2005年1月6日木曜日

6_40 科学と人と

 あけましておめでとうございます。新年最初の「地球のささやき」として、科学と人のあり方について考えてみました。

 前世紀である20世紀は、科学技術が非常に重要な役割を果たしました。科学技術は、私たちの生活を豊かにしました。これは、多くの人が認めることでしょう。
 一方、20世紀後半から21世紀にかけて、戦争、核、原子力、公害、環境ホルモン、地球環境破壊、食料危機などなど、挙げればきりがないほど、私たちの生存や生活を危うくするような場面も、生まれるようになってきました。科学や技術が、直接、あるいは間接的に関わりながら、それらを引き起こしました。
 科学は必要以上に進みすぎたと警句を発する識者もいます。しかし、性急に答えを出すべきではありません。少し考えていきましょう。
 科学や技術は、必要なものや情報も簡単に手に入れられるようになり、多くの人に豊かな生活をもたらしました。そして、その豊かさを背景にして、多くの文化、芸術も花開きました。科学は現代社会では不可欠なものとなりました。電話、コンピュータ、インターネットやネットワークに基づくシステムなどの恩恵は、誰もが、そして科学否定論者も受けているはずです。
 人の生存や安全を脅かすものには、一つの原因として、人が起こしていることがあります。戦争、核、環境ホルモン、地球環境破壊などが、それに当るでしょう。これは進みすぎた科学や技術がもたらした弊害だと考えられます。
 もう一つの原因として、自然、地球や宇宙の摂理が起こすこともあります。地震、台風、氷河期、隕石の衝突など、不可避なものが、それにあたり多々あります。昨年、日本は地震や台風などの自然災害に再三見舞われました。そんなとき、台風予測や地震予知などの精度を上げて欲しいと願ってしまいます。それは科学の進むことを望んでいるのです。
 このように科学のもたらす恩恵と被害を挙げていくと、どうも人とはわがままなものであるという思いに至ります。考えてみると科学とは、人の知的好奇心が生み出した産物です。科学を生み出すのも人なら、使うのも人なのです。
 科学というものは必ずしも形にはなっていない、概念です。科学という総体、概念で考えると、それは、一種の道具の延長とみなすことができます。つまり、道具をどう使うかは、人が考えることであります。道具には良い悪いはありません。使う側の目的によって、良くも悪くもなります。刃物や火薬がいい例でしょう。
 道具に難癖をつけるのは、まだまだ未熟者のすることです。弘法筆を選ばずとなれば、人は科学もうまく御するようになれるかもしれません。人はまだまだ進歩が足ないのでしょう。何も科学を扱うだけが人の進歩でありません。すべての面で賢くならければなりません。
 現代人は、果たして、ソクラテスやアリストテレス、デカルト、カント、ヘーゲル、ダーウィン、ニュートンなど、何世紀も前に達していた知性の高みを越えたのでしょうか。偉業をなした昔の人に、現代人は科学という道具を使っていますが、果たして知的に勝っているのでしょうか。はなはだ心細いものです。私たちはもっと賢くならければならなければなりません。
 科学や技術に頼りすぎることで、私たちの知性や能力が落ちていないでしょうか。ワープロは漢字を忘れさせました。電卓は計算能力を奪いました。車や電車は歩く能力を衰えさせました。エアコンは暑さ寒さへの適応力を奪いました。これでいいのでしょうか。私たち人類は、この道をこのまま進んでいっていいのでしょうか。
 そんなことを深く考える時期になっているのではないでしょうか。科学より知恵を進歩させることで、科学をより役に立つものにするべき時代になったのはないでしょうか。

・抱負・
あけましておめでとうございます。
昨年は、いろいろ自然災害の多い年でした。
今年こそは、穏やかな年になることを願っています。
私の今年の抱負を紹介しましょう。
私は、誰もやってない、誰も考えてない、
しかし子供でも楽しい地質学を目指して取り組んでいます。
今年はそんな地質学で新しい展開を迎えたいと考えています。
大変でしょうが、ライフワークとして、
ゆっくりとでもいいですから、
着実に進んでいこうと考えています。

・人類の課題・
日本は昨年、多くの災害にみまわれました。
そのとき感じたのは、
科学がもう少し進んでいればということです。
多くの人も、同じように感じたのではないでしょうか。
しかし、今回書いたように、
それは間違った方向ではないかということを思うようになりました。
科学が進むことも大切なのですが、
私たち人類がもっと賢くなるべきではないか。
それこそが、目指すべき人類最大の課題ではないかということです。
あまりにも金銭や経済、効率が重要視されています。
もっと知性や感性を磨くことに力を注いではどうでしょうか。
今まで忘れ去っていたのものが、
そこにはたくさんあるのではないでしょうか。