2004年10月14日木曜日

1_33 冥王代2(2004年10月14日)

 地球最初の時代、冥王代(めいおうだい)の話の続きです。始めてのことばかりが起きます。最初の大気、海洋、陸ができていきます。そんな最初の物語をみていきましょう。

 地球最初の大気には、2つの段階を経てできていきます。最初は、水素(H2)とヘリウム(He)を主成分とする大気ができます。この成分は、地球だけでなく太陽系全体に共通する大気で、太陽系ができるときにあった成分と考えられています。水素とヘリウムは、宇宙でも、もっとも多い、つまりありふれた成分でもあります。太陽ができて間もない頃、非常に明るく輝く時期があります。その時に、太陽に近い惑星で小さいものは、ガスをひきつけておく引力も弱いために、原始太陽系ガスが、吹き飛ばされたと考えられます。
 次の段階は、二酸化炭素(CO2)あるいは一酸化炭素(CO)や、水蒸気(H2O)、窒素(N2)などを主成分とする大気です。この成分は、原始的(隕石の世界では始源的という)隕石に含まれていた成分です。原始の地球に隕石が衝突するときに、高温高圧条件で、ガスの成分が隕石から抜け出た成分が原始的大気をつくったというモデルです。
 次は、最初の海についてです。地球のはじまりは、隕石の激しい衝突で、マグマも溶けるほど熱い状態でした。最初の海は、今とは似ても似つかない、マグマの海でした。でも、宇宙空間は冷たく、地球に落ちてくる隕石も減ってきます。すると、地球はじょじょに冷めてきます。大気の温度が100℃より下がると、大気中の水蒸気が液体の水になります。水は、雨となって地表に降り注ぎます。暑かった大地も雨によって冷まされます。やがて、地表も100℃以下まで冷めると、雨は川となります。川は流れ、低いところに池ができます。いたるところにできた池は、降り続く雨によって、広がり大きなものへと成長していきます。これが最初の海となっていきます。
 昔の海の証拠は、海の中にはありません。なぜなら、海は常に混じっていて、古い海水など残っていないからです。海以外のところに海の証拠を探すことになります。最初の海の証拠は地層の中にあります。川によって運ばれた土砂が、海でたまって、固まったものが堆積岩です。古い堆積岩を探せば、その時代には海があったという証拠になります。
 最古の堆積岩は、約38億年前のグリーンランドの堆積岩です。そこには、礫岩や砂岩など、現在でもみられるような堆積岩があります。それ以降、各地から、さまざまな時代の堆積岩が見つかっています。ほぼ全ての時代の堆積岩があることがわかっています。このことから、38億年以降現在に至るまで、海が存在しつづけてきたことを示しています。
 陸とは海のないところですが、ここでは大陸のことにします。大陸には、色々な岩石があります。なかでも、火成岩が圧倒的に多く、火成岩でも花崗岩(かこうがん)とその変成岩である片麻岩(へんまがん)が一番多い岩石です。大陸は、花崗岩からできています。ですから、最初の大陸を探るということは、最初の花崗岩を探すということになります。
 花崗岩は、マグマが固まってできます。高温高圧の条件に置かれた物質に、水が加わると、溶けはじめることがあります。その時に特徴的にできるマグマが、花崗岩質マグマなのです。つまり、花崗岩と水とは密接な関係があるのです。間接的ではありますが、花崗岩の存在自体が、海の存在の証拠となるのです。
 花崗岩マグマができるには、地下深部に水を持ち込まねばなりません。水は海からきます。そして供給のメカニズムとして、プレートテクトニクスが考えられます。プレートテクトニクスとは、海嶺で形成されたプレートが、海底で冷えて、海溝で沈み込む、という一連の運動のことです。この沈み込むプレートと共に、水を含んだ堆積物や岩石も沈み込み、水が絞りだされて、上にある物質を溶かすというものです。花崗岩は、プレートテクトニクスの証拠ともなります。
 一番古い花崗岩は、約40億年前のものです。カナダの北西準州のアカスタ地域で見つかったものです。今のところ、これが最古の陸の証拠です。

・冥王代・
地質時代シリーズの冥王代です。
まだ最初の出来事があります。
生命の誕生です。
それは、また次回としましょう。

・台風・
今年は、台風が、たくさん来ています。
そして被害もいたるところで起こしていきました。
先日の台風22号は、東海や関東で大きな災害をもたらしました。
皆さんのお宅や地域は、大丈夫だったでしょうか。
被害にあわれた方に、お見舞い申し上げます。
今回の台風22号は、10年に一度の強烈なもとして、
注意を呼びかけられていました。
北海道は、それほど影響もなく無事でした。
連休でしたので、私は道北へ調査へ出かける予定を立てていました。
初日は晴れるという予報だったので、
一日だけでも調査できるかもしれないと出かけました。
しかし、台風が来たら途中で取りやめるつもりでした。
幸い、台風の影響もなく、無事調査を終えることができました。
その内容は次回に紹介しましょう。