよ終わりに近づいていきました。今回は、人類の歴史になります。

 ヒトの定義は、なかなか難しいものです。人類学的な定義としては、直立二足歩行、音声言語の使用などがあげられていますが、まだ確定しているわけではありません。直立二足歩行は、霊長目の中で人類だけに見られる特性です。しかし、その特性の解明は、人類学上の難問の一つとされ、まだ定説がない状態です。
 人類は、生物学的にはヒトと呼ばれて、霊長目真猿亜目ヒト上科ヒト科に属しています。学名は、ホモ・サピエンス・サピエンス(Homo sapiens sapiens)です。ヒト科には、現生種としてはヒトが1種だけです。しかし、絶滅した種も含めて、広義に人類と呼ばれています。
 鮮新世から現在に至る約400万年の間に、地球上に生息した人類には、ほぼ連続的な形態の変化が起こっています。
 鮮新世と更新世(洪積世)の古人類は、時代順に、アウストラロピテクス群(猿人)、ピテカントロプス・シナントロプス群(原人)、ネアンデルタール群(旧人)、ホモ・サピエンス群(新人)に分けられています。それぞれが、人類の進化段階を代表するものです。彼らの文化のほとんどは、狩猟採集を基盤とする旧石器でした。
 中期更新世の終り(200万年前)から後期更新世の半ば(100万年前)にかけて、新人(ホモ・サピエンス・サピエンス)の出現と人種の分化が起こりました。脳容積は、猿人から原人へと増大し続け、リス/ウルム間氷期に、最大になりました。それ以後、今日まで脳容積は変化していません。
 現代人と変わらない大きな脳をもつ、リス/ウルム間氷期とそれに続くウルム第1亜氷期に存在した人類は、ホモ・サピエンス・サピエンスとホモ・サピエンス・ネアンデルターレンシスという学名を持つ2つです。ネアンデルターレンシスもホモ・サピエンスに属しますが、亜種のレベルで区別されています。ホモ・サピエンス・サピエンスとホモ・サピエンス・ネアンデルターレンシスとの二つの亜種は、人類の進化からみると、新人と旧人に相当します。
 新人は、今から約3万年前のウルム第1亜間氷期に出現し、今日に至るまでの全人類を含んでいます。現生人類は、新人(ホモ・サピエンス・サピエンス)として、生物学上の進化はすることなく、道具を使い、文明を構築し、科学を知り、技術を利用するようになったのです。
 そして、不思議なことに、ヒトは自分自身の歴史や、地球、自然について考えるようになりました。

・大学の暦・
松の内の終わりです。
いよいよ本格的にはすべての社会活動がじまります。
大学も、もうスタートしています。
3週間ほどの講義をして、あとは定期試験です。
2月には卒論発表、入試など、忙しくなります。
でも、これも年初めの年中行事です。
慌しさがあるため、一気に正月気分が抜けていきます。
ありがたいのか、厳しいのかわかりませんが、
これが大学の暦です。

・九州調査の終了・
やっと九州調査から帰ってきました。
といってもこのエッセイは、出かける前に書いて発送しています。
ですから、九州調査の話は、別の機会にしましょう。
長らく留守にしていて申し訳ありませんでした。
メールをいただいた方早急に返事をしますが、
今、しばらくお待ちください。