2004年12月2日木曜日

3_37 大陸の起源:サブダクション・ファクトリー2

 海洋地域の岩石は玄武岩の化学組成を持ち、大陸地域の岩石は、平均すると安山岩に似ている、というところまで前回は話をしました。今回は、その続きです。


 大陸地域の岩石は、平均すると安山岩(火山岩の名称でいうとトーナル岩となります)の組成なるということは、多くの地質学者は、知っていました。なぜなら、地震波からみると大陸の上部の岩石が花崗岩(火山岩の名称でいうと流紋岩となります)があり、大陸深部には斑レイ岩(火山岩の名称でいうと玄武岩となります)のような成分の岩石があると推定されていました。ですから、大陸の平均化学組成も安山岩なるだろうというわけです。
 地震波のデータからだけでなく、大陸地域には実際に花崗岩が広がっていることは多くの人が知っていました。また、大陸地域で活動している火山のマグマの中には、深部の岩石が紛れ込んでいるのですが、それには斑レイ岩の仲間の岩石がたくさんありました。地震波のデータを信じたくなるような事実もあったのです。
 大陸地域の岩石の起源を探るには、深部の斑レイ岩の起源と浅い部分にある花崗岩が、それぞれどうしてできたかという2つの問題を、独自に解くことになります。
 昔の海洋の岩石の上に、軽い花崗岩が活動して大陸ができたと考えれば、問題は単純になります。つまり、深部の斑レイ岩の起源は、海洋の岩石がどうしてできたのかという問題に置き換えればいいわけです。それは、海洋地域の岩石の起源に関する結果をそのまま借用すればいいのです。ですから、大陸の起源というと、花崗岩の起源ばかりに議論が集中していました。
 しかし、研究が進むにつれて、思わぬ方向に大陸の起源の話が進むようになってきました。大陸の起源に、列島が重要な役割を果たしているのではないかという考えが出てきたからです。
 そのような考えにいたる理由がいくつかありました。
 まず、大陸地域の岩石の平均化学組成を詳しく見ていくと、列島固有の火山がであるカルクアルカリ安山岩というものに似ていることがわかってきました。また、日本列島の伊豆-小笠原列島の地震探査から、どうもトーナル岩のようなものがあることがわかってきました。さらに、伊豆-小笠原列島の一番大陸側にあたる丹沢山地には、新しい時代(約1000万年前)にできたトーナル岩が上になった地層が削剥されて露出していることもから、どうも列島で大陸の岩石が現在進行形でつくられているのではとい考えられるようになってきました。
 そうなると、大陸の深部の斑レイ岩と上部の花崗岩の起源を別々に考えるのではなく、統一的に考えていく必要ができてきました。それを解き明かすには、列島のマグマがどういう仕組みでできるいるかということを解くことでもありました。それを解いていけば、大陸の岩石の起源を統一的に理解できる答えが得られるはずです。その続きは、次回としましょう。

・列島と島弧・
このエッセイでは、日本列島のように海側に海溝があり、
火山がいっぱいある島の連なりを、
「列島」と呼びました。
列島なら、多くの人が馴染みがある言葉だからです。
地理学では、島がたくさんあるところを
島嶼(とうしょ)と呼びます。
難しい字ですが、嶼とは、小さい島という意味です。
ですから島嶼とは大小様々なしまじまという意味からきています。
地質学では島弧といういい方をします。
英語から来た言葉です。
英語で島弧は、island arcといいます。
列島は一般に島が弧状に並んでできているからです。
弧状列島という言い方もしますが、
地質学では島弧という言葉の方がよく使われています。
字が簡単で島嶼よりは、わかりいい言葉なのですが、
多くの人には、馴染みがないようです。
ですから、ここでは列島という呼び方を使いました。

・水道管凍結・
私の住む北海道の町では、とうとう雪になりました。
今回の雪は、本格的なもののようです。
冬型の気圧配置によって、降った雪です。
10月下旬に一時的に冬型になって初雪が降りましたが、
今回は本格的な冬型のようです。
天気図では西高東低で等圧線が混んでいました。
強い北西風が吹き、やがて激しい雪となりました。
いよいよ冬本番となってきたようです。
我が家では、ついうっかりして、
外の水道を凍らしてしまいました。
水抜きをするのを忘れていたのです。
水道管は破裂しなかったのですが、
地面から立ち上がったところが凍ったようです。
水道管の立ち上がっているところは、
断熱をしてあるので、
凍った部分が奥の方だったら融かすのも一苦労です。
今回は、幸いなことに、蛇口のところだけが凍っていました。
寒い夜を迎える前に何とかしておかなくはなりません。
お湯を掛けただけで融けてくれたので、一安心です。
それまでその水道につけていた
水まき用のホースが凍ってしまいしました。
室内に入れると融けてきて水だらけになります。
ですから、暖かい日にお湯につけて融かすしかないようです。
それまで雪のかからないように軒下に置いておくしかありません。
暖かい日は、いつ来るでしょうか。
まさか春まで来ないということはないでしょうが。
さてさてどうなることやら。